アナタにとっての、あたし
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あたしがいつもトキワジムに行くのはお昼をちょっと過ぎた頃。
その時間彼は、本を読んでいたり修行をしていたり、と自由な時間を過ごしていることが多い。
でも今日は違った。
「グリーン、大丈夫?顔色悪いぞ。」
「気のせいだ。」
いやいや明らかに青白くなってるって!
そんなことを言ってもどうせ聞いてもらえないだろうから、あたしはクッションに顔をうずめた。
只今彼は書類と格闘中。
なんでも明日までにポケモン協会に提出しなければいけないらしい。
「間に合うの?」
「ああ。このペースなら夜には終わる。」
「そう。」
たぶん、いや絶対グリーンは昨日徹夜したと思う。
うっすらとクマできてるし。
「……修行するか?」
ぼんやりしていたらまさかの言葉がかけられて、あたしはぶんぶんと勢いよく首を横にふった。
「いいよ!グリーンはそれに集中しな!」
修行なんかしたら時間なくなって、絶対また徹夜するだろ、お前。
彼は「ああ」とだけ返し、また書類に視線を戻す。
「……なんか手伝えることあるか?」
「自主練でもしとけ。」
「却下。それ以外で。」
すると彼は少し間をあけてから、静かにつぶやく。
「……じゃあ、コーヒーいれてくれ。」
「了解!」
「別にいい」とか言われると思ってたのに、まさかの具体的な頼み。
なんだか少し嬉しくなって、あたしはすぐさまキッチンに向かう。
幸いお湯はポットに保温状態になってたから、彼がいつも使ってるカップにコーヒーをいれる。
「………。」
そして少し悩んで、角砂糖を1つおとした。
グリーンはいつもブラックのまま飲むけど、疲れてる時は糖分とったほうがいいって言うしね!
「グリーン、コーヒー持ってき………」
あっぶない危ない!
コーヒー落としそうになった!
だってあのいつでもスキを見せないグリーンが、机にうつ伏せになって寝てるなんて!
よっぽど疲れがたまってるんだなー。
「………。」
うつ伏せって言っても横を向いてるから顔はよく見える。
コーヒーを机に置いて、思わずジッと見入ってしまった。
グリーンって、やっぱ整った顔してるよなー…。
ちょっとつり目だけど、こうして目つぶってると意外とまつげ長いし。
人気があるのも…分からなくはない。
ふと窓の外を見ると、見知らぬ女の子が2人、こっちを見ていることに気がついた。
誰だ、あれ……?
グリーンを起こさないように静かに裏口の扉を開けて外にでた。
「どちら様ですか?」
あたしがでてきたことに少し驚いた様子の女の子達。
でもすぐに睨むような目つきになって、勢いよくあたしに言う。
「グリーンさんいます?」
「いるけど…どんなご用で?」
「バトルの仕方とか育て方のアドバイスをもらいにきたんです。」
その言葉を聞いた瞬間、なんだかもやもやした。
そりゃあグリーンはジムリーダーだから、皆に教えるのは当たり前。
当たり前なのに、何でだろ…。
あたしだけが特別な訳じゃない
そう思い知らされた気がした。
「ちょっと今忙しいみたいだから、また後で…。」
突然、パッと女の子達の頬が赤く染まった。
不思議に思い振り返るとドアに背を預けて立っているグリーンがいた。
「平気だ。中に入れ。」
グリーンはバカだ。
優しいにも程がある。
疲れてるはずなのに、忙しいはずなのに。
「ありがとうございます!」
「やったあ!」
女の子達は勝ち誇ったような笑みをあたしに向けて、ジム内へと入っていった。
グリーンはジムリーダーだから当然なんだよ、仕方ないんだよ。
頭では分かってんのに…。
なんなんだ…、なんかムカつく。
自然と動く足
(逃げるようにその場を立ち去った)