悲しい心
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『ねえ、そんな気持ちで付き合うなんて相手に失礼よ。』
ブルーは私に、そう言った。
今は1人きりになったこの部屋の片隅で、私は膝を抱えて小さくなって座りこんでいた。
ゆっくりと、しんみりと、さっきのブルーの言葉の続きを思い返す。
『親友としてはっきり言うわ。今のアンタはきっと、彼氏がいるっていうレッテルがほしいだけ。』
『周りから評判のいい人が自分に好意をもってくれたから―…“もったいないから”で付き合ってるだけよ。』
さすがは親友。
私が心の奥底に必死でしまいこんで隠そうとしていた気持ちを、こうもズバズバと言い当てちゃうんだから。
ほんとう、ブルーの言うとおり。
間違ってるところが全くなくて、逆になんだか悲しくなった。
『たしかに付き合うの定義は人それぞれ違うけど…、アタシはアンタには“なんとなく流されて”なんて理由で付き合うの、似合わないと思う。』
『現に鏡、見てみなさいよ。アンタ、すごくつらそうな顔してるから。』
そう言って、ブルーはふわりと私の頭を撫でたんだ。
優しい、私を包み込むような目をして言った。
『自分がボロボロになってまでこんなこと続ける意味…あるの?』
まるで、諭すように。
「(本当に、ブルーの言うとおり。)」
そろそろ、正直な答えを出さなきゃいけないときなのかもしれない。
ずっと握りしめていたポケギア。
着信履歴の一番最初にあるその人に、電話をかけた。
プルルルル…
プルルルル…
ポケギアを当てた左耳から、コール音が響く。
4、5回目でそれはとぎれ、『もしもし!?』という驚いた声が聞こえた。
「もしもし?ゴールド?私だけど…」
『うっわー!先輩から電話くれるなんて初めてじゃないッスか!どうしたんスか!?』
すごく嬉しそうな弾む声。
「うん。あのね…、話しがあるんだ。今、大丈夫?」
対照的に、私の声は暗い。
『…はい。なんスか?』
そんな様子を感じとって何かを察したのか、ゴールドの雰囲気と口調も一瞬にして真剣な、ピリピリとしたものに変わった。
「ゴールドといると、いつも…すごく楽しいの。」
声が震える。
気持ちを伝えるのって、こんなに勇気のいることだったんだ。
「でも、なんだかそれは、恋愛感情とは違くて…、」
怖くても、伝えないと。
私の正直な気持ち。
「こんな気持ちのまま付き合うのは無理だと思ったから…、だから、」
だってこのままじゃ、
「…別れてください…。」
皆、悲しいままだから。
切なく響く言い訳
(けっきょく最初から)
(私と彼の“好き”は違っていたんだ)