6話.無意識に溶けて
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前を向いていれば
いつだって
感じるのは、追い風
「サワムラー!エビワラー!」
シバのかけ声とともに、2匹が勢いよく走ってきた。
「受け止めろォ!」
エレブーとロコンもダッと走り出す。
エレブーはサワムラーの蹴りを受け止め、ロコンは炎をはいてエビワラーと距離をとる。
でもエレブーがサワムラーの力に負けて徐々に後ろに下がっていった。
「アカン!押されとる!」
「そうはいくか!押しかえせー!!」
マチスのその言葉に、エレブーはバッ!とエビワラーとサワムラー、2匹同時に跳ね飛ばした。
2匹はくるりと身をひるがえして着地する。
「……。エビワラー!〝れんぞくパンチ〟!サワムラー!〝まわしげり〟!!」
少し距離があっても可能な攻撃に切り替えたらしい。
エレブーとロコンは攻撃を直に受けて、空中に放り出されてしまった。
「落ちる!!」
「!!ロコン!エレブー!」
マサキと私の声が響く中、が!とギリギリのところでエレブーがイワークの体をつかんだ。
ガリガリガリ、と岩を爪でひっかく嫌な音が聞こえて、エレブーの身体は止まる。
エレブーはその反対側の手でロコンの手をつかんでいて、何とか2匹とも無事な状態だ。
でも安心はできない。
エレブーが引っかいたことでけずれた岩の破片が、下の液体に落ちてジュ、という音をたてて消えた。
「カベの向こう側にいる者どもよ!よく聞くがいい。この闘いに手出しは無用!早々に立ち去れ!」
「!?」
突然シバが声を上げてそんなことを言った。
「(カベの向こう…!?)」
辺りを見回してみるけど、辺りは岩肌が広がっていて隙間とかはない。
すると、カベの向こうでズズン、という衝撃音がした。
シバがある一点をにらみつける。
でもやっぱりそこは普通にカベがあって。
となると、向こう側からは私達の様子が見えてる…のかな。
「わからぬというのか…ならば!動かずにいてもらうほかあるまいっ!!」
ぐらり、とイワークの足場が揺れた。
「覚えておけ。このシバの最も許せぬこと、それは〝闘いに水をさされること〟であると!」
「…。」
シバはそう言ってまたこっちに向き直る。
イワークを使って何かした…のか。
「…オイ、聞いたか。どうやら、この闘技場のまわりに誰かいるらしいぜ。」
「でも今のシバの態度からすると、その誰か、は足止めをくらったみたいね。」
「邪魔するなって叫んでるとこみると、こっちの音や声は聞こえとるゆうことや。こっちからは外の様子は見えへんし聞こえへんゆうのに。…もとからそういう仕掛けなのかもしれへん。」
「もとから?」
「そや。ここは四天王の本拠地なわけやろ?あらかじめつくっておくのは可能や。おそらく、外から中の闘いを観戦するのは勝手やけど手出しはできへんようになっとる。極限の闘技場!」
「正気かよ!戦闘狂(バトルマニア)とはよくいったもんだぜ。」
「さっきのシバの反応から、向こう側にいる人たちがどこにいるかは特定できたから、こっち側から壁を壊すのも1つの手だけど…。向こうの状況が分からないなら、リスクは大きいね。」
もしも拘束されたりしていたら、逆上したシバが彼らに何をするか分からない。
他の人達を危険にさらすのは避けたい。
いまだに宙にぶら下がっている状態のエレブーとロコンに向かって、じりじりとサワムラーとエビワラーが間をつめる。
「(このままじゃ…)」
「サワムラーとエビワラーは今、あそこでおまえたちのポケモンの相手中。この3番手カイリキーと一戦交えるのは誰だ。何匹でもかまわん。さあ、出すがいい。」
…。
なんだろう。なんだかすごくカチンときた。
何でこんなに見下されてるの?
四天王って、そんなにえらいの?
…人間を排除してポケモンのための世界をつくる、なんて。
間違った正義論をかかげてるくせに。
「ずいぶんと、なめられたもんだね。」
思わず、身体が動いた。
ウインの背から降りて
一歩、また一歩と、足を進めて前にでる。
「イミテ…?」
マサキが不審に思ったのか、私の名前を呼ぶ。
それに対してただ笑顔を返した。
「やっぱり、傍観ってわけにはいかないでしょ?この状況。」
足場は狭いし、身体は痛むし、エレブーとロコンはピンチだし、カベの向こうで見てる人たちの状況が分からないし、私のパーティの苦手なかくとうタイプだし。
不利な条件がたくさんあるけど。
「カイリキーの相手は、私がする!」
絶対に負けられないって思うのは、勝って彼からレッドのことを聞き出さなきゃいけない、っていう思いがあるからなのか。
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