10 縛られた生き方を見た
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「!てめえら、ちょこまかと…!」
マチスは懐から銃を取り出し、レッドに向けようとしたが…、
「動くな。」
それより少し早くグリーンの刀の切っ先がマチスの首もとにピタリと当てられた。
「(コイツ、あの一瞬でここまで移動した…だと!?)」
「おい!お前にそんなことされる義理はない!」
その様子を見たシルバーが思わず声を上げるが、その言葉にグリーンはフッと笑って言う。
「うぬぼれるな。お前らのためじゃない。」
「……。」
「クソが…!おい!ブルー!シルバー!コイツを何とかしろ…!」
ブルーはまだふらつく体をなんとか起こし、シルバーの前に庇うようにして立った。
「シルバー、何もしなくていいわ。アタシ達は、もうアンタには従わない…!」
「姉さん…。」
「命の恩人に向かって…!誰が助けてやったと思ってやがる!」
するとブルーは一瞬悲しそうな顔をして、ギュッとシルバーの手を握って続ける。
「それは…本当に感謝してる。でもアタシ達はその分の働きはじゅうぶんしたつもり。」
「恩知らずなヤツらめ…!そんな勝手が許されると思ってるのか!!」
「もう…恩知らずでもなんでもいいわ。アンタは…そして、アタシ達はたくさんの人を苦しめた。これ以上、自分の意に背くことはしたくないの!!」
彼ら自身、苦しかったのだ。
仕方ないことだと言い聞かせても、それに対する罪悪感はいつも必ず心の中にあって消えることなんてなかったのだから。
「…イミテを連れてくるわ。これは…あの子の弓矢?」
ブルーはグリーンの傍らにある弓矢を指差して聞く。
「……ああ。」
「持っていって、彼女に渡してもいいかしら?」
「………。」
少々の間のあと、グリーンは静かに頷いた。
ブルーがウソをついている様子はもう感じられないため、まかせても平気だと判断したのだろう。
彼女は弓矢を手にとり、走って部屋をでていった。
「ブルーめ…!」
マチスはその後ろ姿を睨みながら吐き捨てる。
グリーンは、傍らに無造作に置いてあったおそらく緊急時の脱出用のロープを手にとり、マチスの両手をキツく縛っていく。
そんな状況なのに、マチスは突然フッと笑った。
「そんなことしても無駄だぜ?この国の王は俺に逆らえないからな。」
「そんなもので騙されると思ってるのか?」
最後の悪あがきにしては分かりやすすぎだ、とグリーンは呟く。
「グリーン、そいつの言ってることは本当だ。この町の人達が軍は動いてくれないって言ってた。見てみぬふりだって。」
「……なに?」
グリーンが顔をしかめたのを見て、マチスは愉快そうに笑みをうかべる。
「ガハハハ!!俺様には誰1人手出しできないってことだ!」
まさかの事実に、この場にいるマチス以外の誰もが言葉を失っている。
「だったら…!」
シルバーが床に転がっていたレッドの剣を拾い上げ、マチスの喉元に突きつけた。
「俺がこの場で殺してやる…!」
「!早まるな!!」
レッドの制止も聞かず、シルバーが剣を振り上げた時、
「っ!?」
剣が勢いよく飛び、壁に刺さった。
よく見ると、近くの壁にビイイン…と、矢が刺さっている。
「そんなヤツ、あやめる価値なんてない。」
案の定、弓を片手に持ったイミテがドアのところに立っていた。
「イミテ!」
「せっかく手に入れた自由を、自分から投げ出すつもり?」
「…コイツをこのまま野放しにするわけにはいかない…!」
「だからってアンタが背負うこと、」
言いかけたブルーの前にイミテがスッと手をだして止め、そして話しを続ける。
「アナタは、ずっとブルーに守られっぱなしだったんじゃないの?」
「!」
「ねえ、今度はアナタがブルーを守る番でしょ?ここでそいつを殺めたら、ブルーと一緒に生きられなくなる。それでいいの?」
「……ッ!」
シルバーはイミテの言葉に、悔しそうに顔をゆがめて俯いた。
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