Forever…
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彼女は、優しかった。
とにかく、優しかった。
まず、彼女が誰かの悪口をもらしているところなんて見たことないし聞いたこともない。
それ、絶対ムカつくでしょう?ってことも、彼女はいつも笑顔でかわす。
よく言えば、優しい子。
悪く言えば、本音を言わない上辺だけの子。
それが私の彼女に対する第一印象だった。
対する私は、何でもかんでも口に出しちゃう性格で。
これ嫌!とかあれは最悪!とか、思ったことは周りに全部つつぬけ。
だから時々、彼女のことも無意識のうちに傷つけてしまってるんじゃないかと少し不安になる。
でも、それでも。
彼女はいつも、私の側にいてくれた。
『名前は?』
入学式から数日たったある日。
ポツン、と教室で独りぼっちでいた彼女に声をかけたのは私だった。
私は別に同じクラスに元々同じ学校だった友達がいたけれど、入学早々、悲しそうに窓の外を見ている彼女をほうっておけなかったんだ。
『え?』
驚いたような、まん丸な瞳と目が合う。
まるで自分が話しかけられることなんて、予想してなかったみたいに。
『名前、何て言うの?』
私が笑顔で言うと、少しびくりと肩をゆらして彼女は『イエロー…です。』とつぶやいた。
『やだなあ!同い年なんだから敬語なんて使わないでよ!しかも、同じクラスなわけだし!』
『え、あ…うん…』
『私は、イミテっていうの。』
『イミテちゃん、』
『うん!これから、よろしくね!』
『!よろしく…!』
それから1年生の1年間。
周りからよく飽きないね、と言われるぐらい私達は一緒にいた。
同じクラスの友達にイエローのこと紹介して、普通にあいさつする、とか、イエローはだんだんとクラスになじんでいったけど。
なんだかんだで、彼女と一番一緒にいるのは私で。
それが私は、なんだかすごく嬉しかった。
でも、それから1年後のクラス変え。
文系のイエローと、理系の私は見事にクラスが離ればなれで。
今にも泣きそうなイエローの頭を撫でて、「帰りは一緒に帰ろうね。」って約束したのはまだ記憶に新しい。
そのときイエローは嬉しそうに笑ったから、てっきり喜んでくれたのかと思っていたけれど…
それから、数日。
「イエロー。迎えにきたよー。…。」
「…あ、うん!」
いつも通り違うクラスのイエローのところに迎えに行けば、イエローは二つ返事で頷く。
だけど今日は少し間があった。
「(あ…)」
少しの沈黙のあと、その理由を理解する。
イエローの周りに数人の女の子。
同じクラスの子だろう。私を見た瞬間、少し訝しげに表情を歪める。
…一緒に帰ろうとしてたのかなあ。仲良くしようとしてたのかなあ。なんて。
そうだよ。イエロー、性格すごくいいもん。
今までは私と2人で仲良くしすぎたせいで周りが入り込む余地がなかっただけで、独りでいれば、あっという間に友達なんてできるよね。
……イエローは優しいから何も言わないだけで、本当は私といるの、もうやめたいかもしれないじゃない。
「…あー、ごめん。やっぱり今日は私、先に帰るね。」
「え…!?」
「用事があったの忘れてたの。ごめん、じゃあ、また明日!!」
イエローにそう言って、私は教室を後にする。
……あの状況で嘘くさくない明るい笑顔をつくれたところは、誉められるべきだと思うなあ、うん。
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