赤くないサンタさん
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反射的に顔を向ければ、やっぱりレッド先輩と…その横にイエローの姿が。
「良かった!探しましたよ!」
イエローが大きく手をふり、こっちに向かって近づいてくる。
でも私は、手をふり返すことも返事することもできなかった。
だってまだ、レッドさんが他の女の子といるのを見るのすごく辛いから…。
たとえそれが私の親友でも…だ。
苦しくて、胸がしめつけれられる思いがして。
頭が働かなくなって、声が、出なくなる。
「つーかゴールドもイミテのこと探しに来てたのか!急にいなくなったからどこ行ったのかと思ってたけど。」
「いやあ!こっそりイミテ先輩を呼びに来て、サプライズゲストです!って感じでやりたかったんスけどねー。」
「お前はいつでも自由だな…。ブルーがお怒りだぜ!」
「げっ…ブルー先輩にもバレてたんスか。」
「だからさ、早く戻ろうぜ。イミテももうプレゼント選びは終わったか?」
「…。」
声が、でない。
レッド先輩はいつもと変わらず私に笑いかけてくれるのに。
その優しさが今はなんだかとても痛い。
私の告白は…勇気は、想いは、何でもなかったようにキレイに消されちゃったみたいな感じがして。
「イミテ、どうかしたの?」
それを見て心配そうに聞くイエロー。
「…なんでも、ない。」
「なんでもないようには見えないよ。どっか痛いの?」
「なんでもないから…」
イエローの優しさに触れると、 私の醜さがよけいにあらわになってしまう気がする。
ここに来るまで、2人で何の話しをしたのかな。
イルミネーションとか見て、2人で綺麗だね、って笑いあったのかな。
幸せな時間を過ごしていたのかな。
なんて。
私を探しに来てくれたのに。
それなのに。
私は、嫉妬してばかり、で。
「イミテ、」
「もう…ほっといてよ!!」
口から出たのは、そんな言葉だった。
私の大声に道を行く人たちも思わず足を止めて、一瞬、本当に静かな雰囲気があたりをつつんだ。
私、何やってるんだろう…
大切な親友にあたるなんて
空気がつきささる
視線がつきささる
痛い、よ
「イミテ。イエローは心配してくれたんだぞ。そういう言い方はないんじゃねーの?」
いつも笑顔のレッド先輩が、真剣な顔でさとすように言う。
分かってるよ、そんなこと。
分かってるのに言われるのが、悔しい。苦しい。
ああもう…泣きそうだ。
「レッドさん、僕は大丈夫ですから。」
イエローは、少しさびしそうに笑った。
バカだ、私。
優しいイエローを傷つけた。
早く、早く。
「ごめんなさい」って彼女に謝るべきなのに、言葉がのどにつまってでてこない。
私が悪いのは明らかなのに。
自覚してるのに。
妙なプライドが邪魔して、素直になれない。
「たく…。イエロー、行くぞ。」
「えっ、でも……」
イエローの手を引っ張って歩き始めるレッドさん。
ほら。呆れられちゃったじゃない。
「(バカ、だ、)」
だんだんと遠くなる2人の背中を見送りながら、心の中でつぶやく。
追いかけようにも、足が動かず。
引き止めようにも、声にならず。
悔しくて、うつむいた。
「……ごめんなさい」
やっと口から出たのは、そんな言葉。
それも2人には到底聞こえないほどの小さな声。
今の私にはこれが精一杯だから…。
……ごめんね。
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