5話.運命すら変わる
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痛くない
彼の受けた痛みに比べたら
こんなの全然、痛くない
「一歩間違えたら死んでたわよ!アナタ!それに女の子なのに、傷が残ったらどうするつもりだったの!?」
…なんて大声で怒鳴られたあと、何だかよく分からない薬をつけられ(化膿止めとかかも)、ガーゼを当てられ、包帯を巻かれ…
手術…とかにはならず、幸いにも数十分程度で手当ては終了した。
「もう洋服着て大丈夫ですよ。塗り薬と飲み薬、出しておくわね。塗り薬はお風呂上がりとかの清潔なときに1日1回塗って、飲み薬は1日3回、食後にね。」
「はーい。」
背中に塗り薬って塗りづらいよね、絶対。
飲み薬も忘れそう。
というか私、朝食たまにぬくんだけど、その場合って飲まなくていいのかな。
そんなことを考えていたらいつの間にか難しい顔をしてたみたいで、
「すぐに手当てしたからあとは残らないと思うけど…今後の処置少しでもサボったらくっきり残るからね!分かった!?」
そう、くぎをさされた。
「は、はい…!」
メタに人にへんしんしてもらって、薬塗ってもらおう。
なんて考えながら洋服を着る。
ちなみにさっきまで着てた服は破けちゃったから病院のゴミ箱に勝手に捨てさせてもらった。
「ああ、それと、今日から3日間は安静にしてね。走るのはもちろん、なるべく歩いたりするのもひかえて。」
着替えてる最中、女医さんが何気なく放ったそんな一言に、
「……え?」
思わず顔がひきつってしまった。
治療室から出ると、すぐにブルーが「イミテ!」と駆け寄ってきた。
「どうだった!?跡残ったりしないって!?」
「うん。ちゃんと処置すれば大丈夫だって。ほら、塗り薬と飲み薬もらったー。」
「えらくのん気やなあ…。痛くないんか?」
「今はもう平気。傷、そんな大してひどくないから。」
「…。」
ブルーが無言のまま、ポンッと軽く私の背中を叩いた。
「っ…!!??」
激痛がはしって思わずうずくまる。
「やっぱり!全然平気じゃないじゃない!」
「ブ、ブルー…!嘘ついた私も悪いけど、そんな荒い試し方しなくてもいいじゃんっ…!!」
「アタシに嘘つこうなんて、百万年早いのよ。」
あ…なんかマサキにあわれむような目で見られてる…。
「動いて平気なの?」
「あー…うん、ちょっとなら?」
「…すいませーん!この子の怪我の状態聞きたいんですけどー」
「ちょ…ブルー!個人情報!」
診察室の扉を開けて聞いたブルーにつっこむけど全く聞いてない!
それどころか、「ああ、3日間は絶対安静でお願いします。」なんて会話がチラリと聞こえた。
「マサキ。いいのかな?あれ。仮にも医者があんなペラペラと患者のことしゃべっていいのかな?」
「いやあ…普通はダメやろうけど、ブルーが相手やからなあ…。」
「…。」
それには何も返せない。
「ちょっと!動くのもダメらしいじゃない!」
「…ブルー、何で女医さんに聞けたの?顔見知りなの?」
「まさか。アンタの姉ってことにしたのよ。家族ならってすんなり教えてくれたわ。」
「えええ…」
やっぱりブルーって怖い。
「動くのがアカンのなら、入院したほうがいいんちゃうか?」
「い・や!普通に動けるし!」
「動いちゃダメって言われたばっかりでしょーが!!」
「な、なるべく動かないように動く!」
「ダメ。大人しく近くのポケモンセンターで安静にしてなさい!」
「ブルーのケチ!」
「はいはい。何とでも言えば?」
「インチキ商品うってるくせに!」
「なんですって!今は関係ないでしょう!?」
そんなやりとりをしていたらマサキにまあまあとなだめられた。
でもブルーが一言ぴしゃりと「アンタは黙ってて!」と言ったら、何も言わなくなった。マサキ…。
しばらくにらみ合いが続く。
「…四天王を止めなきゃいけないの。3日も動かずにもたもとしてたら…その間に何かが起こるかもしれないじゃん。」
「それはただの予想でしょう?」
「そうだよ。でも私はそれが一番怖いの。何もしなくて、後悔したくない。それに、四天王に…ワタルにちゃんと伝えたいことがある。」
言葉はまだ見つかっていないけれど。
上手く伝えられなかった想いを、今度こそ。
「四天王についての新しい情報入ったんでしょう?」
ブルーがマサキと一緒にいる時点で、何かあったのは事実。
そうじゃなかったら情報だけ聞き出して、マサキはそのまま連れてこなくていいはずだもん。
「教えてよ、ブルー。」
ブルーの視線が戸惑ったようにフイッとそれた。
「…私、ブルーに止められても勝手に動くからね。……力づくででも。」
最後にモンスターボールに手をかけてそう言うと、はあ、とため息が1つ聞こえた。
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