言葉遊び~自分のことが嫌いな女の子のことを好きになった男の子の話~
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【SILVER】
「俺だって自分のことは大嫌いだ。」
シルバーの表情に影がかかる。
でも、落ち着いた、凛とした口調だった。
「え…なんで…?」
「それをお前が聞くのか?そっくりそのまま返したいぐらいだ。」
「ごもっとも…です。」
シルバーが軽く笑ったのが分かって、深刻な雰囲気になりそうだったのが少し緩んで、私の緊張も少しだけほぐれる。
「例えば今も、ゴールドならお前を笑わせるような一言や二言、すぐにかけられるんじゃないかと思うと、自分が心底嫌になる。」
それは違う、と反射的に心の中で思った。
別に私はゴールドからの言葉が欲しいわけじゃなくて、別に笑わせてほしいわけじゃなくて。
何よりも、シルバーの言葉が―……。
「(あれ……)」
私、シルバーの言葉を待ってるの?彼がどう思うかを聞きたいの?
私は彼に、なんて言ってほしいの…?
いろいろと考え込んでなにも言えないでいる私に、シルバーはさらに語りかける。
「俺はお前やゴールドみたいに明るく騒げないし、場を盛り上げたりもできないし、ちょっとした冗談だって言えない。他の奴らは俺にないものをたくさんもっている。」
「そんな…。シルバーにはシルバーのいいところがたくさんあって、そんなの気にすることじゃなくて、」
「お前がどう思っていたとしても、他人から言われたところで自分の気持ちは変わらない。お前もそうだろう?」
「…。」
確かに周りの人にいくら自分のことを誉められたって、いくら羨ましがられたって、自分を大嫌いなことは変わらない。
シルバーの言う通りだ。
「上等だ。お前がお前のことを嫌いでも構わない。」
シルバーが真っ直ぐに私の目を見る。
「俺自身、自分のことが嫌いだが、それでも周りに俺以上に俺を大切に思ってくれた人達がいるから、今の俺がある気がする。」
「それって、ブルーさんとか、ゴールドとかクリスとか、」
「ああ。…それと、お前もそのうちの1人だ。」
予想もしていなかった言葉に胸がはねる。
優しい口調だった。
耳に残るような、熱でとかされてしまうような。
やわらかい、口調。
「出会った頃、そっけない態度をとっていた俺にしつこいぐらいにつきまとってきただろう。最初は慣れなかったが、だんだんとそれが心地よくなって…。今では、お前と話したい、隣にいてほしい、と思うようになった。」
シルバーがそんなこと言うなんて珍しい、なんて茶々をいれることもできない雰囲気に、なんだか涙が出てしまいそうで。
だって、そんな愛しそうな目で私のこと見てくる、から、
「だから今度は、俺がお前のことを大切にしたい。お前が自分のことを嫌いなぶんまで、俺が好きでいる。」
シルバーが手袋をはずして私の目にたまった涙をぬぐった。
必然的に、シルバーの綺麗な真っ白な指先が視界の端にうつりこむ。
『俺の手は汚れているから。』と、出会って間もない頃に彼が、私に触れられることを拒んだのを思い出した。
それは、シルバーが初めて私に自分の弱い部分を見せた瞬間で。
あの頃は私に触れることをすごく怖がっていたのに。
今は、違う。
そう思うと胸がギュッとしめつけられるような感覚がして、でもそれはすごく愛しいと感じて。
「シルバー。」
シルバーの手をとって、私は笑う。
「私も、自分のことを嫌いなぶん、シルバーのことを大好きになってもいいですか?」
そう告げた直後、彼の嬉しそうな笑顔が見られて。
つられて笑ったときにこぼれた私の涙が、彼の手の甲に落ちた。
愛しい人のための道
(悪に染まっているからと嫌っていたこの手が)
(いつの間にか大切な人を守るためのものになっていた)
------------------
シルバーも自分のことあんまり好きじゃなさそう。
誰かのために生きるほうが彼っぽいなという勝手なイメージが強くてこうなりました。
「俺だって自分のことは大嫌いだ。」
シルバーの表情に影がかかる。
でも、落ち着いた、凛とした口調だった。
「え…なんで…?」
「それをお前が聞くのか?そっくりそのまま返したいぐらいだ。」
「ごもっとも…です。」
シルバーが軽く笑ったのが分かって、深刻な雰囲気になりそうだったのが少し緩んで、私の緊張も少しだけほぐれる。
「例えば今も、ゴールドならお前を笑わせるような一言や二言、すぐにかけられるんじゃないかと思うと、自分が心底嫌になる。」
それは違う、と反射的に心の中で思った。
別に私はゴールドからの言葉が欲しいわけじゃなくて、別に笑わせてほしいわけじゃなくて。
何よりも、シルバーの言葉が―……。
「(あれ……)」
私、シルバーの言葉を待ってるの?彼がどう思うかを聞きたいの?
