3話.罠と囮と
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考えるよりも
身体が先に動いてしまうのは
自分の限界はこんなものじゃないって
本能的に分かっているから
「イミテ。修行に付き合え。」
「………へ?」
早朝。
洗面と着替えはすませたものの、まだ寝ぼけ眼で朝食のクロワッサンをかじっている私に、グリーンがそう声をかけてきた。
「今日は暇なんだろう?」
「……?」
「何も予定ないだろ?」
「…うーん。うん。」
「どっちだ。はっきりしろ。」
「?うん。」
「…。」
まだ思考がはっきりしない中、とりあえず頭にうかんだ言葉を口にしていると、グリーンが呆れたように無言になる。
お。でもしゃべってたらだんだんと頭がはっきりしてきた気がするぞ!
「修行って、なに?」
そう聞けば、グリーンは眉をひそめて答える。
「…心身ともに己を鍛えて、より強さを目指し求めることだ。」
「えっと…、それはボケたのかな?笑うところ?それとも私をバカにした答えなの?」
「まあ…半々ってとこだ。」
「半々なの!?私をバカにしたことにも反論はあるけど、それよりグリーンがボケたことの方がびっくりなんだけど!!」
食べかけのクロワッサンを最後の一口を食べ終えて、グリーンを改めてみる。
「修行は、まずウォーミングアップもかねたバトルを軽くして、それから…」
「!バトル!」
グリーンの言葉に反応して、つい立ち上がってしまった。
「なんだ?」
「んー?セキエイでのポケモンリーグが終わってから、ずっとグリーンと戦いたいなあって思ってたからさ。」
私は思ったままの言葉を口にする。
「ほら、私、不戦勝で決勝戦までいったじゃん?だから戦ってもいないのに私が2位でグリーンが3位って、なんかすっきりしなくて気持ち悪い部分があったんだよね。」
「そんなこと思ってたのか。」
「あ。それ抜きでも戦いたいとは思ってたよ。前にバトルしたときは負けちゃったからリベンジしたかったし!」
ふたご島に行く前のときだったよね。
2対2のバトルして負けちゃったやつ。
悔しかったな、あれは。
「…まあ、俺もお前ともう一度バトルしたいとは思ってたが…」
「え、ホントに!?わあ…なんか嬉しいもんだね。こういうの。」
「軽いウォーミングアップだからリーグ戦のような6対6のバトルはしないぞ?」
「十分!むしろシンプルに1対1でいこうよ。」
今度こそ絶対勝ってやる!
私が小さく意気込んだのを見て、グリーンはフッと笑みをうかべた。
「バトルする前にイエローの様子を見に行ってくる。」
「あ!私も行く!」
グリーン、イエローに追いかけて来たキャタピーを捕まえるように言ってたんだよね。
どこまでキャタピーのレベルが上がってるか楽しみだな。
「この辺で修行してたはずなんだが…」
グリーンと一緒にイエローがいるハズの場所に来た。
キョロキョロと辺りを見回す…と、
「あ!いた!…?」
「!?」
泥だらけのボロボロの姿で、おまけに息切れしているイエローを見つけた。
「イエロー!どうしたの!?何があったの!?」
あわててイエローに駆け寄る。
「!イミテさん、グリーンさん…。」
イエローははあ、と息を整え、そして言った。
「まだつかまえられませ~ん。」
「え…」
イエローから少し離れたところには無傷のキャタピーがいた。
冗談…なわけないよね?
さっきのグリーンみたいに冗談だったらどれほどいいか!!
「に、苦手なんです、捕まえるの。」
グリーンを振り返ってみれば、目と口を大きく見開いていた。
グリーンにこんな顔させるなんて…イエローってすごいなあ…。
「捕まえる前に傷つけなきゃならないでしょう?それがどうしてもできなくて…。」
ああ、どうしよう…。
私も開いた口がふさがらないや…。
「なんとかバトルせず捕まえられないか練習してたくらいで…。人やポケモンを助けなきゃと思ったときはいつも無我夢中だし…。」
イエローはポリポリと困ったように頭をかきながら言った。
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