言葉の中の真実
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ケーキを食べた後、トキワを後にした私達。
帰り道、私はあることを思い出し、シルバーの顔をのぞきこんだ。
「シルバー。ブルーに貸してた本取りに行かなきゃいけないんだけど、今から家行ってもいい?」
「いや…、今日は姉さんいないから…。」
あ、そっか…。
朝そんなようなこと言ってたっけ?
「じゃあ家に上がらせて?部屋のテーブルに置いてあるからいつでも取りにきてって言われたの。」
「きょ、今日はちょっと…」
「えーなんで?本取ったらすぐ帰るよ?」
「そういう問題じゃなくて…」
言葉をつまらせるシルバー。
こんなこと滅多にないのに…なんかおかしい。
「とにかく!家近いんだからいいじゃない!」
現にブルーとシルバーの家はもうすでに目と鼻の先にある。
「ダメだ!」
でもシルバーは引こうとしない。
「ケチー!!」
言い争いをしているとガチャリと家のドアが開いた。
「あら!声がすると思ったら…どうしたの?」
「あ、ブルー!なんだいるじゃん。」
「?今日は朝からずっと家にいたわよ。」
「え、だって…。」
不思議に思いながらシルバーのほうを見ると、冷や汗をかいてる?
「あーら、シルバー。朝からいないと思ったら、そんなところにいたのね。」
ブルーがニヤニヤしながら詰め寄れば、シルバーは後ずさりをした。
「シルバー。私が昨日の夜見てたカフェのチラシ、知らない?」
「そ、それは…」
まるで全てお見通しよ!…って感じのブルーの口調。
ん?チラシって…。
「…もしかしてそれって朝のやつ…?」
「ははーん。やっぱり。犯人はシルバーね。無断で持って行くなんていい度胸してるじゃない。」
ああ、なんだかブルーが怖い。
空気がいつもと違う…。
「話しは帰ってきてから聞くわ!さっさと送ってきなさい!!」
そう言うとブルーは扉をバタンと閉めた。
「……。」
シルバーはピクリともせず固まっている。
「シルバー?私1人で帰れるから…ブルーに謝ってきたほうがいいんじゃない…?」
なんか私まで責任感じちゃって、おずおずとそう言えば、シルバーはため息を1つ。
「いや、送る。」
ため息つかれてまで送ってほしくないです!
密かにそう思った。
「それにしてもシルバー、何でブルーのもの、勝手にもってっちゃったの?」
「…。」
「あ、ケーキ食べてブルーが太るのが嫌だったから?」
「…。」
「違うか…。となると…シルバーもケーキが食べたかったから?」
…いや、シルバーは結局コーヒーしか飲まなかったし…。
「ちょっとー。なんとか言ってよ。私まで暗い気持ちになってくるじゃん。」
いくらブルーに怒られたのがショックだったからって、黙りこまなくても…ねえ?
「あー分かった!私をデートに誘う口実が欲しかったからかー。」
空気を盛り上げようと、いつものように少しおちゃらけたことを言ってみた。
顔を赤くしながら、少し怒り気味に否定するシルバーを期待して。
するとシルバーはスッと足を止めて、私のほうを振り返った。
あれ?顔赤くなってない。
「そんなんじゃない。」
彼は真面目な表情で、冷静にそう呟いた。
「わ、分かってるよ!冗談だって!そんな真面目に否定しないでよねっ!」
…何か様子がいつもと違う?
「口実じゃなくて…」
「分かってるって!私のことが嫌いだからってそこまで言わないでよ。」
意外と繊細なんだよ、私?
さすがにそこまでバッサリ言われると傷つくよ。
私はシルバーのこと好きなのにさ。
弟みたいで可愛くて。
「帰ろっか。」
ニッと笑って歩き出した。
…つもりが前に進めない?
違和感を覚えて手首を見れば、シルバーの手があった。
顔をあげれば、ばっちりシルバーと目が合った。
しばらく、そのまま。
シルバーの銀の瞳にとらえられて、身動きがとれない。
どうしたらいいか、分からない。
まるで、空気が止まったよう。
やがてシルバーが静かに口を開いた。
「…口実とか、そんな軽い気持ちじゃない。今日誘ったのは…、」
辺りの音は聞こえない。
耳に入ってこない。
ただ気になるのはシルバーの声のみ。
お前に惚れてるからに決まってるだろ
(勘違いするな)
……あれ?
それは恋の予感。
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お題→『確かに恋だった』様
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