赤くないサンタさん
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「…ゴールドがいてくれて良かった。」
「…。先輩。そんなに簡単に信用しちゃダメッスよ。」
「え?」
「今俺がこうしてるのだって、素直に慰めてあげたいっつー気持ちの他に、下心があるかもしれないじゃないッスか。」
「?」
首を傾げれば、ゴールドは眉をひそめて笑った。
そして続ける。
「ぶっちゃけ、俺、先輩が失恋してくれてすげぇ嬉しいッス。」
「な…!ちょっと!ゴールド!人の不幸を喜ぶ気!?」
「だって、これでイミテ先輩は少しでも俺のこと見てくれるようになるじゃないッスか。」
「え、」
「言ったはずッスよ。冗談じゃないって。」
ゴールドは無邪気な笑顔とともに言う。
「大好きッス。イミテ先輩。」
「!!」
え、なんて…?
固まってしまった私をみて、ゴールドは満足げに笑う。
「やっぱ気づいてなかったんスね。」
「えっと、その、ゴールド…?それってどっち?本当?それとも私を元気づけるための、いつもの冗談?」
「だから冗談じゃー…、イミテ先輩はどうなんスか?」
「え?」
「俺の今日のすごく紳士的な行動に、少しでもときめいたりとかしなかったんスか?あ、もう、惚れちゃってたりして?」
ニッと、いつもの冗談を言うときの表情になるゴールド。
もー!どれが本音なんだか全く分からなくなってきた!!
「わ、私は!」
「はい。」
「…今日、ふられたばかりで、こんな状況で次の恋なんてまだまだ考えられないし、第一今までレッドさんばっかりだったから…。ゴールドのこと、そんな対象に見たことなかったし…!」
「…。」
だけどこの心にしみわたってくるのは、彼の優しさで。
今日1日で、彼に対する印象はがらりと変わって。
彼の素敵なところをいっぱい見つけることができて。
「…だけど、今日。ゴールドにドキドキしてたのは事実で…、レッドさんのこと好きだったときよりも、もっとずっと…ゴールドの優しさに胸がギュッてなってて。」
きっと私は、もう気づいてる。
「あの…ごめんなさい。」
「…っ、」
「ゴールドに、惹かれはじめてるかもしれません…//」
「…、」
ゴールドはきょとんとしたまま私を見ていた。
な、なんかしゃべってよ!
ああやっぱり、私を元気づけるための冗談だったのかな…。
でももう、自分の気持ちに嘘はつきたくない!ごまかしたくない!
ギュッと拳をにぎって、もはや勢いまかせで言う。
「たとえゴールドが冗談だったとしても、私は…、」
「先輩。涙、止まりましたね。」
「え、あ。」
言われて、頬に手をやる。
いつの間にか涙は止まっていた。
って、そうじゃなくて!
「このタイミングで言うこと!?」
「先輩のそのムキになったような顔、好きッス。」
「え、」
「俺、本気でイミテ先輩のこと好きッスよ。」
ゴールドは優しい笑顔をうかべて言った。
「よかった…冗談じゃなくて。」
「俺も、よかったー。イミテ先輩、あのタイミングでごめんなさいって、まぎらわしいにもほどがありますよ!」
「え、どのタイミング?もういっぱいいっぱいで自分の言ったこと覚えてないや。」
「先輩らしいッスねー。余裕全くないじゃないッスか。」
ゴールドのその見下したような言い方がなんだか気にくわなくて、
仕返しに、と私は彼に人差し指をつきつけて念を押すように言う。
「いい!?惹かれ始めたって言っただけで、好きとは言ってないからね!まだこれからどうなるか分からないから!!」
「望むところッスよ。もっと好きにさせてみせますから。」
「~っ!」
挑発するように、彼は笑った。
赤くないサンタさん
(今年のサンタさんはちょっと特別)
(いつも想いえがいていた)
(赤いサンタさんではなくて)
(まるで金色に輝く太陽みたいに明るく笑うサンタさんでした)
(どうやらそのサンタさんは)
(太陽みたいにずっと私を見ていてくれたらしいです)
(素敵なプレゼントを)
(ありがとう)
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