10 縛られた生き方を見た
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「あの子を渡して…、国に褒美として自由をもらうつもりだった。それで、アタシとシルバーは解放される…はずだった。」
ブルーはポツリポツリと、話し始める。
「残酷なことだって分かってたけど…、仕方がないって割り切ってた…!…でも、あの子はアタシ達を全く責めなくてっ…!」
……むしろ、恨んでくれたほうが楽だった。憎まれたほうが、楽だったのかもしれない。
そうすれば、こんなに心が揺れ動くこともなかっただろうに。
「あの子を犠牲にして自由になっても、きっとアタシ達は後悔する…!何年たっても、何十年たっても、きっと…!!」
“なんで、って…、”
“恨まなきゃいけない義務でもあるの?”
そう言って笑みをうかべた彼女の、その表情が、こびりついたように頭から離れない。
「あの子の言葉が、響いたの。慰める言葉でも、同情する言葉でもなかったのに、なんだかすごく優しく響いて…。」
…綺麗で優しい笑みだったんだ。
「…だから、マチス様の命令には従えません。」
「……。」
それを聞いたマチスは無言のままスッとブルーに手を伸ばした。
「ぅ…!!」
「!?」
そしてあろうことかブルーの胸ぐらを掴み、そのまま持ち上げたのだ。
彼女の体は宙に浮き、苦しそうに顔を歪める。
「だったらお前も王に献上してやるよ。ハハハ!これで、能力者が4人になった!」
マチスはバッと容赦なくブルーを放り投げる。
「姉さん…!!」
取り乱すシルバーをよそに、レッドが投げ飛ばされた彼女をしっかりと受けとめていた。
「おい!大丈夫か!?」
「う…、げほ…っ、」
苦しかったのだろうブルーは小さく咳き込み、それを目の当たりにしたシルバーはギロリとマチスを睨みつける。
「貴様…!!」
「シルバー。ご主人様にそんな口の聞き方していいと思ってるのか?」
「もうお前なんか主人でもなんでもない。ただ、倒すまでだ!!」
シルバーが右手をマチスに向ければ、黒くて鋭い光がビッと彼に向かって一直線に伸びる。
しかしその攻撃は当たることはなかった。
彼は自分の剣でそれをはじいたのだ。
「いっ…!?」
そして、その攻撃を受けたのは、なんとレッドだ。
決してマチスを庇ったわけではない。
マチスの真っ正面にいたのに…だ。
「な…!?」
「お前の攻撃なんてお見通しだぜ?いつかこんな日がくると思って、剣に細工をしといたからな!」
マチスが突きつけるように見せた剣の柄には、小さな鏡がついていた。
「反射…させただと!?」
「ワハハ!ご名答!」
マチスは闇の能力を鏡で反射させていた。
さっきは、それがレッドにあたったのだろう。
実は闇の能力によって発動される闇は、光と同じ原理なのだ。
光は闇の中を照らすのに対し、闇は光があれば…少しでも明るい場所なら使えて、光同様、反射もする。
マチスはすでにシルバーの能力の弱点を突き止めていたのだ。
強大な闇の力は利用されればその被害は大きい。
「ッ…!」
突然、シルバーがガクリとその場に崩れおちる。
「!シルバー!アンタ、力を使いすぎよ!もう止めなさい!」
「クソ…!」
「いい気味だな!ハハハハ!」
豪快に笑うマチス。
そのすきを見て、レッドはダッと走り出した。
「なに!?」
「グリーン!」
そして先ほどシルバーに飛ばされたグリーンの刀を掴んで、グリーンに投げ渡した。
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