時候の挨拶を覚えよう
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▼4月(クリス)
「はあ~…」
長いこと放置されていた書類の山を片づけ終えて、安堵と疲労から、深い深いため息がもれた。
博士はいつもこうだ。
今回も捕獲の仕事を頼まれて一週間外出しただけなのに、帰ってきたときには研究所は見るも無惨に散らかり放題であった。
今はナナミさんもマサキさんの手伝いに行ってしまっているから、博士の助手は自分1人なわけで。
「(思っていたより、重労働だわ…)」
研究所にある物の位置なんてまだ完全に覚えていない。
いちいち確認しながらの作業は、なかなか骨が折れるものであった。
まだ4月なのに動いたせいか白衣が暑い。
「珍しく暗い顔してるね、クリス。」
「!イミテ!」
「こんなに気持ちいい天気なのに。そんな顔、似合わないよー?」
窓の外からクスクスと笑う彼女。
イミテの顔を見たら、なんだか少し肩の力がぬけて。
クリスはうっすら笑う。
「そうね。もっと頑張らなくっちゃ!」
「…。」
ひょいっと、軽々と窓枠を飛び越えてイミテは部屋の中に入った。
土足…!と声をあげようとしたけど、ちゃっかり靴は脱いでいたみたいだ。いつの間に。
「行こう!」
「え…?どこに?」
「外!少し散歩しようよ!今日、太陽もでてるし、あったかくて気持ちいいよっ。」
「待ってまだ仕事中…!」
「へーきへーき!休憩だと思って、少しだけ。」
「ダメよ!そんな無責任なことできないわ!」
「やっぱりクリスは真面目だなあ。そう言われると思って、実は博士にもう許可とってあるんだよね~」
「え、」
「だから、ね!行こう!!」
手を引かれ、必然的に身体が動く。
彼女は私のことを真面目だと言うけれど、私にとっては彼女の方がよっぽど真面目だ。
こうして度々私の様子を見に来て、度々、息抜きをさせてくれる。
「…ありがとう。」
「なにがー?」
ふわり。
知らないフリして、彼女は笑った。
春暖の候・陽春の候
(暖かい、太陽みたいな子)