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彼の部屋にて。
さっきまで。ベッドを背もたれにして横に並んで話をしていた。
そして一瞬会話がきれたとき、首筋にふんわりと優しくキスをされた。
必然的に、肌に彼の髪が触れて少しくすぐったい。
そして何より…恥ずかしい。
「レッ、」
名前を呼ぼうとしたら、顔を上げた彼と目があって思わずギュッと口を結んでしまった。
だって…顔、近いし。
ニッといつものなつっこい笑顔をうかべるレッド。
…かっこいい。
…じゃなくて!!
「近い、よ」
「知ってる。」
思わず私がもらした言葉も、彼の一言でばっさりときりすてられる。
「もう」と、レッドの胸を軽く押せば彼はほんの少し離れた。
まあ、それは本当に少しで私と彼の距離は相変わらず数十センチしかないのだけれど。
彼の右手は私が逃げられないように腰の辺りにそえられたままだ。
そして残った左手が徐に私の髪をひとすくいして、くるりと指先で巻いてみせる。
「髪、さらさら。」
「…今さっきお風呂入ったばっかりだもん。」
「なんか、緊張してんな。イミテ。」
「……してない。」
「嘘だろ。さっきから目背けるし。顔赤いし。バレバレ。」
「…。」
確かに恥ずかさのあまり緊張してますよ!嘘つきましたよ!
むしろアナタはどうしてそんなに至って普通なんですか!?
…なんて、問いただしてやりたい。
普段はバトル以外の時は、鈍感でマイペースでぼやーっとしてるくせにさっ。
くすくすと笑うレッドに、反抗の意味もこめてむう…っと口をとがらせる。
すると目の前の赤みがかった茶色い瞳が嬉しそうに細まった。
…と、次の瞬間、
「わ、」
腰に添えられていた左手に力が入りあっという間に抱き寄せられる。
「じゃあイミテが慣れるまでこのままでいるか。」
「~っ//」
突然のことに余計に心臓なりっぱなしなんですけど!どうしてくれるんだ!
なんて思っている間に、抱きしめられたまま左手で頭を撫でられた。
ふわふわ、と。
一定のリズムで上から下へと動く彼の手。
「(…これ、好きだなあ。)」
レッドに撫でられると、すごく落ち着く。
ふいに、いつも彼に撫でられて嬉しそうにしている彼の手持ち達を思い出した。
ああ…ポケモン達もいつもこんな気分なのかなあって。
…私、まるでポケモンになったみたいだ。
「(気持ちいい…。)」
すごく幸せな気分になって。
行き場をなくしていた自分の両手を彼の背中に回した。
ギュッとそのまま彼の服を掴む。
「…レッド。」
「んー?」
相変わらず私の頭を撫でたまま、彼は落ち着いた口調で答える。
「…だいすき。」
消え入りそうな声で、呟く。
でもこんなに密着しているからその声は余裕で彼に届いただろう。
昼間はトキワジムを貸し切ってレッドの誕生日パーティーをした。
勝手にジムをパーティー会場にさせられていたグリーンはちょっと怒ってたけどブルーが上手い具合になだめてくれてたっけ。
カントー、ジョウト、ホウエン、さらにはシンオウまで!
図鑑所有者達がレッドをお祝いするために集まって、彼の人望の厚さを知った。
レッド、皆に慕われてるもんね。
数時間前のことだけど、であんなに騒いでいたのにパーティーが終わった今となってはものすごく落ち着いた時間が流れているからか、さっきまでの出来事が嘘みたいに思える。
…ワイワイ皆で騒ぐのも好きだけれど、レッドと2人きりで過ごすこういう時間も、すごくすごく幸せだから大好きだ。
後片付けを自ら率先してやると言って、私とレッドを先に返してくれた後輩達に感謝しなきゃだね。
「…。」
幸せをかみしめたくて、ゆっくりと目を瞑った。
ねえ、レッド。
大好きだよ。
……大好き。
私の想いは全部きちんと伝わっているだろうか。
「…なあ、イミテ。」
「なに?」
今度はレッドが私の名前を呼んで、私がそれに答える。
「…そういう可愛いことされるとさ、待てなくなるんだけど。」
「え?」と聞き返す間もなく、肩を掴まれて彼から離され、そして…
「!」
そのまま唇がふさがれた。
目を閉じる間もなかった、甘い甘いキス。
数秒して顔が離れて、レッドの顔がほんの少し赤いことに気づく。
でも私の方が彼に負けないくらいに真っ赤になっているだろう。
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