悲しい心
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「(恋って、どんなのだったっけ…)」
ポツリ、と心の中でつぶやいた。
もうずいぶんと、恋をしていない気がする。
気になる人もいなければ、好きな人もいなくて。
恋ってさあ、気づけばその人のことばかり考えてて、話したくて、会いたくて、目が合っただけで嬉しくて、楽しくて。
「(たしか、そんな素敵なものだったなあ…)」
…なんて、どこか他人事のように、また心の中でつぶやいた。
恋がしたい。
そう思ってはみたものの、さっき言ったように好きな人がいないから、しようがないんだ。
てくてく、てくてく。
足を進める。
目指すのは、とある男の子がいる場所。
私に、話があるらしい。
話の内容なんて…感づいてる。
だってここ最近、彼は特に隠す様子もなく私に猛アピールしてきたから。
別に嫌じゃなかった。
でも、嬉しくもなかった。
答えなんてでていない。
よく、分からない。
分からないまま、私は約束の場所へと向かう。
「あ…!先輩!」
待ち合わせ場所に行けば、太陽のような明るい笑顔とともに私に向かって手をふる彼がいた。
「おまたせ、ゴールド。待った?」
私も笑顔を彼…ゴールドに返す。
「全っ然!今来たところッスよ!」
また、明るい笑顔。
ゴールドといると穏やかな気持ちになれる。
なんだか安心する。
……この気持ちは恋じゃないけど。
それは、たしかなのに。
「突然呼び出してすいません。」
「ううん、平気。…で、話ってなに?」
私は、ずるい。
なんの話しかなんて分かってるのに。
気づかないフリ。
気づいてないフリ。
もしかしたら、心のどこかでそうじゃなければいいと願っているのかもしれない。
「突然、こんなこと言われても、びっくりすると思うんですけど…」
それは、
「俺、先輩のことが…」
叶わないと、
「すげぇ好きなんです。」
分かってるのに、ね。
ゴールドの目はすごく真剣で、頬は少し赤い。
この子は、本気で私のことを想ってくれてる。
こんないい子、私にはもったいないなあ、と思う反面、どうして私?という疑問もうかんでくる。
私が呆然としているのに気づいて、彼は伏し目がちになって続けた。
「初めて会った時からいいなあ、って思ってて。一緒にいるうちに、どんどんどんどん惹かれていって。」
そうだよね。
それが、恋っていうものだよね。
「守りたいって思ったんスよ。先輩のことを。」
「………。」
彼は、私のことを好いてくれている。
私は彼のことは好きじゃない。
恋してない。
好きな人もいない。
恋人もいない。
恋はしたいと思うけど、別に今すぐ恋人がほしいとは思わない。
でも……。
たまに、…本当にたまに。
1人でいるのがどうしようもなくさびしくなる時があるの。
1人にたえきれなくて、泣いてしまう日があるの。
さびしくて。
さびしくて。
「俺と…付き合って、くれませんか?」
お互い100%の気持ちで付き合えるなんて幻想だ。きれいごとだ。
そのうち好きになれるかもしれないし…いいよ、ね?
寂しがりは嘘つき
(………はい。)
(こくりと、頷いた)
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