次の日の朝。

「んー！」

私はベッドの上で大きく伸びをした。


昨日よく寝たからスッキリした！

結局シルバーを待ってる間、ポケモンセンターのベンチで爆睡しちゃったんだけどね。



「うーん！いい天気！」

シャッとカーテンを開け、ついでに窓も開けると、玄関の前にシルバーの姿があったのが見えた。


あれ…私、待ち合わせしてないよね？

それに玄関のチャイムもなってないし…。



とりあえず玄関のほうに回って扉を開けた。

すると呆気にとられたような表情のシルバーと目が合う。


「シルバー…どうかしたの？」

「……。姉さんにもらった。」


シルバーは一枚の紙切れを私に見せる。


「これ…新しくできたカフェのチラシ…？あ、ケーキのクーポンついてる。」

「……やる。お前甘いもの好きだろ？」

「え…！？いいよ、悪いし。ブルーにあげなよ。」

「姉さんは用事があって今いない。それに有効期間が今月いっぱいなんだ。」

「じゃあ一緒に行こう？」

「いや、俺は甘いもの嫌い「うん、行こう。出発！」


私は半ば強引にシルバーの手を引き歩きだす。

だってこうでもしないといつまでも拉致あかないし。


せっかくの休日だけど、やることないしいいよね？





あの後数時間かけてトキワシティに到着。

ひこうポケモンに乗ればあっという間だったんだろうけど、あいにく私のリザードンは昨日の夕方から定期検診に行っている。


…シルバーとの手は繋がれたまま。

たまに振り返って私達のことを見る人もいたけど…恋人同士にでも見えたのかな？

私としては弟をひっぱる姉って感じなんだけど。


「あ…」

別れ道にさしかかり足を止める。


「カフェってトキワジムの近くにあるの？」

「いや、少しはずれらしい。」

「…じゃあこっちかな。」

私は右の道を進む。


「違う。こっちのが近い。」

今まで一方的に掴んでいた手に力がこめられ、今度は逆に引っ張られた。


立場逆転。

「…兄と妹になっちゃった。」

「なんか言ったか？」

「ううん、なんでもない。あ、ねえシルバー？」

「なんだ？」

「今日、いつから家の前で待っててくれたの？」

「！//」


シルバーは真っ赤な顔になって、ついでに手もふりほどかれた。

なんかもったいないことしたな。



「そ、そんなの、」

シルバーは少ししどろもどろしになりながら答える。








偶然に決まってるだろ
(そうだ、お前をずっと待ってた)



それは少し苦しい言い訳なのでは？