先にある未来へ

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あのとき上手く笑えなかったのは

その気持ちが痛いほど分かってしまったから















「ゴロ!その岩はこっちにお願いね!」


私がそう指示すれば、ゴローニャのゴロはまかせろ!とでもいうように頼もしく頷いて、〝かいりき〟で岩を押した。

ズシン…という音をたてて、道の真ん中にあった岩はあっという間に端による。


「ありがと!さすがゴロ!…さーて、ちょっと休憩にしようか。お疲れさま。」


ゴロをモンスターボールに戻して、ふう…と息を吐く。

辺りを一通り見回せば…うん、人が通れるぐらい綺麗にはなった!


イミテくん。」

「!カツラさん!」


名前を呼ばれて振り返れば、優しい微笑みをうかべたカツラさんがいた。


「疲れただろう。一旦、私の研究所に戻っておいで。お茶にしよう。」

「わー!ありがとうございます。じゃあぜひお言葉に甘えてっ。」







ー…そう。
私が今いるのは、グレンタウン。

四天王に襲われてボロボロになってしまった町の復興作業を手伝っている真っ最中。

他にも、ニビ、ハナダ、タマムシ、クチバ、セキチク、ヤマブキ…のジムがある町は一通り襲われたわけだけど、
ニビにはグリーン、ハナダにはレッド、タマムシにはブルーがそれぞれ復興作業を手伝ってる。

残りのクチバ・セキチク・ヤマブキは、マチスとナツメがジムに戻ったみたいで、自分達の町は自分でなんとかするからいいって言い張ってたから彼らにまかせることになった(セキチクも、仲間のキョウの町だから自分達で復興作業をするらしい)。


あとイエローは今回の戦いで傷ついた野生ポケモン達を癒すためにカントー中を一通り見て回っている。

出会ったときは小さな可愛らしい女の子…って感じだったのに、すごくたくましくなったなあって感動しちゃった!


イエローの成長をみてると、私ももっともっと頑張ろうって思ってくるから不思議だよね。







カツラさんの研究所に着いてすぐ、ボーイスカウトのジュンジくんが紅茶を持ってきてくれた。


イミテさん、どうぞ。」

「ありがとう!」


彼はカツラさんの手伝いをいろいろしているらしい。

つまり、オーキド博士でいうナナミさんみたいなポジション。


そしてグリーンのファンらしく(恩があるとか言ってたっけ)、初めて会ったときにはあからさまにがっかりされたのを覚えてる。

でもジュンジくんも手持ちにウインディディがいるから、そのことでまあ話は盛り上がってちょっとずつ打ち解けてきた。

第一印象、この子何様!?って思っちゃったのは今となっては良い思い出だ。

…とか考えながら私は紅茶を口に運んだ。


「はー。落ち着く。おいしい。」

「よかった。砂糖とミルク、ここに置いておきますね。」

「ジュンジくんは男の子なのに気が利くね。私、復興作業の手伝い、ここ(グレン島)でよかったー!」

「僕も、イミテさんがここに来てくれて本当によかったです!」

「あれー?最初、グリーンさんじゃないのか…って顔してたくせに?」

「そのことはもう忘れてくださいよ~!;」

「あはは!」


ジュンジくんはなんて言うか…すごいいい子だ。

私、今まで年下の男の子とはあまり関わりないから曖昧だったけど、ジュンジくんのおかげで年下の男の子の印象が急上昇してる。


「私も同感だよ。イミテくんがグレンを担当してくれてよかった。よく動いてくれるし研究の話もできるしね。」


片手にマグカップを持ったカツラさんもそう言いながら席に着く。


「私も興味のあるお話たくさん聞かせていただけて嬉しいです。」

「はは。イミテくんは勉強熱心だね。研究者に向いているんじゃないか?」

「いやいや!それはないですよー。私は新しいことを自分で見つけたり発見したりするの、すごく苦手なんで。……あ。そういうのなら、グリーンのが得意ですよ。」

「オーキド博士のお孫さんか。彼ともいつかじっくりと話しをしてみたいものだ。彼は、ニビシティを手伝っているんだっけ?」

「はい。マサラタウンからなるべく近い方がいいって言って、ニビにしてました。」

「…あのー、前々から思っていたんですけど、図鑑所有者さん達の復興作業の場所ってなにを基準に決めたんですか?」


ジュンジくんが小首を傾げて聞いてくる。

なんだか小動物みたい!

…言ったら怒られそうだから言わないけど。



「適当な希望制だよ。グリーンはさっき言ったとおりで、私はカツラさんとお話したいなあと思ったからグレンタウンにしたの。」


カツラさんが照れくさそうに頬をかく。


「で、ブルーはタマムシデパートで買い物したいから、タマムシシティを希望して、レッドはまあ…どこでも良さそうだったから余ったハナダシティの手伝いって感じ。」

「本当にかなり大ざっぱですね…!」

「あははー。まっ、好きな場所担当の方が意欲もわいてくるしいいんじゃない?」


そう笑えば、ジュンジくんも苦笑していた。



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