ずっと夢だったから/もうすぐさよならだから/この世界にきみがいるから
夢小説お名前変換こちらから
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「ねえ!バトルしにいこう!」
「は…!?アンタ、体は…。」
「今日1日だけ外出許可がでたの!こんな機会もう一生ないかもしれない!ね、お願い!」
【もうすぐさよならだから】
私はそう言って、お見舞いに来てくれたレッドとブルーに頼みこんだ。
グリーンは用事があってこれないらしい。
2人ともしばらく難しい顔をしていたけど、レッドがフッと笑った。
「行くか!ポケモンは俺の貸してやるよ!」
「ちょっとレッド!外出許可っていったって、そんなに体動かしちゃダメなんじゃないの?」
「う………まあ、そのとおりなんだけど…。」
激しい運動をすると強い息切れが起きてしまう。
ポケモントレーナーも指示してるだけに見えて意外に動くもので、しかも指示するのに大きい声をだすため、私にとって致命的といってもいいぐらい。
「じゃあ、レッドとブルーのバトルがみたい!ダメかな…?」
「まあそれぐらいなら…」
ブルーは渋い顔をしながらも了解してくれた。
「よし!さっそく行くか!」
「あ、待ってレッド!階段降りるの辛いから、窓からでていってもいい?レッドのプテに乗ってさ!」
「別にいいぜ。」
レッドは腰のモンスターボールを投げ、プテを出した。
「行くか!」
「ええ。」
「うん。」
よかった…、レッドもブルーも気づいていない。
私が窓から出たかった、本当の理由を。
プテの背に乗った私。
暖かくて優しい風が全身にあたる。
お日様が私を照らす。
ああ、こんな感覚、久しぶり。
なんだかすごく、気持ちいい…。
やっぱり外の世界って素敵…。
数十分飛んでたどり着いたのは、広い草原だった。
「このへんでいいか。」
レッドの言葉を合図にプテが降下する。
「レッド!もう少しゆっくりおりなさいよ!危ないでしょ!」
「あ、ああ…。」
「私、平気だよ!よいしょっと…!」
プテからひょいと飛びおりる。
「無茶しない!」
そう言って私をしかるブルーはまるでお母さんみたい。
私はゴロンと地面に横になる。
「気持ちいいー…。」
草のいいにおいがする。
そして視界にはすごくキレイな青空が映る。
生まれも育ちもマサラタウンだからかな?
やっぱり自然ってすごく好き。
「俺も!」
「2人とも子供ねえ…。」
つられて横になったレッドを見て、ブルーは笑う。
だけど、
「おい!」
幸せな時間はそう長くは続かないもので。
「グリーン…?」
「どうしたのよ?どうしてここに?」
グリーンの表情は険しい。
彼は私のところに来て、肩をガシッと掴むと大きく揺さぶった。
「……っ!」
「お前、どういうつもりだ!!」
そっか、バレちゃったんだ…。
「グリーン!やめなさい!そんなに強く掴んだら痛いでしょ!」
ブルーにそう言われ、グリーンは手を離した。
「………病院からお前がいなくなったと連絡があった。周りの奴らがどれだけ心配したと思ってるんだ!?」
めったに怒鳴らないグリーンが、この時ばかりは声をはりあげた。
それはきっと、ことの重大さを表している。
「え…外出許可、嘘、だったのか…?」
「どうしてそんなことしたの…?病気が治ったら皆で一緒に行くって言ってたじゃない!」
レッドもブルーも、悲しそう…。
「……確かに言ったよ。でもね、」
私もその約束守りたかった。
でも…、
もうすぐさよならだから
(それは叶わない夢と、知ってしまったんだ)