季節のお題
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*ゴールド夢*
トキワの森で自分が助け、ジムリーダーになったら真っ先に会いに行くよ、なんてとてもロマンチックな約束を交わしたレッドよりも。
渋る姿を見て、パートナーポケモンのバクたろうに帽子を取らせる!なんて乱暴な提案をしたゴールドよりも。
…そう。その場にいた事情を知らなかった誰よりも。
“それ”を見て、一番驚いたのは私であることは間違いなかった。
『へ………………?…女……?』
人間って本当に驚いたときは、叫ぶわけでもなく、無言になるわけでもなく、そんな情けない声がでるんだよ。
「いやあ!ホント、あの時の先輩の顔!今思い出しても笑えるッスよね~!」
人の家に約束もなく勝手に上がり込んで、手みやげですと持ってきた菓子は自身で食べ、私の過去の最大の汚点をネタにケタケタと笑っている、可愛げのない後輩。
そんな彼の首もとに、私は入れ立てのココアの入ったマグカップをギュッと押しつけてやった。
「!!!あっちぃ!!!!」
「あはは、ごめんね。アンタの態度みてたら無意識に身体動いたわ。」
「ひでぇ!火傷したらどうするんスか!」
「大丈夫。バクフーンが手持ちにいるんだから熱いのには慣れてるでしょ?」
「雑すぎッスよ!先輩!」
「あーもーうっさいなあ。ココアぶっかけられなかっただけマシでしょ?」
にっこりと笑って言えば彼はぴたりと押し黙った。
ほうほう。少しは賢くなったじゃないか。
「…ちぇ。俺も可愛い可愛い後輩なんスからイエロー先輩にやったみたいに優しく接してくださいよ。」
「は?イエローと自分を比較しようとしてるところがおこがましすぎる。イエローの可愛さを仮に100だとしたら、ゴールドの可愛さは0だね!」
「え…。あ、じゃあイエロー先輩の可愛さを1万にしたらいくつになります!?」
「0だね!」
「即答!?これっぽっちも増えてねえし!」
まるでガーディみたいにキャンキャンとうるさいゴールドを無視して、こくり、とココアを一口口に運ぶ。
「結構本気で、好きだったんだけどなあ~…」
その温かさにつられて、ポロリと本音が口に出た。
「…。」
さっきまでのうるささはどこへいったのやら、ゴールドは無言のままだった。
私はイエローのこと、ずっとずっと男の子だと思ってて。
そして。だから。
イエローに、ずっとずっと恋してて。
「…な……で、」
「え?」
「なんで好きだったんスか?イエロー先輩のこと。」
一瞬、ゴールドがうつむいたまま何かをつぶやいた気がした。
でも彼はすぐに顔を上げてパッといつものなつっこい笑顔で聞いてきたから、私も何事もなかったかのように続ける。
「私ね、ダメなんだ。」
「へ?」
「例えばちょっといいなあと思った人がいて、アピールしたとしよう。」
「?はい。」
「でもね、自分でしかけておきながら、相手が私のこと好きになってくれたって分かると…なんだか急激に冷めちゃうの。」
「え、なんすかそれ。」
「なんなんだろうねえ。たぶん追いかけてるのが楽しいのかなあって。あと、私がいろいろ仕掛けて、相手の反応見るのが楽しいの。」
「先輩、Sなんすか?」
「ブルーにも言われた。『遊ぶだけ遊んどいて、手にはいったら捨てるなんて魔性の女ね』って。ブルーにだけは言われたくないよね。」
「ううーん。ぶっちゃけ俺的にはどっちもどっちッス。」
「…あっそ。」
別に同意して欲しかったわけじゃないから今のは許してあげよう。
手にしているココアに視線をおとして、私は続ける。
「だから、イエローに恋してるときはすっごく楽しかったんだ。寒い日に頑張ってすっごく短いミニスカートはいて会いにいっても、全く無反応だし。ギュッて服の裾つかんで『やっぱりなんでもない』って頬赤くしてみても無反応だし。チルタリスにこっそりかぜおこしをお願いして、風で乱れた髪をちょーっと色っぽく直してても無反応だし。」
