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翌日、教室にカスミが来た時に昨日のことを話した。
ちょっと話しづらかったけど、内緒にしといて後でバレたら感じ悪くなっちゃうしね。
「うそ!?イミテ、レッド君と一緒に帰ったの。」
「うん。まあ…途中まで送ってもらっただけだけど。体育館に行ったらレッドがいてね。バスケ教わって、暗かったから送ってもらった。」
「何よ、それー!?」
「しょうがないじゃん。成り行きだよ。」
「まあ…暗い中女の子1人帰らせるわけにもいかなかったんでしょうけど…。それはいいとして、なんで『レッド』って呼んでんのよ!馴れ馴れしい!!」
「え、そこ!?それは本人に言ってくれない?私は、君づけで呼ばれるの嫌だって言われたからそう呼んでるだけ!」
「?私が君づけした時は何も言ってなかったのにー…」
ムスっとしているカスミ。
「まあまあ!収穫もあったよ!」
「収穫…?」
「大会の時にレッドに話しかけてた子いたじゃん?」
「ああ…あの綺麗な子?」
カスミはあの日のことを思い出したみたいで、少し悲しそうな表情になる。
「そう!その子、ただのマネージャーなんだって!」
「え!」
「ちなみに、その子は生徒会長のグリーンって人とつき合ってます!」
教えてあげると、カスミはぱあっと明るい笑顔を見せた。
「そうなの!?よかった!ありがと、イミテ。」
「いーえ!」
やっぱりカスミは笑顔のほうが似合う。
よかった、笑ってくれて。
「はあーあ。」
私は長いため息をつきながら、帰り道を歩いていた。
いつも帰りはカスミと一緒だけど、今日の帰りは1人。
委員会があるらしい。
1人ってつまんないな…。
まっ、でも、あそこの角を曲がればもうすぐ家だし。
外寒いし帰ったらこたつに潜りこもーっと。
そんな事を考えながら歩いていたら、曲がり角で……
「キャッ!?」
なにかにぶつかって。
バランスを崩した私はそのまま前にひざをついて転んだ。
「ごめんなさ、」
とりあえず顔を上げれば、そこには見知った人がいた。
「レッド…?」
「イミテ!」
ぶつかったのはどうやらレッドだったみたいで。
「ごめん!大丈夫か!?」
私とは違い転ぶこともなく無傷な彼は、膝を折り曲げて私に目線を合わせ、心配そうに聞いてきた。
同時に手を差し伸べてくれたので、遠慮なくつかまって立ち上がる。
「うん、平気。ありがとう。」
「!イミテ、ひざ!」
「ひざ?」
聞き返しながら言われたところを見れば、両膝から血がだらだらとたれていた…
うわ…気づかなかったけど、血がなんかグロい。
「これくらい平気だよ。慣れっこだから。」
私はよく転ぶから、こんなのもはや日常茶飯事だ。
言葉の通り痛みには慣れてるなら全然平気なんだけど、血を見るのは苦手で直視できないんだよねー…。
「…ケガ、させちまったな。」
「え、ちょっとちょっと。本当に気にしなくて良いから!」
私のひざを見ながら本当に心配そうにそうつぶやいたレッドに、なんだかこっちの方が申し訳なくなってくる。
「本当、ごめん。」
「気にしなくていいって~;ぼうっとしてた私が悪いんだし。」
「でも…、」
このままじゃらちが明かない!
「…じゃあ今度何かおごってよ。それでチャラね!」
この怪我は私が悪いんだからおごってもらう気なんてさらさらないけど、うそも方便って言うしね!
これでとりあえずは丸くおさまるでしょっ。
レッドはきょとんとしていたけど、しばらくするとまたいつもの爽やかな笑顔を見せて言った。
「よし、じゃあ今から行こうぜ!」
「今から!?へ!なんで!?どこに!?いいよ、別に。」
「大丈夫。痛まないようにゆっくり歩くから。」
そこの心配してるんじゃなくてー!
パッとレッドに手を取られ、私も必然的に歩き出す。
え、家が目と鼻の先にあるのに!?逆戻りしなきゃいけないの、私!!
というかそもそも本当におごってもらう気なんて、全くなかったのに!!
「レッド、本当に…」
…でも、レッドがどことなく嬉しそうな表情をしていて、
そして、ちゃんと宣言通り私の歩幅に合わせて歩いてくれてることに気づいたら…なんだか微笑ましくなってしまって。
「本当にいいから!」なんて言いかけた言葉は、そのままのどにつかえて出なかった。
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