彼女はシンデレラ
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「!?」
なんで、そんな表情、
なんで、なんで、
思う。
……なんで、彼は、私に「大丈夫?」って声をかけたの?
少し先にいる、倒れている仲間の姿も見えていたはずなのに、なんで、私に声をかけたの?
なんで、取り乱して、何より先に彼女に駆け寄らなかったの?
なんで…“まるで、知っていたみたいに”、冷静に、彼女に近づいたの?
彼が、犯人……?
「ひっ…!」
その結論にたどり着いてしまったイミテは、喉の奥からそんな恐怖を示す声を出しながら、後ろに尻餅をついて後ずさりする。
イミテの様子に気づいたレッドは、悲しそうな顔をして言った。
「なんだよ、その反応。」
悲しそうに言う…。
次の言葉に、イミテは耳を、うたがった。
「イミテが望んだことだろう?」
「わた、し…?」
彼が何を言っているか分からなかった。
自分の名前を何で知ってるの?
接点なんて、何もないのに。
それに、その言葉の意味は…どういうことなんだろう。
「…そんなの、何も、望んでない…!」
とにかくあふれたのは、否定の言葉だった。
「隠すなよ。イエローのこと、恨んでたんだろう?憎んでたんだろう?」
ドクン…と胸が大きな音をたてて、鳴った。
「消えればいいって、思ってたんだろ?」
まるで真相を見抜いているとでも言ったような、真っ直ぐな、突き刺さるような、レッドの視線。
ドクン、ドクン。
鼓動が近い。
「(そう、だけど…でも…)」
本気じゃ、なかった。
まさか本当に彼女が消える、なんて考えてもみなかった。
イエローと特別仲がいいってわけじゃないし、同じトキワシティ出身というだけであって、道ですれ違っても挨拶なんてしないぐらい、全く彼女との関わりはなかったけど。
それでも。
人の死は、そんな簡単なものじゃなくて。
彼女を見つけたときから、ずっと身体は震えているし。今にも、泣いてしまいそうだし。胸が痛む。
嬉しいなんて、良かったなんて、
そんな感情は…ない。
「そんなこと、思ってない…!思ってない、から…!!」
自分のせいだと責められているような気持ちになって、イミテは声をあげた。
「俺、知ってるんだ、
…君のこと好きで、ずっと、見てたから。」
レッドがイミテのことを好きになったのは、トキワジムを見つめる彼女を見かけたとき。
…一目惚れだった。
グリーンを優しげな表情で見つめるイミテの瞳に、愛しさを感じた。
風になびく##NAME2##色の髪に、見とれてしまった。
自分の中に眠るそんな感情に驚いたけれど…日に日に愛おしいと思う気持ちはつのる。
つのる、つのる。
そして、彼は気づいてしまった。
イミテがイエローのことを悔しそうに見ていることに。
切なそうに、苦しそうに、顔をゆがめていることに。
ー…彼女の幸せを奪っているのは、イエローだと気づいてしまった。
「…、」
まさか自分が想われていたなんて知らなくて。
事態が飲み込めなくて、何も言わないでいるイミテに、レッドは続ける。
彼女の中にある、よどんだ感情を引き出すかのように、続ける。
「イエローのこと恨んだとき、あっただろ?消えればいいって思ったことなかったか?邪魔だって思ったこと、なかったか?」
レッドはイミテを、シンデレラみたいだと、そう思っていた。
(シンデレラはいつもいつもうらやましかった)
(きらびやかな服を着ているお姉さんが達)
(だってシンデレラはみすぼらしい服をきていたから)
「…」
イミテは言葉を発しない。
ただ、黙っていた。
(彼女は、シンデレラ。)
イミテはグリーンが好き。声をかけることはできない。
みているだけ。
でもイエローは違う。
グリーンと話をして、お互い顔を見合って笑う。
(彼女はきっと、シンデレラ。)
ウラヤマシイ
ウラヤマシイ
(嫉妬に狂った、シンデレラ。)
「偽善者ぶるなよ。なあ、正直になっていいんだぜ?」
思いを、起こすように。
レッドは言う。
「イミテ。」
優しく、名前を、呼ぶ。
「私は…」
ようやくイミテが口を開いた。
「たしかに、イエローがうらやましくて、……にくかった。でも殺したいと思ったことは、ない。」
キッとレッドを睨むイミテ。
レッドは一瞬、ひるんだ。
彼女に変わって、イエローを殺したのに。
「(俺は、)」
そんな表情が見たかったわけじゃないのに。
「私の気持ち、決めつけて、大切な…仲間を殺すなんて…アナタ、おかしい、よ。」
それは否定の言葉。
レッドはまるで鈍器で頭を殴られたような、衝撃をうける。
それほど大好きな人からの言葉は…重いものだった。
(彼女は…シンデレラじゃない…?)
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