アナタにとっての、あたし
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友達のブルーのおかげで、その情報はいち早くあたしの耳にはいった。
『アンタの町、新しいジムリーダーが就任されるんですって!その人、あたしの友達だからよろしくね!』
あたしの生まれた、ここ…トキワシティではずいぶんと長い間リーダーが不在で、町の皆はバトル経験なんてほとんどない。
だから初めてそれを聞いた時は、ぶっちゃけ嬉しかった。
あたしは結構ポケモンバトルって好きだから、暇つぶしにもなると思ったし。
で、新ジムリーダーが来て数日たった頃、あたしは相棒のライチュウ入りのモンスターボールを片手にジムに向かったんだ。
少し、ウキウキしながら。
【アナタにとっての、あたし】
でも扉を開けて、そんな期待は一気に台無しにされた。
同じトキワで育ったであろう何となく見覚えのある子達が、「素敵!」と「かっこいい!」と「キャー!」という黄色い声を連呼して、1人の男を囲んでいたからだ。
「何やってんだよ…?」
思わずそうつぶやけば、群がっていた女の子の1人があたしに近寄ってきた。
「ねえ、アナタもグリーン様目当てで来たんでしょ?ファンクラブ、入らない?」
「……グリーン、様?」
グリーン、って確か、新ジムリーダーの名前…だよな?
何で様つけてんだよ…?
「あら知らないで来たの?トキワジムジムリーダー、グリーン様!かっこいいのよ~!就任1日目でファンクラブの会員、軽く数百人ごえなの!」
人差し指をあたしに向けて、ベラベラと喋るその人。
というか、ここジムだろ!
何でこんな状況になってんだよ!
ブルーは新しいジムリーダーのこと、『冷めてるけど真面目でいい奴だから。』とか言ってたけど、どこがだっ!
それが本当なら、ジムリーダーとして、群がってる女の子達を追い返してるはずだろ!?
やる気がないの、見え見えだっつーの!
「ジムリーダーとやら!ふざけんな!」
気がついたら、叫んでた。
「あたしはジム戦しに来たんだ!女の子に囲まれてデレデレしてないでジムの管理ぐらいきちんとしろ!」
ジムに反響するぐらいの声が辺りに響く。
一瞬の静寂があたりに広がって…。
「バカ!アンタなんてこと言うのよ!訂正なさい!今すぐ!」
「ちょ…苦しい苦しい!」
襟元を掴まれ前後に揺すられる。
女の子っていざとなると何するか分かんないから怖い。
いや、あたしも女なんだけどさ…。
「……デレデレはしていないつもりだが?むしろ迷惑してるくらいだ。」
女の子達の間をすり抜けて、その男は近寄ってきた。
切れ長な目、トゲトゲとした癖のある髪、整った顔。
コイツがトキワジム、ジムリーダー……。
「……しかし、早急に対処できなかったのは事実だ。悪かった。」
「……!」
素直に謝られて、何だか拍子抜けした。
なるほど…確かに悪い奴ではなさそうだ。
「ジム戦だったな。受けて立とう。」
でも、彼がかもしだす凛とした空気はなんだか少し怖い。
せいいっぱいの虚勢
(第一印象は、最悪)
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