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ミーン、ミーン
「………」
ミーン、ミーン
「………」
ミーン、ミー「だー!!うるせぇ!!」
【セミを黙らせる方法】
「ったく、さっきからミンミンミンミン…うるせえ!もっと人に迷惑かけられないように鳴けってんだよ!」
ゴールドが叫び、昼下がりのトキワの森に、彼の大声が響きわたった。
「アンタのがうるさい!セミに文句言ったってどうにもならないでしょ!」
暑いって言葉聞くとこっちまで暑くなるからやめてよ!、と、ある意味理不尽なことを言う彼女。
手にしていたうちわでパタパタと自分に風をおくっている。
「それにセミって一週間しか生きられないんだよ?そう考えれば風流じゃない。命の大切さを学べるでしょ?」
「………お前、クリスに似てきたなあ…。」
「はっ!?」
「少し説教じみた喋り方とかそっくりだぜ!」
ケラケラと笑うゴールド。
「な、何それー!!」
ポカポカと、ゴールドを叩く彼女。
「ちょ、やめろって、おい!!」
「嫌!許さない!覚悟しなさい!」
そんな攻防戦がしばらく続き、
「…お前のせいで余計暑くなっただろ!」
「知らないよ、そんなの!」
動いたせいで汗かいたし、セミは相変わらずミンミンうるさいし、とゴールドはブツブツ文句を言っている。
「……ゴールドって、セミみたい。」
「はあ!?どういう意味だよ?」
「え?だってうるさいから。」
「てっめえー!!」
わなわなと怒り始めるゴールドだが、彼女は全く相手にしていない。
暑い暑い、とうちわの動きを早めながら、わざとらしく無視をしている。
「……あ、私、こっちのセミなら静かにさせられるかも!」
「はっ?」
どのセミだよ。そもそもセミにあっちとかこっちとか…違いあんのか?
ゴールドがそんなことを考えていると、
「……なっ!」
すぐ目の前に彼女の顔があった。
キス、される……!?
唇が触れるまで後数センチというところで、彼女は止まり、スッと離れた。
「………」
ゴールドはよほどびっくりしたのか、固まったまま動かない。
でもしだいに状況を理解し、顔が赤くなっていく。
「ほら、こっちは静かになったでしょ?これで少しは涼しくなるかなー?……あ、ゴールドは暑くなっちゃったみたいだね!」
ゴールドの顔を見て、ペロッと舌をだしてイタズラな笑みを浮かべる彼女。
「な……おい!//」
ゴールドは体の熱が急上昇していくのを感じた。
彼らの後ろでは、相変わらずミンミンと、セミの声が鳴り響いている。
セミを黙らせる方法
(…一瞬ドキッとしたなんて…、口がさけてもいうもんか!)