『イミテ、だよな？』
「レッド！？え、なんで、どうして…！？」


『こっちのセリフ。ブルーにかけたのに、何でイミテが出たんだ？』

「え、私は…ディスプレイにグリーンってあったから出ただけで…」

『……なるほど、ブルーか。たく、俺何も聞いてないのに。』


直後聞こえてきたのははあーという深いため息。

ブルー？
え、何が？


「ブ、ブルーが帰ってきたら言っとくから！じゃあ…『あのさ、』


なんだか恥ずかしくなってきて電話を切ろうと思ってそう言ったら、遮られた。



『イミテ、好きな奴ができたから、俺のこと避けてたんだろ？』

「…………は？」



え、何急に。

というか避けてたの気づいてんだ。…そりゃあ気づくか、自分でも何なんだって思うぐらいあからさまな反応してたし。

でもさ、一体何がどうなってそうなった？


好きな人ができた…？

確かに間違ってはいないんだけど……、好きな人っていうのが、まさにそれを言ってる張本人なんだよね。



『聞いてるか？』


悶々と自問自答してたら、レッドがそう言ってきた。

ちょっと、まだ状況が理解できてないのに…！


「た、確かにそうだけどっ、」


うん、間違ってはいない。


私は、レッドが好きだ。




直後、また受話器ごしにため息をつかれた。


ええー！そこでため息って…傷つくんですけど。



『はあ。やっぱそうか。』

「何でため息つくわけ？好きになったってならなくったって、別に私の自由でしょ！」



私だって気づきたくなかったよ、この気持ち。

恥ずかしくなって、今までみたいに普通にレッドと話しができないなら、気づきたくなかった。


恋は楽しいとか、皆よく言うけど、そんなの微塵も思わない。



レッドがどんどん遠ざかっていくみたいで、逆に辛いよ―……




『確かに、そりゃあ…自由だけどさ。』

「だったら…！」


“好きなままでいさせて”そう言おうとしたけど、つまってしまった。

レッドは潔くあきらめて、元の友達の関係に戻ろうって言ってるの？

だから、こんなこと言うの？



「ひどいよ、レッド！ひどい…！」

『ひどいのはどっちだよ！勘違いされるのが嫌だからって、そんなあからさまに避けることないだろ！』

「…勘、違い？」

『まず俺に一言何か言えよ！』

「何を！？」


好きになっちゃったから、これから恥ずかしくて話せないかも。…とか言えっていうの？ねえ？



『何を、って…。一緒に帰るの止めよう…とか。』

「何言ってんの…？」


なんだか、今いち話しがかみ合わない。



『だから！好きな奴に勘違いされたくないから、今の今まで俺のことさけてたんだろ！？』

「な…！？、違『あー！やっぱいいや！』


否定しようとしたらレッドの声で遮られた。


違うのに。好きな人なんて、レッドただ１人なのに。


何でこの気持ち、伝わらないの？

こんなにも、想ってるのに…！



『やっぱ、俺、イミテにそんなこと言われても、今までの行動続けてたと思うし。』

「え…？」

『嫌なんだよ！イミテがグリーンとかブルーとか以外と……俺の知らない奴と歩いてるとこなんて考えたくもないんだ！』

「…。」



…ねえ、私もレッドとカスミちゃんが歩いてるの想像したとき、そんな気持ちだったんだよ。


それってさあ、もしかして私達…




『…何でか分かんねーけど。』

「え…。」


まさかレッド、自分の気持ちに気づいてないの？そこまで言っといて！？



『え、うわっ！』

「え！？」


突然受話器の向こうから驚いたような声が聞こえて、……電話が切れた。

何なんだ、一体…。



「イミテー！」


タイミングを見計らったかのように、少し遠くでブルーの声がした。




「ブルー、遅い、よ…？」


振り返ったら、ブルーと、そしてレッドの２ショット。


「何で！？今さっきまで電話してたじゃん！」

「いや、ブルーが急にでてきて…」

「ついそこで偶然会ったのよ。」

「偶然、ねえ…。」

「ついでにレッドとイミテの会話、ぜーんぶ聞いちゃったわ。」

「「！？」」

「通りかかったら会話してたから、たまたま、ね。オホホ！」


ブルーが高笑いをした。

絶対確信犯だ！



ブルーがすすっと、私の隣にきて、耳元で囁いた。



「ねえ、イミテ？アンタも鈍感だけどレッドも同じくらい鈍感みたいね。」

「……確かに。」


ブルーはニコッと笑って一言。


「今こそ素直になるときなんじゃない？」

「！う、うん…！」




そうだ。

この気持ちに気づいた時から、もう答えはでてた。



ちゃんと、伝えたい。

レッドに。




私は勢いよくレッドのところにかけよった。

相変わらず恥ずかしい。


……でも、近くにいられることが嬉しい。



勇気を出して、顔あげて

ちゃんと目を見て、
ちゃんとこの口で、

自分の言葉で、



「レッド！」


アナタに、伝える。



もう恥ずかしくても、何でもいい。

ただ、彼の隣りにいたいから。



「あのね、大好きなの！」














一歩を踏み出す勇気
(似たもの同士のアナタに、)
(教えてあげる、この気持ち)