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真っ直ぐリビングに進んで、椅子に座った彼。
はあー、とまるで自分の家のように満足げにくつろいでいる。
「はい、ケーキ。飲み物、紅茶でいい?」
「お茶が飲みてえな。」
「え、ケーキにお茶?趣味悪いね。」
「ほっとけ。さっきまでオーキド博士のところにいたから年寄りがうつっちまったんだよ。」
変な理由、と思ったけどさすがにこれ以上言うと機嫌が悪くなりそうだから止めといた。
私は一旦リビングに戻り、お茶をいれるとゴールドの前に置いて、向かい合わせに座った。
「年寄りがうつったって……博士に会ったの?」
「ああ。ポケモンの卵の研究したいから手伝えって言われて、わざわざマサラまで行ってやったんだ。」
「マサラまでか…。だいぶ急だね。」
「まったく、オーキドのじいさんは人使いがあらいから困るぜ。」
「ふふ。サボリ癖がひどいゴールドには丁度いいんじゃない?」
「何言ってんだ。こんな真面目な好青年、他にいないぜ?」
彼は片肘をつきながらニッと笑って私を見た。
瞬間、私の胸はドキッと高なる。
ああ、いつからだっけ?
(彼の何気ない行動に、仕草に、)
(いちいちドキドキしはじめたのは)
たぶん、ううん絶対。
ゴールドは私のことを幼なじみとしか見てないだろうけど。
だってさ、
「マサラからここ来るときも道聞かれてさ、親切に教えてやったんだぜ。」
「へー…。…で、そのついでにまたナンパしたわけ?」
「おー、よく分かったな!すっげー可愛い子でさ、ポケギアの番号ゲットしたんだ!」
ほら、私のことなんて見てない
彼の視線が私に向けられることはない
ほらほらとゴールドは私にポケギアの電話帳画面を見せつける。
「この人は2つ年上で、ヒワダタウン出身なんだとよ。俺、てっきりタマムシシティとかのほうかと……、おい、イミテ聞いてんのか?」
あまりにぼーとしてたからか、彼は不満そうな様子で私に話しかけた。
「聞いてないけど?」
「こっちが話してんだからちゃんと聞けよな!」
「いや!ナンパ話はもうウンザリ。毎回毎回、そんな話聞かされてもおもしろくないし。」
ゴールドには分かんないでしょ?
「話しするぐらいいいだろ?世間話ができないと友達いなくなるぜ?」
「そんな世間話すんのアンタぐらいだから!どーせ話するならもっと楽しい話にしてくれる?」
「俺の武勇伝聞かせてやってんだぞ!十分楽しい話じゃねーか!」
好きな人が他の人のこと話すだけで、こんなに胸が痛くなるなんてさあ―…。
「手当たり次第に女の子に声かけて、楽しい?」
「ああ!お前と違ってかわいこちゃんがいっぱいいるからな!」
「……あっそ。じゃあ勝手にすれば。ただし、いちいち報告してこないでっ!」
結構つらいんだよ
この気持ちに気づいた、その時から、ずっと
私達は幼なじみ
だから昔から何も変わることない
この距離も、
雰囲気も、
関係も、
変えたくても変えられない
いつも何かが胸の奥につかえてるみたいで
じれったくて、もどかしい
「さーて、イミテの機嫌も悪くなってきたし、そろそろ帰るかな。」
「誰のせいだと思ってんの?」
「………あ、うまかったぜ、これ。さんきゅー。」
ゴールドは空になったお皿を指差してニッと笑った。
「………うん。」
ゴールドの笑ったところ、好きだなあ。
小さい頃から見慣れてるからか、安心できる。
幼なじみって嫌だけど、幼なじみだからこういう顔をすんなりと見れると思うと、なんとも言えなくなる。
複雑な気持ちが私の中にながれていた。
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