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連れてこられたのは、一軒の喫茶店だった。
ドアを開ければ、カランカランとベルの心地よい音が響く。
落ち着いた雰囲気のレトロなお店で、お客さんも数人しかいなく落ち着いた雰囲気だった。
「俺、コーラとチーズケーキ。イミテは?」
「えっ!?」
レッドはいつも来ているのか、メニューをチラッと見ただけであっという間に決めてしまった。
私もさっさと決めてしまおう!と思ったけど…
「ええと、ええと…」
どれもおいしそうで全然決まらない!
「飲み物はミルクティーで…うーん…」
「おーい。」
「待って!悩んでるの!ガトーショコラ かフルーツタルト!」
真剣な口調で言った私を、レッドはあはは!と隠す様子もなく笑った。
「ちょ…、笑わないでよ!」
「すげぇ真剣な顔してんだもん。」
「だって…」
「じゃあ俺がガトーショコラにするから、半分半分で食べる?」
「!うん!」
嬉しそうな私を見て、レッドも楽しげに笑っていた。
「あ、そうそう。イミテ、足出して。」
席についてケーキを待っていると、レッドがそんなことを言い出した。
「?」
不思議に思いながらも言われたとおり足を出すと、レッドが私の前に片膝をついてしゃがみこんだ。
「え!?」
突然のことに驚いている私をよそに、彼はテキパキと、傷口を濡れたタオルで巻いていく。
あ…さっき、レッドが一瞬席はずしたのってタオルぬらしてたからだったんだ。
レッドはそのタオルを私の膝にキュッと結んだ。
「これでよしっ!」
「あ、ありがと!」
お礼を言えばレッドは満足げに笑って向かい側の椅子に座った。
「お待たせしました。フルーツタルトとガトーショコラです。」
タイミングよく、注文したケーキが運ばれてきて私は目を輝かせた。
「おいしそう!いただきます!」
運ばれてきたフルーツタルトをさっそく口に運ぶ。
甘酸っぱいフルーツと、サクサクとした少し香ばしいタルトが合っていてすごくおいしい!
思わず顔がゆるんでしまった私を見て、レッドはまた笑っていた。
「…レッド、今日は練習は?」
なんだか気恥ずかしくなって話をそらした。
「あー…、サボり!」
「え!?」
「なにその反応。」
「レッドがサボるなんて意外だなあと思って。病気になったとしてもバスケやりそうなのに。」
「どんなイメージだよ、それ。でもあながち間違いではないけどさ。」
「え?」と首を傾げれば、レッドは苦笑して言う。
「ホントはサボりじゃなくて、ブルーにたまには息抜きも必要!って言われて強制的に休まされた。」
「ブルーって…マネージャーの人だっけ?」
「そうそう。俺、最近あんまり調子よくなくてさ。スランプっつーの?」
「え、そうだったんだ。じゃあ、今日は部活のこと忘れてぱあっと遊んだほうがいいよ!」
「だなー。友達に声かけたんだけどこの時間部活とかで誰も予定つかなかったから、イミテがいてくれて良かった!」
満面の笑顔で言われると、なんだかこっちまで嬉しくなっちゃう。
「まあ、私、部活入ってないからねー。放課後は暇なんだ。」
「興味ある部活とかないの?」
「いやー…不器用だし、運動神経悪いしで、合いそうな部活がないっていうか…。」
「この前のシュート、すごいよかったけどな。」
「いやいや!レッドはほめすぎだって!」
あわてて否定すると、レッドはまた笑う。
レッドってよく笑うよね。
こっちまで笑顔がうつってしまいそうなぐらいだ。
「あ、そうだ。イミテさ、今週の日曜暇?」
「うん。なんで?」
「バスケの大会あるんだけど、見に来てほしいんだ。」
「あ!この前勝ったもんね。次は決勝 戦かあ!」
すごいね、と私は笑う。
「で、」
「うん、行く行く!応援してあげるよ 。」
どうせカスミに着いていくことになるんだろうしね。
「おー、ありがとな。」
この時レッドが心底嬉しそうに笑った本当の理由を、
私は知らなかった。
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