赤くないサンタさん
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いつもは何となく味気ないこの街も、今日ばかりは可愛らしいサンタの人形や、キラキラと輝くイルミネーションでキレイに飾り付けられている。
そして、そんな街にふさわしい、すごく幸せそうな笑顔を見せる、たくさんの人達。…というか、主にカップル達。
「(クリスマス、だもんね。)」
私はキレイにイルミネーションがほどこされたモミの木の下にあるベンチに座って、ぼんやりと街の様子をながめていた。
もちろんここは人気のスポットで、人も多い。
人ごみは大嫌いだけど、今日は仕方ない。
だって、今1人で家に帰っても泣いてしまう気がするから。
ああだけど、周りから見れば私はクリスマスなのに1人っきりでいるかわいそうな子に分類されるんだろう。
…まあ、もうなんでもいいや。
「(バカだなあ…私って。)」
そんな心の声は、ため息となって外にもれる。
…バカだよ、私は。
もう一度。今度は苦笑となって思いはあふれた。
手を少しでもあたためるため、はあと白い息をはく。
手袋ぐらい持ってくればよかった。
「(私ってほんとバカだなあ…)」
本当に…バカ。
だって、なんで、
どうして…、
どうしてこんな日に、告白しちゃったんだろう。
相手は、もちろん、
ずっとずっと想いを抱いていた 、レッド先輩。
私はイエローと同い年で、いつもいつも2人でレッド先輩の話しをしていたんだ。
かっこいいよね
憧れちゃうよね
素敵な人だよね
そんなことをね、話してた。
直接聞いたわけじゃないけど、楽しそうに話してたから……イエローも彼のことが好きだったんだろう。
でも、私達は親友だから。
ずっと、どちらとも、大きな行動は起こさずにいた。
お互いに無意識のうちに遠慮していたのかもしれない。
でもね。
今日の昼間、イエローへのクリスマスプレゼントを買いに街に出かけたら、なんと、たまたまレッド先輩に会ったんだ。
そのときの私は運命なんじゃないかとか、すごくうかれまくっていて気づかなかったけど、きっとそれが最大の失敗。
こんな日に会うべきじゃなかったんだよ。
たって、すれ違う人は皆、幸せそうな顔しててさ。
キラキラしててさ。
…レッド先輩もすごく楽しそうに、明るく笑いながら話をするからさ。
街中がかもしだす、恋のムードにつられて言ってしまった。
大好きです、と。
彼は照れたような、困ったような顔をして、頭をひとかきすると、
優しい笑顔とともに言った。
『ありがとう。』
『でも、ごめんな。』
長年温めてきたこの気持ちは、ものすごくあっけなく一瞬で終わった。
『それにしても。気づかなかったよ、イミテの気持ち。』
気まずい間をなんとかするためか、レッド先輩が言ったのは、そんな言葉だった。
気づかなくて当然だよ。
私、努力とか何もしてないもん。
勝手にアナタのこと、思ってただけだもん。
ああ…もっと、仲良くなってから告白するべきだったんだろうに。
こんな、一時のムードに流されて、バカみたい。
強がって、
『えへへ、そうだったんですか。最近ずっと気になってて、ずっと見てたんですけどねー。』
“最近”なんて言葉を使って、長年の想いを隠した私は…
やっぱり。本当のバカなんだと思う。
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