11 それぞれの思いやり
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「ブルーに…、言われたんだ。」
“なんだよ?話しって。こんな離れたとこまできて…皆に聞かれちゃマズいのか?”
“そんな深刻な話でもないんだけど…。アンタが1番イミテに近い気がしたから、一応…ね。”
“イミテに…?”
“……ねえ。アタシね、船であの子に言ったの。『アンタを王に渡して褒美をもらうつもり』…って。”
“?へえ…”
“自分を利用しようと考えてるヤツが目の前にいたら、普通憎いと思うでしょ?それなのに、イミテはアタシのこと怒りもしないし恨みもしなかった。”
“…。”
“わざと冷静を保ってる様子もなかったし…、もしかしたらイミテの心の中には『自分が犠牲になることでこの人達が助かるなら』…っていう妥協があったのかも。”
“!”
“他人を思いやれる…、それがあの子の長所かもしれないけど…、いつか命とりになるわ。”
“……。”
“だからレッド、ちゃんとイミテのこと見ててあげて。”
「イミテは、優しすぎるんだ…。自分のことは棚に上げて、他人の心配ばっかして。」
彼が気にいらないのは、イミテがいつも1人で解決しようとすること。自分1人でいろいろと背負おうとすること。
そして何より、自分を犠牲にしてまで周りを助けようとすること。
「…もっと俺達のこと、頼りにすればいいのに…!」
仲間だから頼りにしてほしいのに。
頼りにできないほど、自分は信頼されていないのだろうか…?
「………。」
ことの成り行きを聞いたグリーンは黙りこむ。
おそらくレッドはイミテの行動を全く逆の意味にとらえている。
イミテは、自分達を仲間だから…大切だからこそ巻き込みたくないのだ。
イミテの場合、それがニビシティの城やサントアンヌ号や、そして数年前のマサラタウンでの出来事ような……、自己犠牲の考えにつながってしまっている。
「それがアイツの性格だ。長所であり、短所でもある。」
イミテのその他人思いの性格は、昔からだ。
今更変えようがない。
「仲間だというなら、そういった状況にならないようにしてやるのが、俺達の役目じゃないのか?」
「……。」
「どちらにせよ、手をあげたのはお前が悪い。」
グリーンの言葉にレッドは目をそらしうつむいた。
「…よく考えるんだな。」
グリーンはそう言い残し、その場を立ち去る。
レッドは固く口をむすんだ。
「イミテさん。矢、なくなりそうですね?」
イエローは矢が2、3本しか入っていないイミテの矢立てを指差しながら言う。
「二ビシティの近くの町で買い物したっきり買ってないからね。次の町で買わないと。」
「次はタマムシシティってところでしたっけ?花がいっぱい咲いている綺麗な町らしいですよ!楽しみですね!」
イエローはにっこりと笑顔を見せるが…、
イミテはそれに対してどことなく弱々しい笑みを返した。
「(イミテさん…。)」
少なからずレッドとのことを気にしてるんだろう。
「あ…!これ持っててください。矢がなくなったら危ないですから。」
イエローが懐から取り出したのは、短剣。
彼女の唯一の武器だ。
「受け取れないよ。イエロー、それがなくなったら武器なくなるでしょ?私は武術もできるから大丈夫。」
「武術なら僕だってできます!それに、いつも皆さんが戦ってくれるから、僕は武器がなくても平気です。」
治癒専門ですし、とイエローは笑顔を見せる。
「…本当にいいの?」
「はい。イミテさんが持ってたほうが、この剣も無駄にならないんで。どうぞ。」
イミテはしばらく考えこんでいたが、やがて…、
「…じゃあそのかわり私がイエローのこと守るから。安心して?」
「はい…!頼りにしてます。」
イミテがやわらかく笑ったのを見て、イエローも嬉しそうに笑った。
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