「やっぱりさっきのなし!先輩のがブルー先輩より魔性の女ッスよ!なんなんスか、その雑誌に載ってそうなテクニックの数々!」
「自分をよく見せるために日々研究してるの私は。……でもイエローったら、いつもいつも笑うばっかりで私に恋愛感情なんてちっとももたなかった。…まあ、女の子だったんだから当たり前なんだけどさあ!!」
また空しくなって、はー!と長いため息をつく。
「まっ、そこでイエロー先輩が恋しちゃったら同性愛ッスからね。」
「はあーあ。やっと見つけたと思ったのになあ。ずーっと好きでいられて、ずーっと、ドキドキしていられる人。」
「……。」
ポスン、とクッションに顔をうずめる。
「…先輩のその論理からいくと、両思いになることは絶対ないッスね。」
「そうね。相手が私を好きになったら、私が相手を好きじゃなくなるからね。」
「そんなんじゃ誰も幸せになれないじゃないッスか。」
「そうだね。」
「…。」
あっけらかんと言った私に、ゴールドは押し黙ってしまった。
そりゃあそうだよね。
でも。ごめんね。
これで分かったでしょう?
私、嫌な女でしょう?
幸せにならないことに幸せを感じるなんて、おかしいでしょう?
だから、さあ。
「ゴールドも、早く私以外の人に恋して幸せになりなよー。」
彼の気持ちを知りながら。
私は残酷な言葉をはく。
歪んだ恋愛論
(…ずるいッスよ)
(俺がアンタのこと好きでいることすら、許してくれないなんて)
ーーーーーーー
ドラマの「失恋シ/ョコラティ/エ」を見てて、小悪魔なヒロイン書きたいなと思って書いたらこうなりました。
恋愛感情じゃないけどゴールドのことを大事に思ってて、だから私なんかを選ばないでほしいという感じです。
大切な人にはいい子、みたいな。
いつの間にか小悪魔設定がどこにもいなくなってました(^o^)なぜだ
.
トキワの森で自分が助け、ジムリーダーになったら真っ先に会いに行くよ、なんてとてもロマンチックな約束を交わしたレッドよりも。
渋る姿を見て、パートナーポケモンのバクたろうに帽子を取らせる!なんて乱暴な提案をしたゴールドよりも。
…そう。その場にいた事情を知らなかった誰よりも。
“それ”を見て、一番驚いたのは私であることは間違いなかった。
『へ………………?…女……?』
人間って本当に驚いたときは、叫ぶわけでもなく、無言になるわけでもなく、そんな情けない声がでるんだよ。
「いやあ!ホント、あの時の先輩の顔!今思い出しても笑えるッスよね~!」
人の家に約束もなく勝手に上がり込んで、手みやげですと持ってきた菓子は自身で食べ、私の過去の最大の汚点をネタにケタケタと笑っている、可愛げのない後輩。
そんな彼の首もとに、私は入れ立てのココアの入ったマグカップをギュッと押しつけてやった。
「!!!あっちぃ!!!!」
「あはは、ごめんね。アンタの態度みてたら無意識に身体動いたわ。」
「ひでぇ!火傷したらどうするんスか!」
「大丈夫。バクフーンが手持ちにいるんだから熱いのには慣れてるでしょ?」
「雑すぎッスよ!先輩!」
「あーもーうっさいなあ。ココアぶっかけられなかっただけマシでしょ?」
にっこりと笑って言えば彼はぴたりと押し黙った。
ほうほう。少しは賢くなったじゃないか。
「…ちぇ。俺も可愛い可愛い後輩なんスからイエロー先輩にやったみたいに優しく接してくださいよ。」
「は?イエローと自分を比較しようとしてるところがおこがましすぎる。イエローの可愛さを仮に100だとしたら、ゴールドの可愛さは0だね!」
「え…。あ、じゃあイエロー先輩の可愛さを1万にしたらいくつになります!?」
「0だね!」
「即答!?これっぽっちも増えてねえし!」
まるでガーディみたいにキャンキャンとうるさいゴールドを無視して、こくり、とココアを一口口に運ぶ。
