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その週の日曜日。
案の定、カスミに誘われて、レッドのバスケの試合を見に行くことになったけど…。
何だか気持ちが重たくて、私が試合会場に着いたのは試合終了10分前だった。
「イミテ!遅い!何してたのよっ。」
「ごめんごめん。」
「でも良かった!まだ試合終わってないから!レッド君の活躍でだいぶ点差がついてるの!このまま圧勝ねっ。」
はずむ口調で言うカスミに、私も笑みを返す。
「…ねえ。イミテ。」
「なあに?」
「私、今日告白するわ。」
日常会話の延長みたいな感じでさらりと告げられたその言葉。
なのに、それはすごく重みがあって。
ズシリ、と私の心を押しつぶす。
心臓が止まったかのような感じがした。
「…そう、なんだ…」
働かない思考のまま。操られた人形みたいに、必死で口を動かした。
「頑張ってね。応援してる。」
幸いにも、不思議と言葉がでてくる。
でも、ねえ。
この『頑張って』は、私の本心?
心のどこかで、カスミがふられればいいなんて。
最低なことを思っている私がいる。
カスミは私の親友だよ?
「(バカ…)」
ほら、イミテ。
だめじゃない。精一杯応援してあげなきゃ。
だめじゃない。笑ってあげなきゃ。
そう……、だめ…なのに。
親友、なのに。
気をゆるめば、今にも涙がこぼれおちそうだ。
「(やっぱり私…、)」
そのとき、ピピー!という笛の音とともに大きな歓声がわきおこる。
つられて点数板を見ると、レッドのチームのほうが点が多い。
勝ったんだ…!
そそくさと人影が近づいて、レッドにマイクを向けていた。あれは…新聞部かな。
「今の気分は?」とか「満足のいく結果だった?」とか様々な質問が聞こえてくる。まるでプロのスポーツ選手みたいね!思わずふきだしちゃった。
「最後に何か一言どうぞ。」
「…。じゃ、マイク良いですか?」
レッドははにかみ、少し顔を赤くしてマイクを手にした。
レッドが辺りを見回すような仕草をする。
何かを探してる?
ふと、ばっちりレッドと目があった気がした。
レッドはニッと笑って、
「イミテ!」
私の名前を呼んだ。
会場にいた人達の視線が一気に私に向く。
「言いたいことがあるんだ。いいか?」
私、に?
どうして…?
横を見ると、カスミの切なそうな顔が目にはいり、思わず目をそらしてしまった。
返事を返さない私に、周りの人達がざわざわし始める。
「な、なに…?」
やっとの思いでしぼりだした声は、いつもよりも明らかに高くなってしまっていて。
レッドはそれに対していつものように優しく笑う。
「(笑わないでよ、)」
いつからだろう。
彼の笑顔を見る度に胸がギュッとしめつけられるような、嬉しい、優しい気持ちになるのは。
好きになってしまうと、感じるようになったのは。
「俺は、お前のこと、」
ううん、もう。
「ずっと、好きだった。」
手遅れ、でしょ?
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