赤くないサンタさん
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そうそう。実は今日は、図鑑所有者のカントー組とジョウト組でパーティーを行う予定だった。
だけど、私はレッド先輩に告白して断られてからずっとここにいる。
『私、まだ買い物あるんで!』なんて適当に理由を言って別れたから、レッド先輩はもうパーティー会場(トキワジム)についているだろう。
もうパーティーが始まる時間はとっくに過ぎちゃってるけど、レッド先輩と顔、合わせづらいしなあ…。
……皆、心配してるかな?
ううん、私がいなくなったってなんら変わりはないんだし。
まあいいよね。
「せーんぱい!」
突然の元気な声とともに、頬に伝わった 熱い感覚。
「熱っ!」
思わず声を上げてふりむくと、してやったりな笑顔をうかべたゴールドがいた。
「へへっ。驚きました?それ、差し入れッス。」
今さっき頬に当てられたのは、どうやら缶のココアだったらしい。
受け取り、両手で包みこむように触ってみると、すごく温かかった。
「ありがと…」
ぶっきらぼうにつぶやいた言葉に、ゴールドはプッとふきだした。
笑ったの隠すように顔そむけてるけどばれてるからね!
「ゴールド、パーティーは?」
「へ?」
「クリスマスパーティー!」
「ああ。もう始まってるッスよ。」
「そうじゃなくて!だったらなんでゴールドはここにいるの!?」
「そんなのイミテ先輩がいなかったからッスよ。」
「わ、私…?」
私は今、すごく驚いてる顔をしているだろう。
だって1人欠けたことぐらい、気にする人なんていないと思ってたから。
ゴールドはそんな私の反応を見て、ニッと満足げに笑った。
「で、イミテ先輩は何でこんなとこにいるんスか?パーティーのこと忘れてたわけじゃないんスよね?」
「それは…その…」
「…」
「プレゼント選びに時間かかっちゃって!」
「…」
「…」
そんな今思いついた言い訳で納得させられるハズもなく、ゴールドはじぃっと私を見てくる。
その無言の圧力に負けて、私は「あのね…、」と口を開いた。
「パーティー会場、行きたくなくて。」
「なんでッスか?」
「顔、合わせづらい人がいるの。」
「誰?」
「…。」
さすがにそれはストレートに言えなくて、思わず口を閉じる。
「…。まっ、俺としてはラッキーなんスけどね!」
「へ?」
「ほら、イミテ先輩と2人きりになれたわけだし!」
へへへ!といつもの軽いノリで笑うゴールドに、私も少し、安心した。
「だけど、1つ残念ッス。」
「なにが?」
「イミテ先輩がすげぇ思いつめた顔してること。」
「えっ…」
「何があったんスか?」
「…。」
言葉がでなくて、また無言になる。
だってなんて言えばいいの…?
「当てて見せましょうか?」
「へ…」
「レッド先輩と何かあったんでしょう?」
「何で知って…、あ!」
しまったと口を閉じたときにはもう遅かった。
ゴールドは苦笑して言う。
「イミテ先輩の考えてることぐらい、なんだって分かるんスよー。ずっと見てたから。」
「へ!?な、なにそれ!」
「なんつって。パーティー会場でレッド先輩にあったとき、いつもと少し様子が違ったから。あ、ときめいちゃいました?」
ニッと無邪気に笑うゴールドに、「バカ!」と言って、ベシッと頭を叩いてやった。
ちょっと、自意識過剰なこと考えちゃったじゃんっ。
「……ふられたの!レッド先輩に。」
でも、おかげで、そんなゆるりとした雰囲気にのせられるように伝えることができた。
ゴールドは一瞬驚いた顔をして、「そうだったんスか。」と、低い声でつぶやいた。
「あ、でも暗くならなくていいよ!私、全然平気だしっ!」
努めて明るく、笑ってみせる。
「ほらなんだろう…私にとってレッド先輩はアイドルみたいな存在で、クリスマスの雰囲気につられちゃって、つい、言っちゃった…みたいな?元々、立場が違う…みたいな?」
にっこりと、笑顔をつくる。
でもゴールドはなぜか冷めた目のまま私を見ていた。
「嘘つかなくて良いッスよ。」
「嘘なんて、」
「ずっと好きだったんでしょう、レッド先輩のこと。」
「…っ。」
図星をつかれて息をのむ。
私、そんなに嘘つくの下手だったかなあ。
レッド先輩はだませたのに。
「先輩の表情みてれば、そんな嘘、すぐ見破れますよ。」
「…ゴールドは鋭いね。」
「イミテ先輩、限定ですけどね。」
「?どういう意味?」
「言いましたよね?イミテ先輩のこと、見てたって。」
「あれは冗談でしょ、」
「冗談じゃないって言ったら?」
私の言葉にかぶせて、ゴールドがそう言った。
えっ、と思い顔を上げれば、いつもとは違う真剣な表情の彼と目が合う。
「冗談じゃ…ない…?」
半ば放心状態で聞き返した、その直後。
「いた!イミテ!」
ずっと想い焦がれていた、彼の声がした。
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