「結構本気で、好きだったんだけどなあ~…」
その温かさにつられて、ポロリと本音が口に出た。
「…。」
さっきまでのうるささはどこへいったのやら、ゴールドは無言のままだった。
私はイエローのこと、ずっとずっと男の子だと思ってて。
そして。だから。
イエローに、ずっとずっと恋してて。
「…な……で、」
「え?」
「なんで好きだったんスか?イエロー先輩のこと。」
一瞬、ゴールドがうつむいたまま何かをつぶやいた気がした。
でも彼はすぐに顔を上げてパッといつものなつっこい笑顔で聞いてきたから、私も何事もなかったかのように続ける。
「私ね、ダメなんだ。」
「へ?」
「例えばちょっといいなあと思った人がいて、アピールしたとしよう。」
「?はい。」
「でもね、自分でしかけておきながら、相手が私のこと好きになってくれたって分かると…なんだか急激に冷めちゃうの。」
「え、なんすかそれ。」
「なんなんだろうねえ。たぶん追いかけてるのが楽しいのかなあって。あと、私がいろいろ仕掛けて、相手の反応見るのが楽しいの。」
「先輩、Sなんすか?」
「ブルーにも言われた。『遊ぶだけ遊んどいて、手にはいったら捨てるなんて魔性の女ね』って。ブルーにだけは言われたくないよね。」
「ううーん。ぶっちゃけ俺的にはどっちもどっちッス。」
「…あっそ。」
別に同意して欲しかったわけじゃないから今のは許してあげよう。
手にしているココアに視線をおとして、私は続ける。
「だから、イエローに恋してるときはすっごく楽しかったんだ。寒い日に頑張ってすっごく短いミニスカートはいて会いにいっても、全く無反応だし。ギュッて服の裾つかんで『やっぱりなんでもない』って頬赤くしてみても無反応だし。チルタリスにこっそりかぜおこしをお願いして、風で乱れた髪をちょーっと色っぽく直してても無反応だし。」
「やっぱりさっきのなし!先輩のがブルー先輩より魔性の女ッスよ!なんなんスか、その雑誌に載ってそうなテクニックの数々!」
「自分をよく見せるために日々研究してるの私は。……でもイエローったら、いつもいつも笑うばっかりで私に恋愛感情なんてちっとももたなかった。…まあ、女の子だったんだから当たり前なんだけどさあ!!」
また空しくなって、はー!と長いため息をつく。
「まっ、そこでイエロー先輩が恋しちゃったら同性愛ッスからね。」
「はあーあ。やっと見つけたと思ったのになあ。ずーっと好きでいられて、ずーっと、ドキドキしていられる人。」
「……。」
ポスン、とクッションに顔をうずめる。
「…先輩のその論理からいくと、両思いになることは絶対ないッスね。」
「そうね。相手が私を好きになったら、私が相手を好きじゃなくなるからね。」
「そんなんじゃ誰も幸せになれないじゃないッスか。」
「そうだね。」
「…。」
あっけらかんと言った私に、ゴールドは押し黙ってしまった。
そりゃあそうだよね。
でも。ごめんね。
これで分かったでしょう?
私、嫌な女でしょう?
幸せにならないことに幸せを感じるなんて、おかしいでしょう?
だから、さあ。
「ゴールドも、早く私以外の人に恋して幸せになりなよー。」
彼の気持ちを知りながら。
私は残酷な言葉をはく。
歪んだ恋愛論
(…ずるいッスよ)
(俺がアンタのこと好きでいることすら、許してくれないなんて)
ーーーーーーー
ドラマの「失恋シ/ョコラティ/エ」を見てて、小悪魔なヒロイン書きたいなと思って書いたらこうなりました。
恋愛感情じゃないけどゴールドのことを大事に思ってて、だから私なんかを選ばないでほしいという感じです。
大切な人にはいい子、みたいな。
いつの間にか小悪魔設定がどこにもいなくなってました(^o^)なぜだ
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