「なんかブルーらしくないな。いつもならとことん俺達をこき使うのに。」

「……人聞き悪いこと言わないでくれる？」

「いや、事実だろ。」

「ちょっと？グリーン？」

「まあまあ、こう見えてもブルーは優し「こう見えてもって失礼ね！」


彼らの言葉に、ブルーは少しふくれっ面になる。

あはは…という笑い声が部屋に響いた。




「あ、いっけね！もうこんな時間だ！」

突然レッドは時計を見るなりそう言って、上着を羽織った。


「何か用事？」

イミテが聞けば、彼は「明日朝一で挑戦者とバトルする予定なんだ！」と満面の笑みで言う。


ふと横を見れば、グリーンも上着を羽織り、帰り支度をしていた。


「グリーンも帰るの？」

「ああ。ジムの仕事がまだ終わってない。」

「そっか。気をつけて。」


笑顔で見送るイミテを見て、ブルーは不可解な顔をする。



「アンタは帰らないの？」

「んー。あとちょっとだけ。」


へらっ、と笑った彼女に、ブルーは思わずため息をつく。


「ため息つかなくったっていいじゃない！」

「夜遅くまで居られるこっちの身にもなりなさいよ。」


「はは、まあ仲良くやれよ。」


レッドは２人の様子を見て苦笑して、グリーンと共に玄関に向かった。


しばらくしてパタン、とドアが閉まる音がした。




「まったく…、アンタはいつ帰るつもりなのよ？」

「じゃあ、食器洗ったら帰ろうかな。」

「はっ…！？」


目を丸くしているブルーを尻目に、彼女は食器をもって台所に向かう。





「ちょ……！そういうのやめてちょうだい！迷惑なのよ！」


思わず強い口調で言ったブルー。

イミテはそれを全く気にとめていないといった様子で、食器をシンクに置いた。



「…っ！聞いてるの！？」

「……。」



ブルーの問いかけに、イミテはスッと振り向いた。




「……っ！？」


ブルーは一瞬固まる。

彼女が睨みつけるように自分を見たからだ。




「レッドの言ってたとおりだね。」

「……は？」


「ブルー、おかしいよ。いつもなら私達にいろいろ頼むくせに、なんで今日にかぎって嫌がるの？」

「……っ」


彼女はいっぱく間をおいて小さく囁くように言った。



「………何かしてないと、落ち着かないの？」

「…！どうしてそれを…、」


「ごめん、シルバーに聞いちゃった。誕生日の日の夜は、いつもブルー、何かしらやってるって。」

「………。」


「しかも、悲しそうな顔してるって。シルバー、心配さてたよ？」



実は今朝、イミテの家にはシルバーから電話がかかってきていた。

『姉さんを頼む』と。


なぜあんなに人がいるのにイミテに頼んだのかは知らないが、彼女の性格上、頼まれたからには何とかしないといけない、と思っていた。

それがブルーなら、なおさら。



.