ずっと夢だったから/もうすぐさよならだから/この世界にきみがいるから
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暗い世界から
ずっと夢みてた世界は
明るく、綺麗で
儚いものでした
【ずっと夢だったから】
真っ白な部屋、真っ白なカーテン、独特な消毒液のにおい。
ここは、病院。
私の腕から繋がっているのは長いチューブ。
自分ではもう見慣れたけど、お見舞いにきてくれる人の哀れむような目が嫌で、タオルで隠している。
病名は、聞かされてない。
でも何年も入院してるから、きっと重い病気なんだろう。
ふと窓の外から聞こえた、賑やかな笑い声。
この病院の近くには公園があるんだ。
看護婦さんは「笑い声が聞こえると元気がでるでしょ?」とか言ってたけど、私には忌ま忌ましいものにしか思えない。
あんな風に外にでたい、って思ってしまうから。
妬ましくて仕方ない。
ああ、お日様が照らす外の世界は、どんなに暖かいことだろう。
もうその感覚さえ忘れてしまった。
突然、ガララ…、とドアが開いた。
「よっ!元気か!」
片手をあげて現れたのは、レッド。
「アンタの好きなバームクーヘン、買ってきたわよ!」
「病院だぞ?少しは静かにしろ。」
続いて入ってきたのはブルーにグリーン。
3人とも私の大切な友達。
私は病気になる前マサラタウンに住んでいて、彼らとはそこで知り合った。
私が入院してからも、こうしてちょくちょく遊びに来てくれてる優しい人達。
「バームクーヘン!?やった!ブルー、大好き!」
「現金な子ねー…。」
「あ、たとえバームクーヘン持ってきてくれなくても、ブルーのことは好きだから安心して!」
「オホホ!あたしもよ!」
ブルーと顔を見合わせて笑えば、グリーンに変な奴らだな、と呟かれた。
ブルーが切り分けてくれたバームクーヘンを頬張れば、甘い香りが口いっぱいに広がる。
何層にもなってるそれを、1枚1枚はがして食べるのが好きなんだ。
前はよくお母さんにめんどくさいことする子ねー、とか言われたっけ。
「今日は早く来ようと思ってたのに、レッドがバトルなんか挑まれるから遅くなったのよ。」
「挑まれたバトルは受けるのが礼儀ってもんだろ?」
「時と場合を考えなさいよ!」
「うるさい女だ。」
「グリーンは口を開けば二言めにはそれなんだから!」
3人が言い争ってるのを見ると、笑みがこぼれてしまう。
「相変わらず仲いいね!」
「「どこがだ!」」
ブルーとレッドに突っ込まれた。
私達はあはは!と笑う。
「それにしてもポケモンバトルか…。」
昔は私もポケモントレーナーで、バトルが大好きだった。
こんな体になってしまったから、もう一生できないと思うけど……。
「もう1回、皆とバトルしてみたいな…。」
心の中でつぶやいたつもりが声にだしてたみたいで、気がつけば皆悲しそうな顔をしてこっちを見ていた。
「な、なーんてね!あはは!ごめん、なんか暗くなっちゃった。」
なんだかうまく笑えないな。
「やろうぜ!」
「え…?」
「元気になったら、クタクタになるまでバトルしよう!」
レッドの言葉に、暗かった気持ちが明るくなっていく。
グリーンとブルーのほうを見れば、優しく笑ってくれた。
「………うん!」
また皆でバトルしよう。
温かい日だまりの中で。
ずっと夢だったから
(そんときは容赦しないからな!)
(望むところだよ!)