▼９月(サファイア)


ああ、全く持って理解できない。
だってあの子よりも私の方がよっぽど可愛い。


髪の毛は、高めのシャンプーを使ってるし、トリートメントも毎日してるし、ブローも毎日してる。

肌も、お風呂上がりに化粧水をコットンに浸したものでパックして、乳液もばっちり染み込ませて。

服だって流行ものは念入りにチェックしている。


そんな努力のかいあって、皆口をそろえて私のことを可愛いと言う。


最近私は、こっち(ホウエン地方)に引っ越してきた。

当然のようにここでもまた皆にちやほやされて。


でも、彼だけは違ったんだ。

「beautiful！cute！」なんて言って、周りと同じように私のことを褒めたけど。

それは、決して彼の心を虜にしたわけではなかった。



「はあ…、また君は。頬についてるよ、食べカス。」

「へ…！？」

「ほらここ、モモンの実。」

「！！せ、せからしか！せっかく秋になったけん、美味しいものをたくさん食べたかよ！」


サファイアはニカッと笑う。

それにつられてルビーも笑った。


ああ、心が重い。

どうして彼が見ているのは私じゃないの？なんて。

どうして他の人と同じようにならないの？なんて。


「イミテ？元気なかと？」

「そういえばさっきから黙りっぱなしだ。どうかしたのかい？」

「きっとお腹が空いてるとよね？これ食べり。」


ああ、もう。

彼女の曇りない笑顔が心に刺さる。




新秋の候・初秋の候
(彼らと出会ってから初めて迎える秋)

(些細なことで、)
(新たな感情を思い知る)



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サファイアの口調がいまだにつかめていない。