10 縛られた生き方を見た
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キイ…と、ゆっくりとドアが開き、入ってきたのはシルバー。
「姉さん。なかなか船が出航しないけど、操縦室で何かあったんじゃ……、泣いてるの?」
「や、やーね!バカなこと言わないで!」
ブルーはスッと立ち上がり、「操縦室の様子を見に行ってくるわ。」と足早に部屋を出ていった。
イミテとは目を合わせずに。
目を…合わせられなかったのかもしれない。
彼女の心の強さに、……その透き通るような綺麗さに、圧倒されてしまいそうで……。
操縦室の前までやってきたブルー。
「ちょっと!アンタ…どうしたのよ!?」
扉にもたれかかるように、見張りの船乗りが倒れていた。
「見慣れない2人組が来て…うう…。」
船乗りは話している途中で、ガクッと意識を失う。
でもブルーにはその言葉だけでじゅうぶん状況が理解できた。
2人組と言ったら、思い当たるのは…。
次いで、ブルーは勢いよく扉を開けた。
「…レッドとグリーンだったかしら?」
やはり、彼らだ。
「お!案外早く気づいたな。悪いけど船長は気絶させちまったぜ。」
レッドは床にうつぶせに倒れている船長を指差しながら言う。
「アンタ達、どうやってあの水から抜け出したっていうの…!?」
ブルーは驚きを隠せないようだ。
それもそのはず、今までブルーのその術から逃げ出したものはいない。
自分が術をとくか、一定時間たたないと解けない、対に攻略不可な能力のはずなのに…!
レッドは黙って剣を抜き、そのままブルーに向ける。
すると、その切っ先にボッと赤い炎がともった。
「!アンタ達も、能力者…!?」
「ああ。俺は炎、グリーンは大地だ。」
「もうお前に逃げるすべはない。さっさとイミテの場所を言え。」
今度はグリーンが刀を向け、ジリジリとブルーに迫る。
バシッ!!
「!?」
突然、グリーンの刀が、宙に舞った。
「姉さん!」
振り向けば片手をグリーンに向けるシルバーの姿があった。
能力で刀を飛ばしたのだろう。
「今、なにを…!?」
シルバーの能力を知らないレッドとグリーンは何が起きたか分からず、下手に身動きがとれない。
その間に、バシッとレッドの剣もはじき飛ばされた。
「!くそ、」
「動くな!助けにきといて、逆に捕まるとは…間抜けなヤツらだな。」
形勢逆転。今度はジリジリと、シルバーが彼らに迫る。
「ワハハハ!まったくだぜ!」
「「!?」」
今までこの場にいなかった者の声が聞こえドアのほうを見れば、金髪の大柄な男が立っていた。
身にまとっているのは軍服だ。
「マチス様!グレンタウンにいらっしゃったのでは?」
「ニビでの噂を聞いて戻って来たんだ。さすがお前らだ。もう捕まえていたか。」
「(こいつが、マチス…)」
クチバに着いてから情報収集の際、彼の悪事についての噂を幾度となく耳にしていたため、レッドとグリーンはグッと身構える。
「お前ら2人とイミテとかいうヤツ、あわせて能力者が3人。大収穫だな。ハハハ!…シルバー、ここはまかせたぞ。」
「はい。」
「ブルー。お前は女のところまで案内しろ。」
マチスはニヤリと笑って言ったが、…ブルーは動かない。
「姉さん…?」
「シルバー…、ごめんね。」
ポツリとつぶやくように言って、
「案内、できません。」
力強く、そう続けた。
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