スノードロップを抱く私を抱きしめて
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いつもの日常だった。
レッドが夕飯を作ってくれてる間に、私はお風呂に入って。
お風呂から出てリビングに戻ると、カチッとコンロの火をつける音がして。タイミング合わせてくれたんだなあ、ってちょっとほっこりした気持ちになって。
急いでドライヤーをすませて、ご飯とかお味噌汁とか、バランスよく盛り付けられたおかずとかをテーブルに運んで。
ご飯を食べ終わったら、今度はレッドがお風呂に入っている間に、私が食器洗いとか後片付けをすませて。
で、お風呂上がりで出てきた、まだドライヤーも済ませていない彼を捕まえて(誘惑して)、一緒にアイスを食べる。
そんないつもの日常。
「ねえ、私が死んだらレッドも死んでね?」
「は!?っっ、げほ、ごほ…っ」
唐突な言葉に、レッドは食べていたアイスが気管に入ったらしくむせた。そんな漫画みたいなベタな反応する!?
「いや、待って。急に何だよ!?そのアイス、酒でも入ってる!?」
「残念ながらただのバニラ。」
「…だよなぁ。」と彼は分かりやすく困惑する。
「だって、私が死んだらレッドはフリーになって他の女と自由に付き合えて、恋愛して、結婚して、子供ができたりするわけでしょう?」
「お、おう。…ん?」
「そんなの見たくないもん。もしそうなったら嫉妬して、幽霊になった私がレッドの事絶対に祟り殺す。だから祟り殺される前に死んで。そしたら純愛のまま終われるから。」
「それって純愛なのか!?というか“絶対に”っていうのが怖いんだけど!?」
ちょっと引き気味のレッドの反応にちょっと口をとがらせて。
手元のアイスを見ると、だんだんと溶けて液体になってきていたのでスプーンでひとすくいして口に運ぶ。
「……じゃあさ、イミテが死んだら、俺はずっと1人でいれば満足なのか?」
嫌味でもなく、ただの疑問という感じで静かに聞かれる。
「…レッドが1人でいるのも嫌。そもそもレッドは絶対1人のままにはならないよ。」
レッドは、いつも自然と周りに人が集まるから。だから−…
「だから嫌なの!だから一緒に死んで!」
「Σ無茶苦茶だ!」
「レッドだって、私が居ないと寂しいでしょう!?生きていけないでしょう!?」
「……おう。」
「その間はなに!」
私の反応にレッドは楽しそうに、ははっと笑う。何も楽しくない!
「レッドは私が居ないと、ポケモンポケモンってポケモンのことばっかりでシロガネ山こもっちゃうし、季節のイベントとかすぐ忘れるし、生活力もないし、そのうち人間じゃなくなっちゃうよ。」
「いーや!少なくともイミテより俺のが生活力あるし。料理だって俺のが多くしてるし!今日だって俺が作った!」
「私だって料理ぐらいやろうと思えばできるもん!レッドは料理はするけど、後片付けとか掃除とか一切できないじゃん。」
「は?できるし。」
「できてないし。お皿洗いすれば洗い残しあるし、お掃除は掃除機しかしないからカーテンレールとかにはホコリ溜まりっぱなしだし。ゴミ捨てだってしてるっていうけど、そのゴミまとめてるのは私なんだからね?排水口の掃除だってしたことないでしょ?あと、」
「ストップストップ!悪かったから普段の不満爆発させてくるのやめて?」
喧嘩になると思ったのか、レッドは慌てて話を終わらせようとする。
「で、分かってくれた?」
「イミテが死んだら俺も死ぬんだろ。」
「そうそう。」
はー。とため息をついて、レッドは残りのアイスをかきこむ。
「…。」
ホントはね、絶対後を追って死んでほしくなんてないし。
こういう何気ない、何ともない会話を聞いてくれるだけで満足なんだ。
でも優しい彼のことだから、その先まで考えてくれるかも。
「じゃあイミテが死なないように守る。」とかはベタすぎて言わないか。それはそれで嬉しいけど。
ちょっとだけ期待して、じっと彼を見ると「じゃあ…」と言葉が紡がれる。
「じゃあ、イミテもそうしてくれるんならいいぜ。」
「え…?どういう意味…?」
「だから、イミテも俺が死んだら、死んで?」
表情は至って普通。
いつも通りの調子で、さらっと真っ直ぐに言うもんだから、驚きすぎて言葉がでなかった。
彼から、そんな言葉がでてくるなんて。
「……。」
「いや、なんで沈黙?」
「いや……その………。なんというか、レッドも意外と……歪んでるところあるよね…。」
「歪んでるってなんだよ。イミテが言い出したんだろ。…って、なんか引いてない?」
「引いてはないけど、自覚してないところがちょっと怖い…。」
「なんだそれ、理不尽!」
でも、そんな歪んだ愛みたいな言葉返されて、「死なないように守る」とか「俺より先に死ぬな」とかそんな甘い言葉よりも、よっぽど嬉しいと思ってしまう私も、きっと救いようがないんだろう。
スノードロップを抱く私を抱きしめて
(いいよー。じゃあ)
(一緒に生きて、一緒に死のうね。)
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