私は彼に、なんて言ってほしいの…?
いろいろと考え込んでなにも言えないでいる私に、シルバーはさらに語りかける。
「俺はお前やゴールドみたいに明るく騒げないし、場を盛り上げたりもできないし、ちょっとした冗談だって言えない。他の奴らは俺にないものをたくさんもっている。」
「そんな…。シルバーにはシルバーのいいところがたくさんあって、そんなの気にすることじゃなくて、」
「お前がどう思っていたとしても、他人から言われたところで自分の気持ちは変わらない。お前もそうだろう?」
「…。」
確かに周りの人にいくら自分のことを誉められたって、いくら羨ましがられたって、自分を大嫌いなことは変わらない。
シルバーの言う通りだ。
「上等だ。お前がお前のことを嫌いでも構わない。」
シルバーが真っ直ぐに私の目を見る。
「俺自身、自分のことが嫌いだが、それでも周りに俺以上に俺を大切に思ってくれた人達がいるから、今の俺がある気がする。」
「それって、ブルーさんとか、ゴールドとかクリスとか、」
「ああ。…それと、お前もそのうちの1人だ。」
予想もしていなかった言葉に胸がはねる。
優しい口調だった。
耳に残るような、熱でとかされてしまうような。
やわらかい、口調。
「出会った頃、そっけない態度をとっていた俺にしつこいぐらいにつきまとってきただろう。最初は慣れなかったが、だんだんとそれが心地よくなって…。今では、お前と話したい、隣にいてほしい、と思うようになった。」
シルバーがそんなこと言うなんて珍しい、なんて茶々をいれることもできない雰囲気に、なんだか涙が出てしまいそうで。
だって、そんな愛しそうな目で私のこと見てくる、から、
「だから今度は、俺がお前のことを大切にしたい。お前が自分のことを嫌いなぶんまで、俺が好きでいる。」
シルバーが手袋をはずして私の目にたまった涙をぬぐった。
必然的に、シルバーの綺麗な真っ白な指先が視界の端にうつりこむ。
『俺の手は汚れているから。』と、出会って間もない頃に彼が、私に触れられることを拒んだのを思い出した。
それは、シルバーが初めて私に自分の弱い部分を見せた瞬間で。
あの頃は私に触れることをすごく怖がっていたのに。
今は、違う。
そう思うと胸がギュッとしめつけられるような感覚がして、でもそれはすごく愛しいと感じて。
「シルバー。」
シルバーの手をとって、私は笑う。
「私も、自分のことを嫌いなぶん、シルバーのことを大好きになってもいいですか?」
そう告げた直後、彼の嬉しそうな笑顔が見られて。
つられて笑ったときにこぼれた私の涙が、彼の手の甲に落ちた。
愛しい人のための道
(悪に染まっているからと嫌っていたこの手が)
(いつの間にか大切な人を守るためのものになっていた)
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シルバーも自分のことあんまり好きじゃなさそう。
誰かのために生きるほうが彼っぽいなという勝手なイメージが強くてこうなりました。
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