季節のお題
夢小説お名前変換こちらから
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
※シルバー夢※
「風邪…、ひくぞ。」
ぶっきらぼうにそう投げかけられた言葉。
振り返れば鼻の頭を赤くしたシルバーがいた。
私の吐く息も彼の吐く息も真っ白で。
やっぱり冬の夜は冷えるなあ…、なんて考える。
「シルバーこそ。風邪ひくよ?」
「お前のが薄着だろう。」
「平気平気。私は寒さに耐性があるから。」
「なんだ耐性って。」
彼が近づいてきていたのは雪を踏む音で分かっていた。
だから特に何の驚きもなく、淡々と会話は進む。
「ゴールドはまだ中で騒いでる?」
「姉さんがお酒のませて、べろんべろんになってクリスに絡んでる。」
「あっちゃー…、まあ、レッドもグリーンもいるからなんとかするか。あの2人、酔っ払いの扱いには慣れてるし。」
なぜ慣れているのかというと、私とレッドとグリーンとブルー…4人で集まるとたまに、ブルーが未成年だっていうのにふざけてお酒を飲んでしまって、泥酔することがあるからだ。
だから彼ら(レッドとグリーン)…最年長が2人もいれば、なんとかしてくれるはず。
「というか、やっぱりシルバーって敬語使わないよね、私に対して。」
初めてジョウト組と会ったとき。
馴れ馴れしい態度ながらも自分の名前を名乗ったゴールドと、礼儀正しく自己紹介をしたクリス。
そんな彼らとは対照的に、シルバーは無言を決め込んでいた。
今シルバーとこうして話しているのは、そのときから考えたら奇跡に近いだろう。
まだレッドやグリーンと話すときは遠慮があるようだけど、
私と話すときは彼ら(ゴールドやクリス)と同じように話してくれるのだから。
その代わりレッドやグリーンには敬語を使ったり名前に先輩とつけて呼んだりするくせに、私に対してはそんな配慮は微塵もない。
ブルーに言ったら「あら~!それだけ打ち解けてるってことよ!許してあげて!」と言われた。
そして「アタシだって、先輩なんて呼ばれたことないし、タメ口よ?」と無駄になだめられた。
でもよくよく考えたらブルーは“お姉さん”だからでしょう?
また上手く言いくるめられてしまったと、悔しい思いをしたのはまだ記憶に新しい。
「別にいいだろう。」
「よくないよ。試しに敬語で呼んでみて。ほらほら。」
「…。」
「…ちぇ。頑固なガキだな。」
「おい、口悪いぞ。」
「先輩に向かって“おい”とか言っちゃうシルバーに言われたくない。」
自分で言うのもなんたけど、私はさっぱりとした性格だから。
普段なら相手の言葉使いなんて、全く気にしない。
「(だけど、)」
彼だけは、ダメなんだ。
心の距離が近づいてるのが分かってしまうから。
それに比例して打ち解けているのが分かってしまうから。
これ以上、親しくなってはいけない。
私は、突き放さなければいけない、のに。
「…あ。」
「どうしたの?」
「雪、だ。」
「…ほんとだ。」
空から舞い落ちてくるのは白い結晶。
昨日もあんなに降ったのに、まだ降るのか。また、寒くなりそうだなあ。と、頭のすみで考える。
「…。」
幻想的なこの光景も、彼の目には今どう映っているんだろう。
ああ、ほら。
……だから、ダメなんだ。
そんなことばかり、考えてしまうから。
私は彼に、“同情”の気持ちを多く持ち合わせてしまっている。だから、ダメ。
私じゃ、ダメ。
私は、彼の心のキズをえぐる凶器にしかならない。
癒してあげることはできない。
「戻るぞ。本格的に冷え込んできた。」
「戻ってていいよ。」
「風邪ひくって言って、」
「だーかーらー。私は寒さには強いんだってば。だてに、……氷のエキスパートやってるわけじゃないよ。」
自分で言って、
ギュッと、胸が苦しくなる。
