時候の挨拶を覚えよう
夢小説お名前変換こちらから
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
▼10月(マサラ組)
綺麗に色づいた紅葉も枯れ始め、少し風が冷たく感じるこの季節。
「さ、アンタ達、落ち葉を集めてきてちょうだい。焼き芋するわよ!」
「はー?自分で集めればいいだろ。」
「なんでこのブルーちゃんが動かなきゃいけないのよ。いい?アンタ達はアタシの家来も同然なんだから黙って言うこと聞きなさい!」
「嫌に決まってんだろ!だいたい家来って、」
「あーらレッド。この前アンタの家で見つけたアレ、ばらしてもいいのかしら?」
「よし、プテ。かぜおこしで紅葉を落とすんだ。ブイはサイコキネシスでそれをここに集めて、ピカは…」
そんなブルーとレッドのやり取りを私は少し遠くから見守っていた。
あーあーあ。完全に言いなりじゃん。
びゅうっと風がふいてきて、その冷たさに思わず身震いをする。
「イミテ!お前も手伝えよ!」
「えーやだよ。寒い。それにレッドだけで十分枯れ葉集まりそうじゃん。」
「それもそうね。じゃあアンタはグリーンのこと呼んできて。」
「めんどくさ…」
「だって、約束の時間過ぎたのにアイツ一向にこないんだもの!」
「ジムが忙しいんじゃない?」
「アタシを誰だと思ってるの?下調べ済みよ!今はちょうど昼休みの時間。」
「ブルー…もはやストーカーみたい。」
「いいから早く連れてきてちょうだい。その間に準備はすませておくから。あ、ちなみに今の時期トキワジムは暖房ついてるから暖かいわよ。」
「行ってきます!」
トキワジムまで、手持ちのカイリューに乗ってひとっ飛び。
あっという間についた。
元々マサラタウンからトキワジムまでそんな距離ないんだけどね。
トキワジムの窓からこっそり中を覗けば、あらブルーの言ったとおり、グリーンはソファーに座って読書タイムだ。
コンコン、と軽く窓を叩くと、グリーンが怪訝そうにこっちを見る。
窓の鍵を指さしてついでに『開けて』と口パクで伝える。
するとグリーンは、彼には似つかわしくないとろとろとした動作で窓のところまで来て鍵をはずした。
うーん、とってもめんどくさそう。気持ちが行動に現れてますよ、グリーンさん。
窓が空けられて、室内のぬるい空気がもわっともれた。
「グリーン。ブルー様がお呼びですよ。」
「やっぱりそのことか…。」
「今日は焼き芋するんだって。」
「お前ら平和だな。」
はあ、と彼から軽いため息がもれる。
「とにかく早く来てよ。グリーンが来てくれないと私が後から何か言われるんだからね。」
「体調不良で欠席とでも言っとけ。」
「ダメダメ。そんなのすぐバレる。ブルー、ストーカーと化してるからね!」
「チッ…」
舌打ちしながらも、グリーンはソファーにかけてあったジャケットを羽織り準備を始める。
なんだかんだ言っても、彼は私達に甘い。
そのことを改めて感じて、顔が緩んでしまった。
「…なに気持ち悪い顔してるんだ。」
「それすごい失礼だよ!…楽しみで、さ。」
「芋が?」
「違う!それもあるけど、皆でこうやって何かできることが!…この温度、私、大好きだなあ。」
「…」
「いつも思うの。ずーっとこのままの関係でいられればいいなあって。」
「……そうか。」
そんな話をしていると、支度を終えたらしいグリーンがこっちに向かって歩いてきて。
「準備できたなら早く行こう」と声をかける前に、
ふいに。彼の手が私の頬に触れた。
「…冷たいな。頬。」
「…、」
え、なに、
驚きすぎて声も出ない私を、グリーンは無表情のまま見つめる。
なんでこんな近いの。
というか触れることも触れられることも、今まで何度もあったはずなのに。
室内にいたからあったかい彼の熱が、私の冷たい頬に、じんわりとうつる。
しだいに顔に熱が集まって。
頬が赤くなっている気がして。
この空気に緊張している自分がいて。
「(なんで、友達…でしょ?)」
目が、そらせない。
彼の深緑の瞳の中に、完全に戸惑っている私が映っていた。
沈黙が続く中、黙って2人で見つめ合う。
「…少しは暖まったか?」
「あ、うん…?暖めてくれてたの?だから、手…、」
「まあ、目的はそれだけじゃないけどな。」
「え…?」
…あれ?
今、グリーン、笑った……?
秋冷の候・紅葉の候
(遅いわよ!アンタ達)
(?どうしたんだイミテ。ぼーっとして…)
(へ?なんでも、ない。)
(…。)
(友達の関係が、)
(ちょっとだけ傾いた日)
───────────
マサラ組で書こうと思ったのに、後半グリーンさんにもってかれたお話。
そして次の月もグリーン夢だと、執筆後に気づいた。