季節のお題
夢小説お名前変換こちらから
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
*レッド夢*
「ねえ!どこ行くのー!?」
「いいから着いて来いって!」
先を行くレッドの背中に何度同じ質問をしたことか。
いつまでたっても彼の返事は同じだった。
教える気は全くなさそうだ。
「…もう!」
7月なのに、その暑さはもう真夏同然といっても過言ではない。
動いているからか余計に暑くて、つうっと汗が頬を伝っていくのが分かった。
それに、足場が不安定な岩場をのぼっているから、体力も神経も使う。
…正直言ってかなり疲れた。
もういろいろといっぱいいっぱいな私をあざ笑うかのように、先を行く彼は息切れしていなければ汗も全くかいていない。
男女で体力に差があるとはいえ、そんなバカな!と思いながら、なんだか負けた気がして私は必死にレッドに着いていく。
「(ただ、暑いから夏は憂鬱になるって言っただけなのに…)」
そう。思い返せば原因はただその一言だった。
数十分前のそんな私のつぶやきを聞いたレッドはニカッとなつっこい笑顔を見せて、私の手を引いて歩き出したのだ。
彼が向かったのは、マサラタウンの近くにある林で。
そこの奥深く…ちょうど足場が急になっているまるで崖のような段差を今必死に登っているというわけだ。
「ひゃっ」
そんな考え事をしながら足を進めていたせいか、左足を乗せた岩がぐらりと揺れた。
やばいと思って手を伸ばすけど、今は段差を上っている最中ー…当然目の前に掴むものなんてなくて。
「!」
「わ、」
レッドは素晴らしすぎる反射神経で、伸ばしかけていた私の腕をパッととって引き寄せた。
「大丈夫か!?」
本当に心の底から心配してくれるレッド。
引き寄せられたから、身体が密着してるし、すぐ頭の上から声が聞こえるし、心臓が緊張とドキドキでうるさいし。
もうなんかいろいろとヤバい…。あと、いろいろと暑い…。
「どっか怪我した?」
一向に返事をしない私に彼が聞く。
私は緊張が顔に出ないように「…してない。」と短く答えて、うつむいた。
「やっぱり女の子にこんなとこ登らせるのは無理があったよな、ごめんな。」
レッドの申し訳なさそうな口振りを聞いて、私は「そんなことない!」と反射的に顔を上げた。
「…だって、レッドが助けてくれる、から……。」
ヒーローに守られる立場にある、か弱いヒロイン、なんてものにあこがれているワケじゃないけれど。
やっぱり好きな人が助けてくれるのは嬉しくて。
「…~っ」
自分で言ってて恥ずかしくて、また顔を背けた。
恋する乙女じゃん!私!
でも……
「?おう。」
「…。」
超がつくほど鈍感な彼にはこれっぽっちも気持ちは伝わらなかったようで。
分かっているような分かっていないような返事が返ってきた(おそらく全然分かっていないだろうけど)。
「お。でも、頑張ったかいあってもうすぐだぜ!」
「え?」
「ほら。あそこ。」
ぐいっと腕を引かれて、最後の段差を登る。
そのまま視線を前にむけると、……そこには1本の大木が生えていた。
タイミングを見計らったかのように、そよそよと心地よい風がふく。
「(あっ…)」
そこで気づいた。
空気が全く違うことに。
すごく暑かったはずが、この場所は気温が今までいた場所とは全く違ってむしろ肌寒いくらいだ。
大木がつくる木陰のおかげなのか、この場所が風通しがいいのかはよく分からないけど……ひどく心地いい。
「どう?部屋で冷房つけてるより、むしろこっちのが涼しいし気持ちいいだろ?」
「ー…うん。」
サワサワと耳に届く音が、高ぶった心を落ち着かせる。
大木に身体を預け、私はレッドに向けて言う。
「レッドはすごいね。私、この森に何回も来てるのに、こんな場所があるの知らなかった。」
「女の子が1人で来るにはちょっと厳しいところにあるからな。仕方ないって。」
「それでも、すごい。」
レッドはきっと、私の知らない場所をたくさん知ってる。
私が気にもとめないような部分を彼は見ていて。私が考えないようなことをたくさん考えているんだろう。
だから、すごい。
心からそう思ってるの。
「レッドといると、知らない世界がたくさん知れるから嬉しいな。」
退屈だった毎日。
見方を変えるだけでキラキラ輝くものになると教えてくれたのは、紛れもなくアナタで。
だから私は、彼にとても惹かれているんだ。
ふわりとそよ風がふいてきて、頬を優しくなでた。
2人しか知らない世界
(知らない世界が知れるから嬉しいと彼女は言ったけれど、)
(君が隣にいるのといないのとでは、俺自身の世界の見え方が全く違うだなんて)
(鈍感な彼女はいつ気づいてくれるだろうか?)
--------
お互いの存在が、お互いを成長させるものだったら素敵だなあと思って。
両思いなのにどっちも鈍感で気づかないっていう設定が大好きです(^o^)
.
