スケートボード
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その日、レッド先輩との修行を終えた俺は、いつものように愛用のスケートボードに乗ってイミテの家に寄った。
でもインターホンを鳴らしても誰もでてこねえ。
「(でかけてんのか…?)」
まあ今日はいつもより早いし、もしかしたら買い物にでも行ってんのかも…。
少し待ってみるか。
スケートボードを壁に立てかけて、俺は玄関前に座りこむ。
早く帰ってこねえかな…。
「浮かない顔してるわねー、ゴールド。」
真上から声がして驚いて顔をあげると、ピンク色の物体…プリンがいた。
その上にスラリとした足をながして座っている美人―…ブルー先輩だ。
「何してるんスか、ブルー先輩?」
「べつにー。お散歩よ!」
ブルー先輩はそう言ってパチリとウインクする。
というかブルー先輩、この角度からだとパンツ見えそうなんスけど。
あの人のことだから分かっててやってんのか?
「暇なら俺とデートでもします?ブルー先輩なら大歓迎ッスよ。」
「悪いけど、あたしはそんなに軽い女じゃないわよ。」
「ですよねー。そう言われると思ってました。」
俺が笑うと、ブルー先輩は顔をしかめる。
「ゴールドは、もしあたしがオッケーしてたらデートしたの?」
「もちろんッスよ!」
「……イミテと何か約束してるんじゃないの?」
「何もしてないッスよ?」
「じゃあ何で家の前で待ってるのよ?」
「いや、この時間にコイツの家に寄るのが、昔からの習慣みたいなもんなんで…。」
幼なじみだから、な。
約束なんかしてなくったって、それが当たり前なんだ。
「そう。そういえばアンタ達、幼なじみって言ってたわね。」
「まあ、そんな感じッス。」
「………だから、」
ブルー先輩がジッと俺を見た。
「だから、怖かったんでしょう?」
一瞬の沈黙。
「は……?」
「怖いんでしょ、ゴールド。いつも一緒にいたイミテが、いつか自分から離れちゃうんじゃないかって。」
「ブルー先輩、急に何言って…」
「イミテに聞いたわよ。ゴールド、イミテの前で他の女の子の話ししてるんですって?」
「…べつに俺が誰に何の話ししようと勝手じゃないッスか。」
何だかブルー先輩は、俺の気持ちを全てを知ってるみてえで怖くなって、目をそらした。
バレるのが怖くて、つい強い口調になる。
「ゴールド、このあたしに隠しごとしようなんて百年早いのよ!」
ビシッという効果音がぴったりなくらい勢いよく、俺に人差し指が向けられた。
「アンタ、本当はイミテのこと好きなんじゃない?」
なんだよ、もうバレてたのかよ…。
「イミテが嫉妬してくれるのが嬉しくて、他の子の話ししてたんでしょ?」
「………。」
「自分に関心を持たせて、イミテが離れないようにしたかったんでしょ?」
「………。」
まさに心の中で思っていたことを言い当てられて、何も言い返せなかった。
情けねーな、俺。
イミテが好きかもしれない。
それに気づいた時は、べつに特に驚きもせず、やっぱりな、って感じだった。
薄々分かってたんだ。
一緒にいる時間が長ければ長いほど、イミテに惹かれていく感じがしてた。
でもその気持ちを伝えるには、一緒に過ごしてきた長すぎた時間が邪魔になった。
今さら、今までの関係を変えられるなんて考えられなかった。
何だか、気恥ずかしかった。
思わず他の女の子の話しをしてみたら、イミテがムッとした表情になってつまらなそうにしたから、……なんだか嬉しかったんだ。
だって俺のことなんとも思ってないなら、そんな表情しねえだろ?
少しでも大切に思われてることが分かって安心した。
イミテをつなぎ止められてる気がして、嬉しかったんだ。
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