よりによって、シルバーのことを苦しめたアイツ(ヤナギ)と同じ、氷使いなんて。
私がポケモンを出す度に、彼の心を少しずつ、えぐってしまっている気がする。
心の傷を、ひっかきまわしているような気持ちになる。
でも私は自分のポケモン達が大好きで、彼のために逃がす気にはなれない。
だから、ダメ。
近づきすぎては、いけない。
「単純すぎるだろ、それ。」
シルバーは私の言葉に対して呆れたようにうっすらと笑みを浮かべる。
シルバーは…そんなに弱くはない。
私の手持ちが氷タイプなことに対して、彼は絶対に何とも思っていないだろう。
分かっている、はずなのに。
「っ、」
心のどこかで彼に同情している私を知られたときの、シルバーの反応を、想像しただけで。
胸が、張り裂けそうになって。
「?おい、やっぱり震えて」
「っ、ほっといて!」
やりきれない思いが、悲鳴に近い言葉になって現れる。
ハッと我に返って、私はあわてて笑顔をつくる。
そして、いつもの様子で続けた。
「大丈夫だって、言ってるでしょ?シルバーは戻って、クリスのこと助けてあげてよ。…ね?」
シルバーは納得いかないという表情を一瞬みせたけど、何も言わずに家の方へ向かって歩き出した。
「(ごめんね、)」
ブルーゆずりなのかは分からないけれど、シルバーは勘が鋭いから。
私が彼を近づけまいとしていることに、彼は気づいているだろう。
「(ごめん、なさい)」
私がいると彼に嫌なことを思い出させてしまうから、なんて建て前で。
本当は彼に同情してしまっている汚い自分を見せるのが怖いだけ。
本当に醜いのは…私だ。
雑音をすべて消してください
(そうすれば、)
(彼女の気持ちが聞こえるだろうか)
(拒絶されてるのは俺なのに、彼女の方が苦しんでいるように思えたのは、)
.
「風邪…、ひくぞ。」
ぶっきらぼうにそう投げかけられた言葉。
振り返れば鼻の頭を赤くしたシルバーがいた。
私の吐く息も彼の吐く息も真っ白で。
やっぱり冬の夜は冷えるなあ…、なんて考える。
「シルバーこそ。風邪ひくよ?」
「お前のが薄着だろう。」
「平気平気。私は寒さに耐性があるから。」
「なんだ耐性って。」
彼が近づいてきていたのは雪を踏む音で分かっていた。
だから特に何の驚きもなく、淡々と会話は進む。
「ゴールドはまだ中で騒いでる?」
「姉さんがお酒のませて、べろんべろんになってクリスに絡んでる。」
「あっちゃー…、まあ、レッドもグリーンもいるからなんとかするか。あの2人、酔っ払いの扱いには慣れてるし。」
なぜ慣れているのかというと、私とレッドとグリーンとブルー…4人で集まるとたまに、ブルーが未成年だっていうのにふざけてお酒を飲んでしまって、泥酔することがあるからだ。
だから彼ら(レッドとグリーン)…最年長が2人もいれば、なんとかしてくれるはず。
「というか、やっぱりシルバーって敬語使わないよね、私に対して。」
初めてジョウト組と会ったとき。
馴れ馴れしい態度ながらも自分の名前を名乗ったゴールドと、礼儀正しく自己紹介をしたクリス。
そんな彼らとは対照的に、シルバーは無言を決め込んでいた。
今シルバーとこうして話しているのは、そのときから考えたら奇跡に近いだろう。
まだレッドやグリーンと話すときは遠慮があるようだけど、
私と話すときは彼ら(ゴールドやクリス)と同じように話してくれるのだから。
その代わりレッドやグリーンには敬語を使ったり名前に先輩とつけて呼んだりするくせに、私に対してはそんな配慮は微塵もない。
ブルーに言ったら「あら~!それだけ打ち解けてるってことよ!許してあげて!」と言われた。
そして「アタシだって、先輩なんて呼ばれたことないし、タメ口よ?」と無駄になだめられた。
でもよくよく考えたらブルーは“お姉さん”だからでしょう?
