10 縛られた生き方を見た
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「とりあえず、イエローが無事でよかった…。」
ほっと胸をなでおろす。
しかし、そんな安心はつかの間のこと。
「え……?」
突然、目の前のイエローの体に鋭い光が斜めに走り……、
「!」
その場所から、ブワア…と真っ赤な血があふれた。
それは辺りにとびちるほどで、イミテの頬や服にも勢いよくかかる。
「な、に……」
何が起きたか分からない。
ほんの一瞬の出来事だった。
イミテは頬にとんだその液体に、震えながらも手を当てる。
「(生、温かい…)」
本物の、血だ。
「イ、エロー…?…!…っ、イエロー!!」
ドサリと崩れ落ちたイエローの体を目の当たりにして、イミテがようやくその自体を理解した。
何者かに攻撃を受けたのだ、イエローは。
いや…誰がやったのかなんて明白だ。
自分達をこの闇の中へと閉じ込めた、あの赤髪の少年しかいない。
「イエロー…!!しっかりして、イエロー!」
傷は深く、まるで刃物にえぐられたような傷跡ができている。
とにかく早く手当てをしなければ…!
「(いったん、ガードしないと…!このままじゃ危険すぎる…!)」
またどこから攻撃をしかけてくるか分からない。
イミテは自分の緑の能力を使ってとにかくイエローの安全を確保しようと考えついたのだろう…、辺りを見回して弓矢を探す。
しかし、暗闇の中には何も見つからない。
「…っ、イエ、…え?」
仕方なくもう一度イミテがイエローに視線を戻したとき、
そこに、彼女の姿はなかった。
「なんで…!?どこに!?」
慌ててやみくもに周りを走って探すが、彼女の姿はない。
「…っ!」
すると、フッと、イエローのときとは違い、今度はたしかに人の気配を感じてイミテはバッとそっちを向いた。
「イミテ!」
「レッド…!?」
自分の名前を呼んで近づいてくる彼は、まぎれもなくレッドで。
おまけにその後ろにグリーンもいる。
何なんだろう、一体…。
彼らは今、ここにいないハズなのに。
「(もしかして…幻覚?……ありえる。)来ないで!」
イミテは半ば混乱しながらもなんとか冷静さを保ち、近づいてくる彼らに向けてそう声を上げた。
「な…、どうしたんだよ、イミテ…。というか、ここ、どこなんだ?」
冷や汗を流して言うレッド。
張りつめた緊迫感に歪むその顔も、自分を見つめるその瞳も……とても幻覚とは思えない。
「説明しろ、イミテ。」
グリーンのその冷静な様子も、こんな状況なのに落ち着いた感じも、自分が普段接している彼らと寸分の狂いもなく……。
「(幻覚、じゃない…?本物…?)」
こんなに鮮明な幻覚があるのだろうか。
それが余計にイミテの頭を混乱させる。
「…いい?絶対に、動かないで。」
確かめないことには始まらない。
イミテはゆっくりと、一歩一歩、彼らに近づく。
そして、恐る恐る、レッドの手をとった。
「へ…?イミテ?」
ああ、やっぱり、焦った様子もいつものレッドと変わりない。
握った手からは明らかに体温を感じる。
「(本物、だよね…?)」
若干の不安は残っていたが、それはもうほぼ確信に変わっていた。
「レッド、グリーン…!あの路地裏であった男の子が部屋に入ってきて、急に目の前が真っ暗になって…!イエローが、さっき大怪我して…急に消えちゃって…!」
イミテはもう焦りを隠す余裕もなく、彼らに必死に説明する。
彼女らしくないが、混乱して自分でもうまく説明できているか分からない状態だった。
「イミテ!落ち着け!イエローが消えたって、どこに……、!」
レッドの表情が一瞬で険しくなり、次の瞬間、ドンッ!とイミテを突き飛ばした。
「っ…!?」
イミテは思わずその衝撃に一瞬目をつむってしまう。
……そう、ほんの一瞬だったハズなのに。
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