10 縛られた生き方を見た
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「なに、これ…、」
目を開けたときには、レッドもグリーンもうつぶせにグッタリと倒れていて。
「なんで…!?レッド!グリーン!!」
必死に彼らの名前を呼ぶが、何の反応も示さない。
(まるで人形のように、もうピクリとも動かない)
「うそ…でしょ?ねえ…、」
理解、できない。
何が起きた?
目の前のこの惨状は、一体……なに?
「(まさか、そんなはずない…!)」
脳裏をよぎる最悪の事態を心の中で必死にふりはらいながら、彼らに近づこうと立ち上がる。
すると、闇が一層深くなり辺りをおおった。
そして、突然、
「っ……!」
胸の辺りを、鋭い痛みが襲う。
まるで身体を貫通するかのようなひどい痛み。
声も出すことができないぐらいに、ズキンズキンと、それは身体中に響く。
もはや耐えることなんてできなくて、ドサリと呆気なくその場に倒れこんだ。
「(…血……?)」
徐々にぼやけていく視界に映ったのは、自分の身体から溢れ出てくる…赤い液体。
「(私……、)」
いつの間に怪我していたのだろうか、
もしかして、斬られた…?
自分の身体なのに、今どうなっているか分からない。
「(これ……)」
何なのだろう、これは…。
そんなことを考えている間にも、とにかくただ痛みは増していく。
「(痛っ…)」
意識が、とびそうだ。
闇はどんどん深くなり、ついにはイミテ自身の体をも消そうとした。
自分の足が、腕が、ゆっくりと…でも確実に、闇にのまれていく。
「(…、)」
その闇に意識が吸い込まれるかのように、何も考えられなくなり、
闇に…堕ちた。
カランカラン、と音がしてイミテの手から弓矢が落ちる。
そのまま気を失うかのように、彼女は床に倒れた。
そんな彼女には傷1つついていなく、その数メートル離れたところに倒れているイエローにも外傷は何もない。
辺りには闇などなく、元通り、先ほどまで彼女達がいた部屋だ。
赤髪の少年は、息を吐き、イミテとイエローに向けていた両手をゆっくりとおろす。
「…終わったようね。」
割れた窓からスッと中に入ってきたのは、レッド達と一緒にいた少女―…ブルーだった。
「姉さん。今、終わっ……くっ!」
少年はよろけたが、片膝をついてなんとかこらえる。
「シルバー!大丈夫!?」
ブルーはシルバーと呼ばれた少年の背中に手をそえて、優しくさする。
彼の額にはうっすらと汗が流れ、息づかいもあらい。
「ごめん、姉さん…。少し力を使いすぎたかな…。」
シルバーは自嘲気味に笑った。
「ふう…。やっかいね、アンタのその“闇の能力”も。」
代償が大きすぎるわ、とブルーはつけたした。
「とりあえずコイツらはしばらくは目を覚まさない。姉さんのほうも、うまくいったみたいだね。」
「ええ、もちろん。」
ブルーは得意げにピースサインを返し、シルバーもそれを見て穏やかな表情になった。
「あのー…お客様?何かありましたか…?」
扉の向こうから、第三者の声が聞こえた。
窓が割れた音を聞きつけたのか、宿の従業員がコンコンと少し控えめに扉をノックしている。
「行きましょう、シルバー。」
「うん。」
シルバーはイミテを背中におぶさり、ブルーと共に窓からでていった。
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