10 縛られた生き方を見た
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「それにアナタがそんなことしなくても、この人はここで捕まるから。」
「ガキ、嘘ついても無駄だぜ?俺とこの国の王は昔からの仲だからな。」
イミテはフフ、とバカにするように笑ってみせた。
「いつまでも大きな顔してられると思ったら大間違いだから。アナタの言ってる王だけど、今さっき辞退したよ。」
「!?何言ってやがる…!」
「ほんとうよ。案外簡単だったわ。」
そう言ってブルーがバッと勢いよく手に持っていたものをばらまいた。
ヒラヒラと空中を舞って床に落ちる。
それは…、何十枚もの写真。
「前々から王の悪事を撮った写真を送りつけて脅してたのよ。まさかこんなにタイミングよく辞退してくれるとは思わなかったけどね。」
オホホ、とブルーは満足気に笑う。
そんな彼女の後ろから、杖をついたおじいさんが歩いてきた。
「あ…会長!」
レッドが思わず声をあげる。
彼はレッドが港で声をかけた、この辺りの港を仕切っていると言った会長だった。
「これからはわしがこの町をまとめることになったんじゃ。もうお前の好きにはさせん!」
会長はブンブンと杖をマチスに向けて振り回しながら言うが、ギロリとマチスが睨んだためちょっとひるむ。
レッド達がこの人で大丈夫か…?という呆れたような視線を向けたため、会長は咳払いを1つ。
「こ、こほん。……さてまずは路地裏にいるお前さんの仲間を補導して、お前さんは牢にいれようかの。」
「クソじじいが…ッ!」
マチスは今にも噛みつきそうな勢いだが、縄でしばられているため立つこともままならない。
「連れて行くんじゃ!」
4、5人の軍人が現れ、マチスを連れてその場から立ち去った。
「さて…」
会長はくるりとブルー達のほうを向く。
「シルバーとブルー…お前達は自由に生きるがよい。」
「え、いいの…?」
「当然じゃ。もうお前達を縛るものはないんじゃからな。悪事はお前達の本意じゃないことぐらい、見てれば分かるからのう。」
「「!」」
会長は優しい笑みをうかべて言う。
「それから、そこの弓を持った少女よ…。ニビの裏切りもの…じゃな?」
「!」
まさかバレていたとは思いもしなかった。
逃げるにしても、ドアは会長と軍人がふさいでいて、彼らはまさに袋のねずみ状態。
レッド、イミテ、グリーンの3人は、グッと身構える。
…いつでも戦闘ができるように。
「まあ…わしは何も見とらんし、行くなら行くがよい。」
「え…会長…。」
会長はにっこりと笑い、杖を出口の方向にビシッと向けた。
「ほれ、早くせんか!」
「……ありがとうございます!」
レッドはお礼を言い、彼を先頭にして皆出口からでていった。
それから宿に行ってイエローと合流したレッド達。
そして今、レッド、イミテ、グリーン、イエロー、そしてブルーにシルバー…、計6人はクチバシティの近くにある森にいた。
「本当にありがとう。アンタのおかげでアタシ達は自由になれたわ。」
ブルーはイミテを見て、嬉しそうに目を細める。
「なにか、お礼しなくちゃね。」
「ああ…別に気にしないで。特に何かしたわけでもないし。」
「アタシが嫌なの!そうねえ…、あ!アンタ達、サカキについて調べてるんでしょ?」
「へ!?なんで知ってるんだよ?」
レッドは目を見開く。
だって自分達は周りにバレないように、注意をはらって聞きこみしていたつもりだったから。
「レッドのことカモにしようと思って後をつけてたからよ。アタシ、尾行は得意なの♪」
「ああ、そんな感じする…。」
納得できる返答に、レッドは思わず苦笑した。
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