10 縛られた生き方を見た

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「どういう意味?」

「…答えなきゃいけない義務があるのかしら?」


ブルーの返事に、イミテは軽く笑みをうかべる。


「別に、義務はないけど…ね。」

「…なに?アンタ、ずいぶん余裕ねえ。自分が置かれてる状況、分かってんの?」


「…もちろん。」とこれまたいたって焦った様子もなく答える彼女に、ブルーはきょとんとした表情をする。


「アンタ…変わってるわね。なんか拍子抜けしちゃったわ。……いいわ、アンタとはもう二度と会わないだろうし、教えてあげる。」


ブルーは少し遠い目をして続けた。


「アタシとシルバーはね、マチス様に買われたの。」

「(…!)」

「アタシもシルバーも、元は遠く離れたところに住んでいた。それぞれの家族の元で…幸せに。」


ブルーは少しうつむいているため、彼女の表情はうかがえない。


「でも、ある日、その幸せは呆気なく壊されたの。…アタシ達は誘拐されたから。仮面をつけた男にね。」

「誘拐…。」

「ええ。格子付きの車の荷台に乗せられて。アタシが捕まった少しあとに、シルバーが捕まったの。」

「誘拐って、何のために?」



イミテがそう聞けば、ブルーは軽く笑いながら言った。


「決まってるでしょ。人身売買のためよ。」



……その言葉は重く、悲しい。




「シルバーはまだ小さくて、すごく…おびえていたわ。アタシはそれが放っておけなくてあの子に声をかけたの。」



“アタシ、ブルーっていうの。あんた名前は?”

“シ、シルバー…”

“シルバー、ね!ねえ、泣かないで?大丈夫よ、きっとすぐに助けが来るわ。ね?”



「それからあの子はアタシを本当の姉のように慕うようになって…。アタシ達はすぐに仲良くなった。まるで本当の兄弟みたいに。」



“う…ひっく…、ブルー姉さん…、”

“ほら、シルバー。また泣いて…。お願いだから、泣き止んで…!逆らったら、殺されちゃう…っ”

“だって、でも…”

“じゃあ、ほら…コレあげるから!”

“?手袋……?”

“アタシのおさがりだけど…、これで、離れててもアタシはアンタといつも一緒よ!”





「自由になれる…ずっとそう信じてた。シルバーと2人でこの境遇に逆らってみせる。…そう思ってた。」




“シルバーはアタシが守るわ。”

“…姉さん、”

“どこに行っても、どんな時も、アタシ達は一緒よ。ね?”




「……でも、あるときアタシが買われそうになったの。」




“お前、なかなかかわいい顔してるじゃないか。よし、コイツに決めた。買おう。”

“いや…!ひっく…!アタシはシルバーとい…る!こんな人のところ…行きたく、ない……!”

“生意気な奴だな…少し言葉の聞き方ってもんを教えねえと。”

“姉さんに手をだすな!”

“シルバー…!”

“このガキ!…!?”




「シルバーはアタシを助けようとして…能力を発揮した。黒くて恐ろしい、闇の能力を、ね。皮肉にもその媒介は、アタシがあげた手袋だった…。」



“姉さん、コレ…”

“シルバー…アンタ、”




「シルバーのおかげで一時は助かった。…でも」



“コイツ…まさか能力者か!?”

“なんだと!すぐに媒介をとれ!殺される!”

“うわ……!”

“シルバー…!やめて!シルバーに手をださないで!!”



「…アタシも無我夢中でシルバーを助けようとして…。ずっとお守り代わりにポケットに入れてた、ママからもらった仏具を握って、神様に祈ったの。」



“なに!?水が…!?”

“次から次へと…どうなってんだ!”



「その気持ちに反応したのは、水…だった。……アタシ達は2人とも能力者だったの。」

「…逃げられなかったの?その能力があれば見張りぐらい…、」

「無理だった…。アタシも自分自身、なにがなんだか分からなくて、能力をうまく操られるようになる前に媒介を取り上げられたのよ。」



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