愛しい時間
夢小説お名前変換こちらから
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「…ただいま。」
まだ不慣れな様子でつぶやくよう言ったグリーン。
私はそれに愛しさを感じながら、「お帰りなさい。」と笑みを返す。
ゆるり、彼の口元が弧をえがく。
それは安心しきった、そんな表情。
「ご飯できてるけど、もう食べる?」
「ああ。」
そのまま私はキッチンへ向かい、彼は寝室へと向かった。
今日は彼の祖父…オーキド博士に頼まれた学会があったからグリーンはスーツで、
たぶん脱いだ上着を寝室のクローゼットに掛けに行ったんだろう。
私に渡してくれればやるのに…。
まだ少し優しい遠慮があるみたいで、嬉しいけどもどかしい。
そんな不満をかかえながら、お椀にお味噌汁をよそる。
お味噌汁の具は豆腐とねぎと油揚げ。
私は豆腐とねぎだけのシンプルなほうが好きなんだけど、昨日の夕飯にいなり寿司を作って少し油揚げが余ってしまったから仕方ない。
次にお茶碗に人参とれんこんとしめじとさやえんどうの炊き込みご飯をよそる。
ふんわりと良い香りが広がった。
うん、我ながら良い出来だ。
主食は生姜焼き。
甘辛いタレを絡めてつくったそれは、グリーンのだけちょっと甘さ控えめ。
そのお皿の横に、ほうれん草のおひたし、あと、里芋の煮物ののったお皿を並べる。
「あ、お箸お箸…」
グリーンの緑色の柄の入ったお箸をキッチンに取りにいって戻ったところで、ちょうど着替え終わった彼が来た。
ちなみにこの箸は彼のお姉さんのナナミさんが結婚の記念にくれたペアのやつで、私の箸はピンク色だ。
「お前の分は?」
食卓に並んだ1人分の料理を見て、グリーンが言う。
「私、お昼とったの遅いし、しかもけっこうガッツリ食べたからお腹すいてないんだー。」
「またブルーと出かけたのか?」
「あたり!でも今回は無駄遣いしてないよ。一緒に博士の研究所言ったらね、マサキさんがいて、お昼ごちそうになっちゃったから!」
ブルーがマサキさんとナナミさんのなれそめをねぼりはぼり聞いてて、最後にはマサキさんげっそりしてたなあ。
なんだか思い出しちゃって嬉しくなって笑えば、グリーンもフッと笑った。
「ほら、早く食べて。冷めちゃう。」
「ああ。」
食べ進めるグリーン。
彼は料理の感想をたまにしか言ってくれない。
全部残さず食べてくれるから口に合わなくはないんだろうけど。
私から「おいしい?」と聞くのもうっとうしいだろうから、我慢してるけど…味、大丈夫かな…。
ジーッとグリーンを見ていると、視線に気づいた彼とバッチリ目があった。
「どうした?」
「な…なんでもない!」
「…?」
グリーンは一瞬眉間にシワをよせてまた箸を進める。
あぶない、あぶない。
「ほら。」
「え?」
気づけばグリーンは箸でご飯を器用に一口分とって、私の口元にズイッと差し出した。
あ、もしかして食べくて見てると思ったのかな。
お腹はあんまり空いてないけど、せっかくグリーンが食べさせてくれるなら…と、私は大人しく口を開けた。
ぱくり、もぐもぐ…
「あ。ちょっと味濃かったかな。」
噛みながら思ったことをそのまま呟く。
するとグリーンはほんのりと微笑んで言った。
「そうか?俺はこれくらいの味付けのが好きだ。」
「!」
よかった。
幸せ、だ。
結婚して1ヶ月、
私はまだまだ彼のふいうちにドキドキさせられっぱなしだ。
「イミテ。顔がゆるんでアホ面になってるぞ。」
「ちょ!アホ面って…!」
「なに見てるんだ?」
ソファーで座って本を読んでいる私を、ひょいと覗きこんだグリーン。
「料理本!」
「…食べるの妄想してそんな顔してたのか?バカだろ。」
「違う!今日さりげなく暴言多いよね、グリーン。ああ、あれなの?ナナミさんの結婚式がもうすぐだからいらだってるの?」
「…なんで姉さんがあんな機械オタクなんかと。」
ため息をついてグリーンは私の隣に座る。
グリーンも典型的なシスコンだよね!
パタンと本を閉じて、彼に笑みを向けて言ってやった。
「ねえ、グリーン。料理の味付けは濃いほうが好きでしょう?」
「まあ…薄口よりかはな。」
あたり!
それじゃあ今日はグリーンを元気づけるために、手料理でも作ってあげますか!
懐かしい未来
(いつ結婚してもいいように、今度ナナミさんに教わって花嫁修行でもしようかなー)
(はっ…!?//)