また上手く言いくるめられてしまったと、悔しい思いをしたのはまだ記憶に新しい。
「別にいいだろう。」
「よくないよ。試しに敬語で呼んでみて。ほらほら。」
「…。」
「…ちぇ。頑固なガキだな。」
「おい、口悪いぞ。」
「先輩に向かって“おい”とか言っちゃうシルバーに言われたくない。」
自分で言うのもなんたけど、私はさっぱりとした性格だから。
普段なら相手の言葉使いなんて、全く気にしない。
「(だけど、)」
彼だけは、ダメなんだ。
心の距離が近づいてるのが分かってしまうから。
それに比例して打ち解けているのが分かってしまうから。
これ以上、親しくなってはいけない。
私は、突き放さなければいけない、のに。
「…あ。」
「どうしたの?」
「雪、だ。」
「…ほんとだ。」
空から舞い落ちてくるのは白い結晶。
昨日もあんなに降ったのに、まだ降るのか。また、寒くなりそうだなあ。と、頭のすみで考える。
「…。」
幻想的なこの光景も、彼の目には今どう映っているんだろう。
ああ、ほら。
……だから、ダメなんだ。
そんなことばかり、考えてしまうから。
私は彼に、“同情”の気持ちを多く持ち合わせてしまっている。だから、ダメ。
私じゃ、ダメ。
私は、彼の心のキズをえぐる凶器にしかならない。
癒してあげることはできない。
「戻るぞ。本格的に冷え込んできた。」
「戻ってていいよ。」
「風邪ひくって言って、」
「だーかーらー。私は寒さには強いんだってば。だてに、……氷のエキスパートやってるわけじゃないよ。」
自分で言って、
ギュッと、胸が苦しくなる。
よりによって、シルバーのことを苦しめたアイツ(ヤナギ)と同じ、氷使いなんて。
私がポケモンを出す度に、彼の心を少しずつ、えぐってしまっている気がする。
心の傷を、ひっかきまわしているような気持ちになる。
でも私は自分のポケモン達が大好きで、彼のために逃がす気にはなれない。
だから、ダメ。
近づきすぎては、いけない。
「単純すぎるだろ、それ。」
シルバーは私の言葉に対して呆れたようにうっすらと笑みを浮かべる。
シルバーは…そんなに弱くはない。
私の手持ちが氷タイプなことに対して、彼は絶対に何とも思っていないだろう。
分かっている、はずなのに。
「っ、」
心のどこかで彼に同情している私を知られたときの、シルバーの反応を、想像しただけで。
胸が、張り裂けそうになって。
「?おい、やっぱり震えて」
「っ、ほっといて!」
やりきれない思いが、悲鳴に近い言葉になって現れる。
ハッと我に返って、私はあわてて笑顔をつくる。
そして、いつもの様子で続けた。
「大丈夫だって、言ってるでしょ?シルバーは戻って、クリスのこと助けてあげてよ。…ね?」
シルバーは納得いかないという表情を一瞬みせたけど、何も言わずに家の方へ向かって歩き出した。
「(ごめんね、)」
ブルーゆずりなのかは分からないけれど、シルバーは勘が鋭いから。
私が彼を近づけまいとしていることに、彼は気づいているだろう。
「(ごめん、なさい)」
私がいると彼に嫌なことを思い出させてしまうから、なんて建て前で。
本当は彼に同情してしまっている汚い自分を見せるのが怖いだけ。
本当に醜いのは…私だ。
雑音をすべて消してください
(そうすれば、)
(彼女の気持ちが聞こえるだろうか)
(拒絶されてるのは俺なのに、彼女の方が苦しんでいるように思えたのは、)
.