2分の1の確率
夢小説お名前変換こちらから
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ドクン、ドクン、と。
心臓の音が近い。
「ずっと前から…好きだった。名前だって聞く前から、知ってた。一目惚れだった。」
大勢の人に聞かれているにもかかわらず、レッドは続けた。
周りの視線が気になる。
でも、レッドから目をそらすことができない。
「クラスも違うし何の接点もないけど、気づけば探してて。休み時間に友達と笑い合ってるとことか見て、さ。かわいいなあって思ってた。」
「…、」
そうだったとは知らず、びっくりしすぎて何も言えない。
「体育館で会った時は本当にびっくりしたんだ。なんの前ぶれもなく、気になってた子が現れたから…。だけど、すごく嬉しかった。」
レッドは照れ笑いをうかべて続ける。
「それから。イミテの性格知って、どんどんどんどん惹かれていって。ぶつかった日とか、イミテに会えないかなー、なんて考えて、イミテの家の近くうろついてたんだ。…まあ結果的に、不注意で怪我させちまったけど…。」
ああ…だからレッドはあんなところにいたんだ。
そのあとの赤く染まっていたレッドの頬…見間違いじゃなかったんだ。
「イミテの、友達思いなところが。なんでも楽しそうにやるところが。自分に素直なところが。」
「っ、」
「大好きだ。」
その言葉に、胸がはねる。
「(私、)」
分かってる、
分かってる、
私もきっと、彼のことが好きだ。
だってこんなにも嬉しいんだもん。
今すぐにでも駆け寄って、抱きついてしまいたいんだもん。
知り合った期間は短かったけど、一生懸命なところとか、笑い方とか、私の怪我をすごく気遣ってくれた優しいところとか。
すごくすごく好き。
それに加えて、私は前々から…
カスミからレッドのいいところ、いくつもいくつも聞かされていたから。
(隣の席になったその日、笑いかけてくれた、とか)
(プリントを職員室に運ぶのを手伝ってくれた、とか)
(クラス行事で皆をまとめてた、とか)
思えば、カスミからレッドの話を聞いていたから…
気持ちが、うつってしまったのかもしれない。
「返事、きかせてくれるか?」
「…。」
好きだよ、
大好き。
でも、それってすごく…ずるいよね。
少なからず、カスミの影響も受けてレッドのこと好きになったのかもしれないのにさ。
こんなの、ずるくない?
チラッと隣に目をやれば…
「…っ、」
カスミはうつむいて切なそうな顔をしていた。
すごく、苦しそうな、そんな表情…
ここで私の本当の気持ちを言ったら、カスミを裏切ったことになっちゃうの?
「わた、し、」
声がふるえた。
レッドのことが好き。
でも、カスミのことも好き。
(友達をとる?)
(恋愛をとる?)
選択肢は2つ。
ねえ、こんなの究極の選択だよ…
「私、は……」
どうか、私の選んだこの答えが、
正しい選択でありますように。
確率は、2分の1。
.
9/9ページ