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「好きだ。」


唐突に囁かれた言葉に、不覚にも胸がはねた。

早い鼓動には気づかないフリ。
熱い頬には気づかないフリ。

心の奥にほんのりと感じてしまった嬉しいという気持ちにも……気づかない、フリ。


「ありがとう。でも、ごめんね。」


無理矢理笑顔を作って。

でも、アナタの顔を見たら泣き出してしまいそうで…。
目を伏せたまま私は続ける。


「私ね、自分のことがすごく嫌いなの。」


笑顔をはりつけたまま。
笑顔は崩さず。

今まで誰にも告げたことのなかった、でも心の中にずっとため込んでいた気持ちを告げる。

びっくりしてるかなあ。


いつも明るくて、
いつも笑ってて、
いつも元気な人。

私と関わってきた人は、私に対してそんなイメージを持っているだろうから。

でも本当の私は全然違って。
心の中はいつもいつも不安と恐怖ばかり。

例えば、人見知りしなくて誰とでも仲良くなれるっていうイメージの裏で、
人と話している時の私の心の中は実は常時穏やかじゃなくて。

心臓がバクバクいってて、『嫌われたらどうしよう。』『うまくやらなきゃ。』そんな恐怖に押しつぶされて、気を緩めたらすぐに涙がでてしまいそうになる。


私はそんな弱虫な自分が何よりも嫌いで。


だから、


「私のこと好きになってくれる人とは好みが正反対になるわけじゃん？」


どうして私なの？
なんで私がいいの？

私には分からない。


「付き合ったとしても、上手くいかないと思うんだよね。」


でもホントはね、
勇気がないからってこんな理屈じみたことを言って自分の本心を隠す私が、一番大嫌い。



(さあ、アナタは私に)

(どんな言葉をくれますか？)




P2．手は、引いてあげるから
(レッド夢／シリアス／微甘)

P3．少しだけ願掛け
(グリーン夢／シリアス／微甘)

P4．主役は大嫌いな私自身
(ルビー夢／シリアス／微甘)

P5．愛しい人のための道
(シルバー夢／シリアス／微甘)


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