「ねえ!どこ行くのー!?」
「いいから着いて来いって!」
先を行くレッドの背中に何度同じ質問をしたことか。
いつまでたっても彼の返事は同じだった。
教える気は全くなさそうだ。
「…もう!」
7月なのに、その暑さはもう真夏同然といっても過言ではない。
動いているからか余計に暑くて、つうっと汗が頬を伝っていくのが分かった。
それに、足場が不安定な岩場をのぼっているから、体力も神経も使う。
…正直言ってかなり疲れた。
もういろいろといっぱいいっぱいな私をあざ笑うかのように、先を行く彼は息切れしていなければ汗も全くかいていない。
男女で体力に差があるとはいえ、そんなバカな!と思いながら、なんだか負けた気がして私は必死にレッドに着いていく。
「(ただ、暑いから夏は憂鬱になるって言っただけなのに…)」
そう。思い返せば原因はただその一言だった。
数十分前のそんな私のつぶやきを聞いたレッドはニカッとなつっこい笑顔を見せて、私の手を引いて歩き出したのだ。
彼が向かったのは、マサラタウンの近くにある林で。
そこの奥深く…ちょうど足場が急になっているまるで崖のような段差を今必死に登っているというわけだ。
「ひゃっ」
そんな考え事をしながら足を進めていたせいか、左足を乗せた岩がぐらりと揺れた。
やばいと思って手を伸ばすけど、今は段差を上っている最中ー…当然目の前に掴むものなんてなくて。
「!」
「わ、」
レッドは素晴らしすぎる反射神経で、伸ばしかけていた私の腕をパッととって引き寄せた。
「大丈夫か!?」
本当に心の底から心配してくれるレッド。
引き寄せられたから、身体が密着してるし、すぐ頭の上から声が聞こえるし、心臓が緊張とドキドキでうるさいし。
もうなんかいろいろとヤバい…。あと、いろいろと暑い…。
「どっか怪我した?」
一向に返事をしない私に彼が聞く。
私は緊張が顔に出ないように「…してない。」と短く答えて、うつむいた。
「やっぱり女の子にこんなとこ登らせるのは無理があったよな、ごめんな。」
レッドの申し訳なさそうな口振りを聞いて、私は「そんなことない!」と反射的に顔を上げた。
「…だって、レッドが助けてくれる、から……。」
ヒーローに守られる立場にある、か弱いヒロイン、なんてものにあこがれているワケじゃないけれど。
やっぱり好きな人が助けてくれるのは嬉しくて。
「…~っ」
自分で言ってて恥ずかしくて、また顔を背けた。
恋する乙女じゃん!私!
でも……
「?おう。」
「…。」
超がつくほど鈍感な彼にはこれっぽっちも気持ちは伝わらなかったようで。
分かっているような分かっていないような返事が返ってきた(おそらく全然分かっていないだろうけど)。
「お。でも、頑張ったかいあってもうすぐだぜ!」
「え?」
「ほら。あそこ。」
ぐいっと腕を引かれて、最後の段差を登る。
そのまま視線を前にむけると、……そこには1本の大木が生えていた。
タイミングを見計らったかのように、そよそよと心地よい風がふく。
「(あっ…)」
そこで気づいた。
空気が全く違うことに。
すごく暑かったはずが、この場所は気温が今までいた場所とは全く違ってむしろ肌寒いくらいだ。
大木がつくる木陰のおかげなのか、この場所が風通しがいいのかはよく分からないけど……ひどく心地いい。
「どう?部屋で冷房つけてるより、むしろこっちのが涼しいし気持ちいいだろ?」
「ー…うん。」
サワサワと耳に届く音が、高ぶった心を落ち着かせる。
大木に身体を預け、私はレッドに向けて言う。
「レッドはすごいね。私、この森に何回も来てるのに、こんな場所があるの知らなかった。」
「女の子が1人で来るにはちょっと厳しいところにあるからな。仕方ないって。」
「それでも、すごい。」
レッドはきっと、私の知らない場所をたくさん知ってる。
私が気にもとめないような部分を彼は見ていて。私が考えないようなことをたくさん考えているんだろう。
だから、すごい。
心からそう思ってるの。
「レッドといると、知らない世界がたくさん知れるから嬉しいな。」
退屈だった毎日。
見方を変えるだけでキラキラ輝くものになると教えてくれたのは、紛れもなくアナタで。
だから私は、彼にとても惹かれているんだ。
ふわりとそよ風がふいてきて、頬を優しくなでた。
2人しか知らない世界
(知らない世界が知れるから嬉しいと彼女は言ったけれど、)
(君が隣にいるのといないのとでは、俺自身の世界の見え方が全く違うだなんて)
(鈍感な彼女はいつ気づいてくれるだろうか?)
--------
お互いの存在が、お互いを成長させるものだったら素敵だなあと思って。
両思いなのにどっちも鈍感で気づかないっていう設定が大好きです(^o^)
.