アナタにとっての、あたし
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次の日。
グリーンがやつれた顔してでてきたら、文句の1つでも言ってやろう。
そう思いながらトキワジム裏口の扉を叩いた。
ガチャッと音がしてでてきた彼は……。
「あれ…?」
「何だ?」
「いや、別に…。」
意外と疲れてなさそう。
むしろ、至って普通だった。
「昨日は悪かったな。」
「いや、そんなん別にいいんだけどさ…。…書類終わったの?」
「ああ。…手伝ってもらったから案外早く終わったんだ。」
「は!?誰に!?」
奥からカツ、カツとヒールの音がして、あたしもよく知っている人がでてきた。
「あたしが手伝ってやったのよ!時給千円でね。」
「…金をとるなんて聞いてないぞ。」
彼女がイタズラっぽく笑えば、反動で茶色い綺麗な髪がなびく。
ブルーだった。
「びっくりしたわよ!扉あけたら今にも倒れそうな顔した人がでてくるんだもの!」
「うるさい女だ。」
どうやらブルーは昨日用事があってトキワジムに来たらしい。
そしてやつれてるグリーンを見つけた…という訳だ。
「すごいな、ブルー。グリーンの作ってた書類の内容、分かったんだ?」
「ええ、まあ…。あたしもポケモンの知識は少しはあるからね。それにパソコン使うのは嫌いじゃないの。」
「へー…。」
いいなあ、ブルーは頭がよくて。
あたしもグリーンの手伝いしたかったけど、内容が難しすぎて諦めたんだ。
「たまには休息も必要よ、グリーン。」
「分かってる。」
「まあどうしても人手が足りない時は呼んでくれれば手伝うから。時給千円で!」
「だから金をとるな。」
グリーンはため息をついて、穏やかな表情になりコーヒーを飲む。
前にブルーはグリーンのこと仲間だって言ってたっけ。
なんかいいなあ…。
会話とか雰囲気から、お互いのこと信頼してる感じがする。
「それより聞いたわよ、イミテ!アンタ、グリーンに修行してもらってるんですって?」
「ああ!数ヶ月前からな。」
「珍しいわね~。アンタは我が道を行くってタイプかと思ったのに。」
「まあ…ちょっとした気まぐれみたいなもんだよ。」
「でも案外楽しいんでしょ?顔にそう書いてあるわよ。」
「え…!?」
思わず顔に手をあてれば、ブルーの笑い声が聞こえた。
「あ!いっけない!もうこんな時間!あたし約束があったのよ。」
ブルーはバッと立ち上がり、扉に手をかける。
一瞬立ち止まり、こっちを振り返った。
「イミテ、よかったらそのコーヒー飲んで。グリーンがいれてくれたけど飲むの忘れてたわ。」
「あ、ああ。」
「じゃーねー!」とブルーは元気よくでて行った。
その様子を見て「うるさい女だ」と呟くグリーン。
やっぱり優しそうな顔しながら……。
グリーンにとってのブルーって何だろう?
ただの仲間?それとも大切な人?
あー!何でこんなこと気になってんだよ!
グリーンが誰を想ってようと、あたしが口出しすることじゃないのに!
でも、さ、
…ふと怖くなった
彼にとってのあたしって…どんな存在?
毎日毎日修行にくる、迷惑で図々しいやつ?
うるさくて騒がしいやつ?
グリーンは優しいから、無理してあたしに付き合ってくれてるのかもしれない
「どうかしたか?」
「へ、いや、なんでもない!」
勢いよくそう言って、ブルーの残していったコーヒーを飲もうと、カップに手を伸ばす。
すると、目の前に砂糖とミルクが置かれた。
「アイツはいつもブラックだから、お前はそれ入れないと無理だろ?」
あたしとグリーンは違う。
あたしとブルーも違う。
でも、グリーンとブルーはどこか似てる。
まるでこのコーヒーはそれを表してるみたいだった。
「そうだな。」
あたしは角砂糖を2つ、ミルクを1ついれて、口に運ぶ。
彼らとあたしの間に、壁、を感じた。
揺れる瞳
(気にしてない、ふり)
(でも心の中に不安と疎外感がズシリ)