赤くないサンタさん
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でも、私の小さな小さな呟きは、ゴールドにだけは届いたみたいで。
ポン、と頭の上に軽く手がおかれる。
ゴールドはそのまま私の横をすりぬけてレッドさん達の元へ早歩きで向かうと……、レッドさんの腕ぐらをつかんだ!?
「レッド先輩はポケモンのことしか頭にないって分かってたけど、女の子の気持ち、ホント全く分かんないんスね。もう少し察してあげましょうよ。」
「は?」
「ああ…無理ッスよね。イミテ先輩が無理して笑ってるのにも気づかないのに。」
ポカンとしているレッドさん。
でも、ゴールドは気にせず続ける。
「アンタがイミテ先輩のこと苦しめてるんスよ。だから、もう近づかないでください。」
「おい、ゴールド、」
「後輩だからってなめないでください。たとえレッド先輩でもイミテ先輩泣かせたら許さないッスからね?」
「(なんで…)」
どうして彼は、私の味方になってくれるの?
どうして、私の本当の気持ちに気づいてくれるの?
そんなことを考えていたら、
ツーっと、我慢していた涙が流れていて…
ゴールドはレッドさんから手を離し、私の元へ戻ってきて…
「うわ、何泣いてんスか。イミテ先輩が泣かないように、俺が変わりに言ってやったのに!」
「だって、だって…、」
いっぱいいっぱいで次の言葉がでてこない。
そのくせ、涙は次から次へと出てくる。
自分の考えがまとまらずに泣き続ける、小さな子供にでもなった気分だ。
ゴールドは苦笑して、顔だけ振りかえると「じゃ俺らもう少ししてから戻るんで」とレッドさん達に言い残し、私の手を引いて歩きだした。
「(ゴールド…)」
何も言えない私の気持ちを分かってくれたのが、たまらなく嬉しかった。
繋がれた手がやけに温かくって、さっきまで冷えていた体が、内側から温まる気がする。
「……ゴールド!」
「はい?」
名前を呼べば、彼は立ち止まりしっかりと、私の声に耳を傾けてくれた。
ああ…なんだか安心できる。
「ありがと、う」
今度はちゃんと言葉がでてきた。
正確に言うと涙がでちゃって最後のほうは聞こえたか不安だけど。
「イミテ先輩。もう泣かないでくださいって。端から見ると、俺が泣かせたみたいじゃないッスか。」
「私だって、泣きたくはないけどっ…、」
止めようと思っても止まらないんだから困ったもの。
ぎゅっ
と、暖かい温もりが、私を優しく包み込む。
「え…、」
「はいはい。じゃあもう泣きやまなくてもいいッスよ。こうすれば周りからは先輩が泣いてるの見えないし。」
…ああ、バカにされてる。
これじゃ、どっちが年下だか分からない 。
でも…あったかいや。
「ゴールドー…」
少し悔しくなってわざと泣きつく素振りを見せれば、ゴールドが少し動揺したのが、背中に回した手から伝わった。
ぷっ…自分からやったくせに焦っちゃって。可愛いとこもあるなあ。
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