似たものどうし
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黒板消しをバフンと思いっきり叩いたら、チョークの粉が煙になって勢いよく舞い上がって、
「う…けほっ、けほ!」
………むせた。
地味に苦しい。
というか体に悪い。
だから黒板掃除は嫌いなんだよ。
今度はパフ、パフと少し控えめに叩く。
こんなんじゃいつまでたってもキレイにならないけど、また煙あびるのもやだし。
はあー、めんどくさいなあ…。
「イミテー。帰ろうぜ!」
黒板消しに奮闘している私の複雑な気持ちも知らずに、ひょい、と廊下側のドアから呑気に入ってきたのは、レッド。
「……レッド。うらんでやる。」
「∑何だよ急に!…ん?顔が白くなってるぞ?」
「でしょうね。さっきまで黒板消しと戦ってたから。」
「…あー、なるほど。」
私の両手にある黒板消しを見て状況を理解したのか、レッドはクスリと笑った。
「相変わらず不器用だなー。力加減しないとそうなるのなんて、目にみえてるのに。」
「うっさいな、レッドは。つい力が入っちゃうの!そこまで言うならレッドが代わりにやってよ。はい。」
半ば強制的にレッドに黒板消しを預け、「よろしく。」と言い残して自分は水道に向かった。
まず服についたチョークの粉をパタパタと軽くはらってから、袖をまくりあげて手を洗う。
ついでに顔も、髪に水がつかない程度に軽く洗った。
最後にうがいもして…。
あー、ようやくスッキリした!
「レッドー?終わった?」
教室に戻ってみれば、
「ぷっ…あはは!人のこと言えないじゃん!」
「な……笑うなよ!」
数分前の私と同じように、レッドの顔にはチョークの粉がついていた。
「黒板消し叩くときって、最初、つい力はいっちゃうよな。」
「だよねー。あはっ、似たもの同士だ。」
とりあえず黒板はキレイになったからよかった。
「よし、帰ろうぜ。」
「うん。」
鞄に適当に教科書をつめて、教室をでようとした時、
「あら、イミテにレッドじゃないの。」
ちょうどブルーが教室に入ってきた。
「今帰り?」
「うん。ブルーは?」
「あたしはグリーンと生徒会室で待ち合わせしてて、今から行くとこ。」
「いいねー、ラブラブで。」
「何言ってんのよ。アンタ達もそうでしょ?」
ブルーの言葉に私とレッドは顔を見合わせる。
「別に私達は…ねえ?」
「ああ。特に、な…。」
その返事を聞いてブルーは目を見開いた。
「アンタ達、まだ付き合ってなかったの!?」
「付き合うも何も…そういう関係じゃないし…。」
「じゃあ何で一緒に帰ろうとしてるのよ!?」
「え…今日部活なくて、たまたま帰る時間が一緒だから?」
私の返答に、ブルーははあ、っとため息をついた。
「だーかーらー!そういう問題じゃなくてもっと根本的な問題よ!」
「えー……。レッド、何で?」
よく分からなくてレッドに助けを求めたら、レッドも困った顔をした。
「んー…帰る方向が同じだし……もうこれが習慣だから、か?」
「そっか。……よく分かんないけど。」
「俺も。」
ブルーは「アンタ達は…」と言いながらまたため息をつく。
そんな反応されたってそれ以外に言うことないし…。
「ちゃんと自分の気持ちと向き合わないと後悔するわよっ!」
彼女はビシッと私達を指差してそう言い残し、教室からでて行った。
ブルーの言ってる意味、よく分かんない。
ふと隣のレッドを見れば、私と同じような表情をしてた。
あ、やっぱり私達似たもの同士だ。
隣同士がいちばん自然
(何でって言われても…)
(答えようがない)
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