アナタにとっての、あたし
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この前さ、デパートで道具を見て回ってた時、あるお店の前でグリーンがふと足を止めたんだ。
可愛い素材で人気の洋服屋の前で。
マネキンが着ていたワンピースを、彼らしくない表情で何だかボーと眺めてて……。
「何?グリーン、あーゆーのが好みなのか?」ってふざけて聞いたら、「別に嫌いじゃない。」ってしれっと答えたから、びっくりして開いた口が塞がらなかった。
だってグリーン、そうゆうのまったく興味ないと思ってたから。
なんか、この間からそのことがひっかかってるんだよなー。
いつも頭のかたすみにある感じで…。
それだけインパクトが強かったってことか?
………あー、やめたやめた!
考えるの終わり!
グリーンの好みが何だっていうんだ!
別にあたしが気にすることじゃないじゃんか。
……でも、やっぱり自分の格好と比べてしまう。
あたしはいつもスキニーを履いて、七分丈にテラードジャケットをはおっている。
動きやすさ第一の格好。
………やっぱグリーンの好みとあたしの好みは正反対だ。
「………。」
また、グリーンが遠く感じた。
…………。
変だ、あたし。
だからってなんでわざわざこんなもの買ったんだろ。
そう思いながらもとりあえず紙袋から買ったばかりのそれらをだして、袖を通してみる。
スキニーを脱いでシフォンスカートに履き替えて、
淡い色のインナーを着て、
最後にレース生地のカーディガンをはおる。
鏡を見て、思わず顔が引きつった。
あたしらしくない格好。
でも、少し嬉しかった。
少しはグリーンに近づけた気がした。
ああ、一体グリーンはどんな顔するだろう?
何て言うだろう?
それにしても、ここまで出来ちゃうなんて、あたしはもしかして―……。
その感情は、声にだすと周りの女の子達と同じになる気がして、言えなかった。
そんな軽いものじゃない
簡単なものじゃない
もっと、大切にしたい
そんな気持ちなんだ―……
だから、自然とその感情から目を背けてしまう。
気のせいだって、言い張りたくなる。
こんな気持ちになるなんて、いつものあたしらしくない。
分かってる。
でも何だか……グリーンに会いたい。
会いたい、今すぐ。
気がついたら、トキワの森を全力でかけていた。
こんな唐突なことして
また怒られるかな、
「お前は冷静さが足りない」って
でもこのはやる気持ち止められないんだ
バタン!
ジムの扉を開ければ、奥からグリーンが出てきた。
「…?何で今日は正面のドアから入っ、て…、」
彼の瞳があたしをとらえる。
「なあ、グリーン!これ、どう思う?」
ああ、もう自分でも何がしたいのか分からない。
でもただ、見てほしかった。
いつもと違うあたしを、何となくでいいから、意識してほしかったのかもしれない。
一瞬の沈黙。
そして、すぐにグリーンは、冷たい視線をあたしに向けた。
かみしめた唇
(なんで、そんな顔するんだよ―…、)